全33巻の無印「味いちもんめ」(以降無印)を買った話を先日したが
通勤時間に読んでいたら、あっという間に読み終えてしまった。
ホントこの作品って味わい深いから
また、一巻から読み直して、2周目も終わってしまった。
作品は順当にいけば、原作者が亡くなって「新・味いちもんめ」に入る。
これは主人公の伊橋悟くんが、熊野のオヤジさんの命で「桜花楼」という別の料亭に修行に行く話で
面白いけど、また読みたいほどではない。
独立編なんかも、結構面白かったけど(以下同文)
やっぱり熊野のオヤジさんがいて、谷沢さんという先輩がいて
ボンさんがいて、という「料亭藤村」が舞台のがいいな、というわけで
一気にすっ飛ばして、最新作の「味いちもんめ 継ぎ味(つぎあじ)」に
繋いじゃうことにしました。

設定は「新」や「独立編」で修行を積んだり、自分が店長の店を持った伊橋くんが
熊野のオヤジさんが倒れ、若手がゴッソリ抜けた藤村に舞い戻る、というもの。
年齢的にムリが効かなくなった熊野さんを伊橋、谷沢のダブルエースで支えるという
かつての「アヒル仲間」がふたたび仲間としてお店に並ぶことになります。
メンバー維持のため、年齢設定をズラす
それで、時間なんですが、伊橋くんたちは30代半ばくらいに調整されてます。
リアルタイムだと1986年に「味いちもんめ」一巻が出てるから
伊橋くんたちが還暦を迎えてしまいます。
そうすると「無印」の年長組、例えば天ぷらを揚げているボンさんはもちろん、
熊野のオヤジさんや岩田さん(仲居さんのリーダー格)、円鶴師匠たちは
みんな戦争経験者です。
もう戦後80年ですからその設定のままだと後期高齢者、いや100歳越えも珍しくなくなってしまいます。
そんなわけで多分、30歳くらい設定を調整しています。
なので、無印時代にしばしばあった「戦争経験」のエピソードはフォーカスされなくなる。
あと「無印」熊野さんや伊橋くんを見守っていた宗重さん(大金持ち)の再登場は難しい。
残念ですがこれは致し方のない措置、でしょう。
意外に保守的な伊橋、意外に新しい事に目を向ける谷沢という逆転現象
また「継ぎ味」だとあちこちを渡り歩き、店長経験者でもある伊橋くん(ここは設定が残ってる)は
二十代の若手たちから見ると「オジサン」である。
しかし、自分ではちょっとくらい年上、みたいな意識が残ってて
そこで意識のギャップが生まれてくることもある。
和食にワインを合わせてみよう、と若手が研究してると
伊橋くんが「藤村でワインなんて!?」と抵抗を感じたりするのも意外でしたね。
割と伊橋くんは活動的であちこち外を見てきたのに
そういうところは意外に保守的。
一方、無印では藤村一本で歩んできた谷沢くんは
知り合いの伝を辿って最新の料理技法を研究し
若手のワイン研究にも率先してやるなど新しい事にも積極的に攻めていく。
「無印」読みにしてみるとこの成長パターンは意外!なんだけど
読み進めていくと「意外にいい」形に落ち着いています。
ダブル立板体制で、卒業するのは中堅クラス
料理人は、次の店や新たなステップへ向けて
お店を卒業するのですが
「藤村」は伊橋谷沢のダブル立板に、かつて伊橋たちの下で働き、京都で立板をやってた「黒田」が戻るなど
超重量打線。
卒業するのは若手が煮方の力を付けたり
実家の料亭を継いだりすることが多いのも独特。
伊橋、谷沢、黒田という「実力者」の中で若手が成長していくパターンは
三人がほぼほぼ道が決まった、というところに差し掛かった事を強く感じます。
名前が「継ぎ味」だけに継承というのが強く印象付けられるストーリーが多くて私は割と好き。
ボンさんの影が若干薄くなったのが残念
今回も健在な油場(天ぷら担当)のボンさんですが
「無印」時代はバクチをやったり大人のお店に行ったりと中々はっちゃけていましたが
今回は影が薄くなってる。
コレは「時代」だから仕方がないよな…
その代わり、時折挟む「藤村の昔話」で伊橋たちと若手をつなぐ存在として
(大ベテランだけど)頑張ってる。
今後、ボンさんどうなるんだろ?
味のあるキャラだから、頑張って欲しいんだけど。
でもまぁ、面白いので最新巻まで全部読みました。次は、また無印の方を読みなおすか。
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