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今年の一冊、第一候補。人生が見事すぎて読破!「やなせたかしの生涯」を読む

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一昨日のこと。ふと、Amazonでポチってた梯久美子さんの「やなせたかしの生涯」を読み始めました。

梯久美子「やなせたかしの生涯」文春文庫

ところが、これが面白くて夢中になって読み進めていくうちに夕方までには読み切ってしまいました。

最近、本を読むのがしんどくなって来たなと感じていたのですが、

読むほどに引きずり込まれる感覚で、あっという間に読み終わってしまった次第です。

やなせたかし先生については「アンパンマン」や歌詞を手掛けた「手のひらを太陽に」などのイメージがあったんですけど

それ以前に若いころに「平成日本のよふけ」に出てきたとき、英国紳士のようなたたずまいの良さをして、明快なんだけどすごく余韻の残る話をする

素敵な人だな、と思って見てました。

で、今連ドラで「あんぱん」をやってまして、それもあって読んでみたんですけど、

やなせたかし、という人の生き方がいちいち刺さるんですよね。

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ひっくり返らない正義とはなんだろう?

やなせさんは、出征して戦争を経験し、正義のために戦うことで、いやなことを処理しようとするんですが

ご案内のとおり、太平洋戦争は日本が破れ、昨日の正義がいとも簡単にひっくり返ることに衝撃を受けます。

「正義のためなら、死んでも仕方がない」と信じていた自分はなんなのか、戦友や弟は、何のために死んでいったのか…という事を考え続けたといいます。

この辺は「平成日本のよふけ」ではほとんど触れられていなかったし、

やなせ先生が出征していた(年齢的にいえば当たり前なんだけど)ことも知らなかった私にとっては本当にビックリしたんだけど

ご自身は、もっと悲惨な思いをした人がいるのに、私が代表者面をして戦争を語るわけにはいかない、という思いもあったみたいです。

そして、戦後の焼け跡で、食べ物を取り合う姿を目の当たりにする一方で、ひとつのおにぎりを分け合う兄弟の姿を見たときに

「食べ物を分け合うというのは、人を生かす行為である」と悟り、それが後に「アンパンマン」の構想に繋がると知った時

あの話にこんな深い原体験が根本にあったのか、と感じました。

言われるままに引き受け、一生懸命やったことが後に生きる

あと、私は今求職中だから、どうしても仕事のシーンに熱心に読むところがあります。

やなせ先生の場合は、雑誌の編集も、記事を書くことも、カットを描くことも、デザインもできるという「困ったときのやなせさん」として重宝される一方

出世作というものにはこの時代、とんと恵まれることがないんです。

だけど、誠実に仕事をこなすなかで、立川談志、永六輔、宮城まり子、手塚治虫…と同時代を生きた天才たちとの仕事が積み重なることで

やなせさんの才能はマルチに開花。

のちの「アンパンマン」などに、大いに役立つというあたりに心を奪われました。

仕事を誠実に、真摯に向き合うことで、新たなところから思いもよらず、新しい芽が出て、それが大きく育つのだと。

…私も随分といろんな仕事をしてまいりましたが、逃げて回ってはいかんなと。

本を読んだ翌日に、たまたま某社の面接があったんですけど、正直不安で仕方がなかったんですが、なんかやなせさんに背中を押された気分で、前向きに面接に向き合えた気がします。

長年、仕事を通して、やなせたかしに接してきた著者の書きっぷりがいい!

しかし、です。

私、梯久美子さんは、以前から名前を存じ上げていたんですが、どうしてこんなに「やなせたかし」という人間をピタッと皮膚に馴染むように、イキイキと描けたんだろうと

読んでいて不思議で仕方がありませんでした。

でも、本の「あとがき」を読んで、一気に疑問が氷解しました。

梯久美子さん自身が、やなせたかしさんと長年、ずっと接してきたからだったのか、と。

梯さんの知るやなせさんは、怒ったり声を荒げることなく、自分の仕事を淡々とこなし、それでいて困った時にはそっと手を差し伸べてくれる人物だったそうです。

個人的にそういう経験を持っていたから、答え合わせをするように先生の歩みを調べ、ひとつひとつの話に納得しながら描けたんだろうな、と思います。

この本は、身近で先生を知っていた著者が、「ただ一人の師と出会いなおすため」と定義したことに深く合点がいった次第です。

 

長々と書いてしまいましたが、ひと言で「この本は面白いから、絶対読んで欲しい」と強く感じました。

 

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