前回は、加藤茶さんが、あやうくドリフを辞めかけた話を書きました。
今更な話なんですが、このインタビューでは様々な加トちゃんのギャグの誕生秘話が加トちゃんらしい話しっぷりで披露されていたんで、
今回は我々バカガキの心に「タブー」のテーマと共にのこる、ちょっとだけよ~の誕生秘話を採録したいと思います。
キッカケは広島のストリップ
ラジオ番組「伊集院光の日曜日の秘密基地」のゲストコーナーによると…
巡業で、広島に行ったとき、巡業先の支配人から「いいものがありますよ」とドリフメンバーが耳打ちをされたそうです。
ストリップ小屋で「見せる!」(これ以上は自主規制)ということで、長さんを先頭に張り切って小屋に出かけていった。
…もう人気者だったそうなので、みんなバレないように扮装して、前の方に行ったら
常連客から「テメーら、なに良いところで見ようとしてるんだよ!?」と言われて、後ろから頭をはたかれたらしい。
それで、まぁおどりが始まる。
…ストリップってのは、そのものをいきなりスパッと見せない。それだとわいせつ物陳列罪になってしまうんで、
おどりの中でたまたま「見えて」しまっても、それというのは美しい女性の肢体を活かした「芸術」であるというのがこの業界の建前である。
そんな中で、ショーが始まって、踊り子がおどる…しばらくすると…
「そろそろお願いしま~す!」という観客のオッサンの声。どーもよく来ている常連らしく
「あら、あなたまた来たの?ちょっとだけよ~」と言って見せてくれた。
するってえと、今度は別の方向からも「こっちにもおねがいします!!」とリクエストが飛ぶ。
ダンサーの人も「あら、貴方もきてたの?あんたも好きね~」とご開帳。
この様子をドリフメンバーは頭に焼き付けて来たらしい。
ストリップを見たことないはずの子どもが大フィーバー!
それで…コントの企画会議があってオチが決まらない。
そこで「あのストリップの様子をパクっちゃおう」と言う話になった。
と言っても「ストリップとは…」なんて前説なんかするわけはない。
初披露の時のコントは「北風と太陽」のコントで、風を吹いてもお日様を照らされても服を脱がない加トちゃんに
ストリップで当時良くかかっていた「タブー」という曲を流してピンクのスポットライトを当ててみたら、
ストリッパーのように挑発的に服を脱ぎだして、やったー!と喜ぶというオチ。
すると…ストリップなんか見たことのないはずの子どもが異様に興奮して、異常に盛り上がってしまった、とのこと。
それが笑っちゃうくらい、「脱げー!」「いいぞ加藤!!」と子どもの声で
劇場にいたオッサンみたいなヤジが飛ぶ。
それで…「あの反応はちょっと凄かったなぁ。またやってみよう」となった。
コントの中に脈絡なく入れるパターンで、ちょっとどころじゃない頻出ギャグに
ドリフのメンバーも様々なシチュエーションで、どうやってこの「ちょっとだけよ」を入れるかを研究した。
たとえば、甲子園の入場マーチを演奏し、マーチが突然「タブー」に切り替わり、ピンクのスポットライトが当たるパターン
赤ちゃんをあやすために吊るして、音楽を奏でながら回る「ベッドメリー」の曲が突如、変わるパターンや、
別れを惜しむカップルが聞いているオルゴールの曲が「タブー」に変化して
舞台の端っこで駅そばを食べてた加トちゃんにピンクのスポットライトが当たるパターン、
クルマのセールスで、いきなりフロントバンパーが御開帳して、「ちょっとだけよ~」などなど。
なかには、お医者さんのコントで心音を聞いてたら「ドックンドックン…」という心音がリズムを刻みだし、そこから「ヴァ~ン…」とつながるパターン。
あの手この手で「ちょっとだけよ~」につないだ結果
ちょっとどころじゃない、頻出ギャグになって番組を盛りあげることになったそうです。
「ちょっとだけよ」が流行った結果…
こんな感じで「ちょっとだけよ」が毎週のように流れ、それと同時に「タブー」がテーマに使われるようになったら
こんどは、ストリップ劇場で観客に異変が起こった。
もともと、このタブー、と言う曲、すごくムーディーで煽情的な、いい曲なんで
ストリップ小屋でも「ここぞ!」と言うときに切り替えて、舞台を盛りあげるのに使っていたそうなのだが
ある時期から、このテーマを流すと、みんなが笑いだしてしまい、折角の淫靡な感じが全部消し飛んでしまう、という現象が発生したそうです。
劇場関係者としては、目をギラギラさせて欲しいところで、みんな笑ってしまうので
なんか、その後の段取りもとりづらい…
なんでだろう、と思ったら、テレビから加トちゃんの「ちょっとだけよ~」が映っていた、という笑い話もあったそうです。
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