五万回斬られた男、故・福本清三さんの話を読む

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この記事では、2021年1月1日に逝去された「五万回斬られた男」福本清三さんの生き方を彼のインタビュー本を通して学びつつ

自分の中で鬱屈したものを抱えて苦しんでいる人に福本さんの生き方を読んでみて欲しい、とお勧めするものです。

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私の仕事は「斜陽産業」

私は、とある新聞社の記者兼広告担当をしています。

よく言われるのは「新聞はオワコン」ですよね。

状況は悪くなることはあっても、逆に行くことはあまり期待できない。

生きているうちにどうなるか、ちょっと予想がつかない。ただ「誰かが自分の仕事で喜んでくれるのでは」というささやかな願望だけを信じて、日々仕事に取り組んでいます。

ところでこんなこと、自分だけかと思ったら案外そうでもないらしい。

自分の同級生で、某地方銀行に勤めている人間がいます。

学生時代は勤勉でソツがなく「彼みたいになれたらなぁ」と思う優秀さで大学を卒業。地方銀行に就職し、堅実な日々を務めている…と思ったら、元本割れの恐れのある金融商品を「銀行の看板」で売らなけりゃならなくなったり

銀行同士の統合や、合理化の必要に迫られたりと、結構苦労している様子でした。

私の卒業したころには、優秀な奴は銀行に行くというのが定番で、誰もが「安全策」だと思うことだったのですが、時代の流れでその選択が予想に反した形で展開し続けています。

「有望産業が斜陽化」するというのはどのような世代でもある話ですが、ホント厳しいものだなと感じます。

福本清三さんの本を読み直す

なんとなくくたびれてしまって寝込んでいました。途中で目が覚めるのですが、もうなーんにもする気にならず、ずーっとゴロゴロ…

ようやく昼前に起き上がって、トイレで用を足しつつ福本清三さんの本を何気なく開いてみたんですよね。

この本は、聞き書きの小田豊二さんの会話を全く入れないで、福本さんの会話を文字起こししたような作りになっています。

それなんで、読むのにあまり負担がかからない。気がついたらいつのまにかトイレから出て、部屋でずーっと読み耽っていました。

映画が絶頂期のころ、食うために大部屋俳優となり、死体や通行人などを演じていた福本さん。徐々に主役に斬られる「斬られ役」を手始めに、地味ながら様々な仕事を任されるようになります。

映画が斜陽産業になり、映画会社は興行的に人目を引くような「変な映画」を量産するようになりました。

かつて大スターに切りかかっていた福本さんは、今度はキックボクサー沢村忠やガッツ石松相手にガチで闘わされた(彼らは演技ができないので、うまく寸止めが効かず、蹴りやパンチが誤って入っちゃう時もあったそう)りとか、オカマ役をやらされたりとか、とにかく色んな役をやらされます。

映画だけでなく、テレビドラマなどでもちょい役で出演したりとか…そういった事をコツコツと頑張りながら、徐々にファンが増えていき、ついには主演映画まで作られるようになる…

私の仕事も華やかとはとても言えず、

時折「私は何の役に立っているのか?」と自問自答を繰り返しているもので、来る日も来る日も死体役、斬られ役、その他の端役を責任を持って頑張った話が妙に沁みたんですね。

気になって2冊目も再読

この本は続編があって、1冊目が定年前で福本さんが脚光を浴び始めたころ続編が映画『ラスト・サムライ』に出演した後、定年を迎えても頑張り続けている時代に出版されています。

この本も前作と同じで、福本さんの話を文字起こしした形です。

なんか、元気を貰いたくて…2冊目を当然のようにカバンの中に突っ込んで通勤のときに読んでいます。『ラスト・サムライ』は、本人の与り知らないところで、ファンクラブの会長とか、ご家族とかが後押しして出演が決まったようです。それがまた彼の人柄を現しているようでいいんですよね。

あと1冊目と違うのは、聞き書きを担当している小田豊二さんとの距離がより近くなっているところ。

何回も会ううちに遠慮がなくなったのか、いきなり福本さんに「カレーを作って!」とお願いする一幕も傑作です。唐突なリクエストに、何だかんだ言いながら作り方を語りながらカレーを作ってくれる福本さんの姿を読むうちに、

ああ福本さんは、仕事でもこんな感じで体当たりで頑張っていたんだろうなと感じてしまいました。

今を一生懸命に頑張る

私、今の仕事ここまで頑張っているのだろうか…言い訳して適当にやってないのかな…と思わず自分を省みます。

別に福本さんみたいに、定年間際でハリウッドデビューするなんて考えていませんけど。

彼が評価されたのは、常に自分の仕事を頑張って、かつどうしたらよりいい仕事が出来るかを考えて、一歩一歩積み重ねたからだと思います。なにかと「先読み」して取り越し苦労を繰り返す私は、むしろ今日を頑張って、それを毎日積み上げるやり方の方がいいかも知れない。

「いつかは誰かが見ていてくれる」と思って改めて頑張らなきゃ

…今日という日は二度と来ないし…

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