昨日の夜、帰りの電車の中で読み続けてきた「いっきに学び直す日本史」を読了しました。

読み終えた、下巻。もうお腹いっぱい笑
「こんな本を一から十まで読み通すなんてムチャなことを始めちゃったな…」
と思ったのですが、リズムに乗れたのか、時代が新しくなったので分かるようになってきたのか、ともかくスピードが上がってきました。
最後の方はサクサク読めていました。
でもこの本は戦後のあたりまでは勉強になるし面白いのですが、日本が国際社会に復帰した1951年以降はどうも単調で面白くなかったですね。
でも、それまでが充分に面白かったので読んで良かったなと思います。
なぜ戦後史がつまらなく感じたのか?
それにしても、古代〜太平洋戦争あたりまでは説明も明快で実に面白く読めたのに、なんで最後がこんなに締まらないのか…
答えというか、ヒントは付録の「日本史ガイダンス」にあるように思います。
これは、大学の教養科目に相当する内容で、教科書のレベルを高校で卒業し、資料を精査して歴史を分析する方法や考え方をザックリ説明している箇所です。
歴史の資料に対する心構えが説かれているのですが、そこでまず第一級の資料は当時の手紙や外交資料などの公文書なんです(ちなみに後世にまとめられた史書は、二次資料という格になります)
そこから考えると、戦後史が薄っぺらいのは…
①当時はまだ一次資料が揃っていなかった
この本の前身「大学への日本史」は1973年初版です。
1973年当時の京都。私にとってなんとなく懐かしい雰囲気です。こんな時代に「大学への日本史」は発刊されたんですよ。
当時は機密扱いになっている資料がまだあるので、著者もあまり予断を交えるのはまずいと考えたのかもしれません。
②共産主義国の実態が明らかになっていなかった
当時は、ソ連や社会主義国の実態が明らかになっていないところも多く、いわば「謎の帝国」だった部分がありました。
そういえばこの本では、中国の文化大革命についても、当時の中国の見解そのままで、毛沢東が権力奪回を目指した奪権闘争である一面を書いていません。
今回の出版で直すこともできたはずなのに、ここをあえてノータッチでいったのは不思議といえば不思議です。
③今よりもあからさまな「左寄り」の社会情勢
②と関係するのですが、当時は今以上に「左寄り」に支持が集まっていた時代でした。

国鉄労組の「順法闘争」にサラリーマンがキレて暴動状態になった上尾事件があったのも1973年です。
今よりもずっと社会が殺気立ってて、不安定な時代でした。
しかし「あさま山荘事件」でも、仲間をリンチした事実が明るみに出るまで、犯人の連合赤軍も結構世間のシンパシーを集めていました。
まして、共産主義国が20年経たないうちに相次いで崩壊することも分からなかったでしょう(日本でソ連崩壊を予言できたのは、小室直樹さんほか、ごく少数派でした)

東西冷戦の象徴、ベルリンの壁は1989年に崩壊しました。しかし、その数年前私は小学校でベルリンの壁が崩壊することは無いだろうと言われたことをはっきりと覚えています。
そういった時代の流れを反映しているのでしょうか、岸信介内閣で起こった新安保の件についても、政府が弾圧した、という記述になっていましたし、どことなく、政府のやることには裏がある、的な意図を感じます。
全体的には、ホントに面白い
とまぁ、最後の難癖を付けまくってしまいましたが、この本は本当に面白いです。
昨年末の中学校の歴史教科書では分からなかった、背景や情勢、因果関係についても「これくらい知りたい」という量のちょっと上くらいの情報まで精査して書かれていたので、読んでて「なるほど!」と思わせるところが多かったです。
この本を読んで得たもの
1人の著者が通史を書くと、これまで日本が何を問題とし、それにどうやって対処したか?そしてその結果はどうなったのか…その関係が一定のリズムで書かれているので理解がしやすいです。
また、一般人が「教養として歴史で知っておかなければならないこと」の大体のレベルが分かりました。
この本の内容を一通り理解できれば、これから読む歴史の本から、さらに深い理解を導けるのではないかとも、手ごたえを感じています。
上記のように一部「?」と思うところもありますが、教養編となっていた上巻はほぼ全部、実用編の下巻にしてもかなりの部分が役に立つなぁと思いました。
日本史のギモンがわく時にはまた紐解きたい一冊です。
またこれからは、この本で気になる部分を抜き書きして、頭に定着させる努力をしたいと思います。
これからも本棚に置いておきたい本になりました。
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