この記事では、平成~令和元年までの経済史を書いた、上念司著『経済で読み解く日本史 平成編』を紹介します。
このブログの読者のほとんどが、昭和か平成の生まれだと思うのですが、ここまで生きてきて、生きているときにどんな形で日本が歩んだのか知る人はほとんどいないと思います。
著者は主に経済的な観点からその時々の政策と、その結果を明解に書いています。
自分がこの時、何をしていたかを思い出しながら読み進めていくと、学ぶものが大きいと思いますし、今後、自分たちが「判断を誤らないために気をつけるポイント」もはっきり見えると思います。
先に結論を書きますが「この本は買い!」です。
ここで読み終わってもいいように、リンクを貼っておきます。
絶頂から没落へ、私の平成史
昭和天皇の崩御の頃って、日本はまだまだ豊かで、一般庶民の生活もそんなに苦しくなかったです。
自分は、1978年生まれですが、当時は小学校5年生。
中学の頃はまだまだ社会はバブルで絶好調!『就職戦線異状なし』なんて映画があったことを覚えています。
徐々に暗さが増していったのが高校の時で、銀行や証券会社の破綻が相次ぎました。
大学に進学するころに日産がルノーに買収され、後に特捜に逮捕されることになるカルロス・ゴーンが日産の救世主ともてはやされました。
当時、父親は日産ディーゼル(現UDトラックス)に勤務していて、次の経営者であるゴーン氏がどのような視点を持って乗り込んでくるかを、
彼の著書『ルネッサンス』から読み解こうとしてました。
大学卒業の頃には就職氷河期が到来し、私はなんとか正社員の口にありつきましたが、同期の何人かは契約社員として糊口をしのぐうちにドツボにハマりました。で、40を超えた今でも、かつかつの生活を強いられる人間も珍しくありません。
私の世代は「結婚もせず、子どもも作らず、家も買わない」無責任世代と言われていましたが、
実際のところ「自己責任ばかり背負わされて、就職できても一生安泰は遠く、自分の未来に希望が持てない」3重苦に喘いでいました。
私にとっての平成はどんどん悪くなっていく暗黒時代そのものでした。
日銀と財務省の政策ミスで割を食った国民
この本で分かったのは、日銀が景気後退局面でもひたすらインフレを冷まそうとする超消極的な金融政策しかとらず、
財務省は財務省で、減税どころか経済成長にブレーキをかける消費税増税にまい進するという
政策ミスが決定的に祟っているということでした。
そして、景気対策を有効に機能させるためには、日銀が潤沢な資金を供給し、同時に政府が思い切った経済政策を打つという二方面作戦に出なければならないのに、
アベノミクスが本格始動する2012年まで、日銀の金融政策、政府の財政政策のどちらかしか発動させないというセコい政策を続けてきたのが日本経済低迷の最大要因だということです。
しかし、世論は、こういうところを一切無視して
日本の経済危機だ、財政破綻だ…という「いもしないお化け」を怖がってとんちんかんな方向に迷走する政府やマスコミの寝言に振り回される始末。
結果、よく分からないまま推し進めた政策がずっこけて、当時の若者(まぁ、私の世代)にしわ寄せがくるという…こうやって、23年空費したのかと思うと、情けなくて涙も出ない。
令和を「平成パート2」にしないために
わたし、これからの世代に理不尽を押し付けて
上から目線で「お前らの努力が足りない」からというアホな大人には死んでもなりたくない。
それに、著者の上念さんもこのシリーズで繰り返し言ってる通り「人々の生活が苦しくなると極端に走ってみんなが不幸になる」法則も民主党政権で経験しているし。
つくづく思うけど「無知は罪」です。
まずは、みんなが安心して飯を食える社会を目指すのに「どっち行っちゃったらダメか」を学ぶことが
責任ある年齢(金もないのにね)になっちまった我々が学ぶ必要があると思う。
手っ取り早いのは同著で「日本があの時、どう動いたか」を読んでもらい、その教訓で世にはびこる貧乏神財務省の暴走を抑えるしかないかなと。
この本は、自分のリアルタイムに重ねながら読めるのですごく読みやすいし、解説を通じて、経済の基礎知識も同時に身に付く
したがって新聞やテレビが言ってる「真っ赤な嘘」を解毒する一冊でもあります。
全6冊セットがありますが、とりあえず即効性があるのは『平成編』なんで、この一冊、ぜひ読んでみて下さい。
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コメント
読み応えのある記事でした 著者が同年代 というか同級だったので 大きくうなづきながら記事を拝読しました 本も読んでみようと思います
コメントありがとうございます。
ほんと、あの地獄の季節をご存知の方には読んで欲しい一冊です!!