昨日、『もう一度読む山川世界史』を読み終わりました。
教科書を社会人向けにアレンジしたあって、知的好奇心をくすぐるような内容で中々面白かったです。
しかし、全部が全部いいわけではなくいくつか問題があることも否めません。そこをちょっと挙げてみます。
①内容が硬い割に中身が薄い
元々が教科書なんで文章の硬さは仕方ないとは思うのですが、硬さの残ったまま中身が薄くなるというのはちょっとどうかなと。
最近の自己啓発書だと、ここに注意して読んでね!的なガイダンスが各章冒頭に配されたり、まとめがあったり位は工夫しています。
そういったこともなく、まさに教科書配列で文章が連なってる。これはちょっと不親切。
この内容だとセンターレベルもないわけだから、もっと思い切って「世界史の基本的な流れをザックリ理解出来る」という実用性に特化すべきだったかなと…
②折角のコラムの配置が微妙
この本の面白いところはコラム欄だと思うのですが、その配置が本文とうまく噛み合ってない所が目立ちます。
本文読んでて中身把握してるときにコラムを読むと、本文に復帰してから読みにくいことこの上ない。
コラムなら文中でなく、区切りのついたところで入れて欲しかった。コラムの内容はソコソコ良かったのに見せ方がヘタクソなのは残念なところです。
③20世紀の記述、特にファシズムと共産主義の記述がダメ
社会人のほとんどが20世紀を駆け足でやっておしまい、な人がほとんどだと思います。
だから一番ニーズがあり、かつ納得したいのはここのはずです。
しかし!
納得いく記述を期待しているのに、第二次世界大戦のまとめが「ファシズム対自由主義」の戦いであると書かれてて心底がっかりしました。
第二次世界大戦は世界大恐慌の時に各国が自国の生き残りのために植民地と経済ブロックを作ったり、植民地がない国はファシズムやナチズム、共産主義と言った「ポスト資本主義」に活路を見いだしていったという事情をはしょって善悪で断じている姿勢が気に食わないです。
そして特にこれは感じるのですが、共産主義に対する記述が弱い。シンパシーを持って身内をかばってる感がハンパない。
もう冷戦が終わって随分経つのに、その辺がペラペラ。薄いところを事項を並べるだけで逃げてる感すら感じます。
共産主義国家がなぜ行き詰ったのか、なんで中国が鄧小平以降に経済改革に舵を切ったのかがここからは見えてこないし、共産主義国家同士の対立には、あったとだけ書いてもダメだろうと。
せめてベトナム戦争くらいキチンと書いてくれと!
私的には、この本全体としては60点て感じですが20世紀以降は40点と言った感じでした。
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