「おい!飯を食ったか!?」田中角栄の飯エピソード集

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この記事では、昭和の政治家田中角栄の食にまつわる

「超」個性的なエピソードを紹介します。

昭和の高度経済成長期を後押しすべく、官僚をうならせる斬新なアイデアと人を引き付ける抜群の弁舌

強烈な行動力で一時代を築いた「コンピューター付きブルドーザー」田中角栄ですが、

その体を動かした「ガソリン」はどんな物だったんでしょうか。

今回は、主に長年田中の秘書をつとめた早坂茂三の著作を中心に、面白エピソードを紹介します。

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田中角栄の掟~刻限が来たら、飯を食え!

まず、田中さんは極め付きのプラグマティストで、

「腹が減っては戦ができぬ」ということを理解し、

時間が来たら必ず飯を食うことを自らに課していました。

世の中は嫌な事ばっかりだ、そんな時

腹が減っては力が出ない、空腹で目が回っていたらいい知恵も浮かばない、というのです。

だから、早坂さん曰く、どんな時でも時間が来れば「メシ!」。

人の顔を見れば、「おい、メシ食ったか!?」が口ぐせ。

それは部下に対しても、同じで

「3度3度飯を食え、嫌なことがあって食欲が出ないなら、飯に味噌汁をぶっかけてすすりこめ」と言ってたそうな。

そして、選挙期間中は一刻を争う勝負だからと、昼はお膳を並べない。

「お膳を並べて呑気に昼飯を食ってる候補は落ちる!」とは、角さんの言。

だからお昼は、選挙カーの中で食べるのは一合のメシに

しょっぱい塩じゃけ(後述)を一切れそのまま包み込み、

何枚もノリを使ってガッチリと包み込んだ

子どもの頭の大きさくらいの特製のおにぎりと、野菜の味噌漬け

これを2,3個バクバク食べて、番茶を飲んでおしまい。

選挙中はこれを腹に収め、あちこちを精力的に回り、角栄節を全開させていたとか。

キャビアが嫌い、スジコが大好き!

じゃ、どんなものを好んでいたかというと

これが昔っから食べつけた、越後の味が大好き。

東京・目白の田中邸では、

田中邸には各省庁から早朝の進講に来た役人たちもいるけど、そんな連中はほっておいて

ドンブリに山と積まれた鮭の頭と大根の煮物や

越後特産の油揚げ、豆腐の味噌汁

シャケ缶に大根おろしをどさっと載せて、醤油をジャブジャブかけたの

またたびの塩漬けやアサツキを刻んで味噌と混ぜたもの…などがズラリと並ぶ

「越後の朝飯」をかき込んでいたそうだ。

で、生ものは苦手で、白魚の踊り食いを出された時には見てるだけで手を出さず「卵とじにして」と言い出し

「キャビアは生臭い、スジコがいい!」と言ってたとか。

スジコは生臭くないんかな、とスジコが好きな私でも不思議に思うんだけど。

塩の吹き出した鮭の切り身に、醤油をかける!

あと、田中さんはバセドウ病というホルモンバランスの乱れから起きる病気を持っていたので

しょっちゅう汗をかく。だから冷たい水をガブガブ飲むし

食べ物も塩辛いものが大好物だ。

ただ、この「塩辛さ」というのが、ちょっと尋常ではなくて

塩じゃけにしても、今の甘塩のヤツでなく、焼くと塩がガッサガサに吹き出す「塩引き」が大好物。

さらに、そこに醤油をかける!

田中曰く「醤油をかけると少し甘くなる」というのだが、早坂さんが試しに箸を伸ばしたところ、

余りの塩辛さに、目が回ったとか。

これは、ウナギの出前を取った時も同様で

アツアツのうな重が届くと、まず蓋を開けてじゃーーっと醤油をかけて蓋をする。

んで、猫舌なんでビールを飲みながら冷めるのを待ち

おもむろに蓋を開けて「うまいうまい」と掻っ込む、という。

…ウナギなんてここ何年も食べてないブログ主は「美味いんだからそのまま喰えよ」と思わずツッコミを入れちゃいたくなるが、

角栄さんはゴーイングマイウェイ!

新人の洗礼??「角栄のすき焼き」

なんでも、生は嫌いで醤油をどばーっ、な角さんだから

すき焼きのつくり方も超個性的!

まず、牛肉を醤油を入れた鍋でじーーーっくり煎りつける。

高級牛肉だからと半熟で食べない。だから、箸でちぎれるような和牛も、そっくり返ってカチカチに固くなる

甘ったるい割り下なんかは一切使わないから、醤油味一本鎗。

本人はこれを「うまいうまい!」を堪能する。

で、一人で食べちゃ悪いから…と人にふるまおうとするのだが、

知ってる人は「もう充分頂きました」と手を出さない。

しかし、無知は強し!

当選回数が浅い議員とか「田中のすき焼き」を知らない人が

すすめられて「いただきます」と食べると、さぁ大変!!

志ん生がくしゃみをしたような顔をした、と早坂茂三さんは語っていますが

天下の田中角栄に「しょっぱい!」と言えるわけがない。

…お代わりなんぞももらって、寿命が縮むの覚悟の上で、牛肉の佃煮みたいな「田中のすき焼き」を

角さんの「ご好意」で腹いっぱい詰めて帰ることになった、という。

ちなみに大平正芳元総理は、角さんとは盟友と言える存在の一人だが

ある時、この二人がすき焼きを囲んだ。

角さんが醤油を入れれば、大平さんは甘い砂糖や割り下を入れて調整と

お互いに自分の「味」にしようとした結果、味がとっ散らかって食えたもんじゃなくなった、らしい。

宴席の料理には手を付けず、自宅で山盛りチャーハン

そんなしょっぱい味が好みの角さんだから、料亭の薄味な料理じゃ

「食べた気がしない」からほとんど手を出すことはない。

顔を出してひとしきりワイワイやって「それじゃ!」で帰れるときはそれで、

どうしても、って時は秘書に食べさせる。

角さんのエピソードで著作を数多く書いた元秘書の早坂茂三さんは、

非常に恰幅のいい体型をしていたが

「オヤジさんの飯の分まで食わされたから、こうなった」と生前冗談交じりに語っていたらしい。

…とはいえ、やっぱり腹が減るので、自宅に帰ると奥さんが作った、これまた塩辛いチャーハンを

大盛り一杯平らげて、これでやっと落ち着いた、そうだ。

人寄せの時は角栄プロデュースの食事を

たたき上げで成り上がった角さんは、人をもてなすときも、有権者と記念写真を撮る時も

みんな自分で指図する。

で、母親の法要で、食事に何を出すか、となった時

「この時期のイワシは大振りで脂が乗って旨いから」と

ご近所の主婦総動員して、七輪にシブ団扇をパタパタあおいで

イワシの塩焼きを焼いて焼き立てをふるまった。

煙が尋常じゃなく立つので、事前に消防署に「火事じゃなくて、イワシを焼いてるだけだから」と連絡しておくのも忘れないのは、角さん流。

また、お正月。

目白の田中角栄邸には新年のご挨拶に客が押し寄せる。

ここでも「なにからなにまで自分で仕切らないと気が済まない」気質爆発で

「おせちや雑煮なんて、どこでも出してるからみんなウンザリしてる。

料理はブリ大根と、いなり寿司を特にタップリ用意しろ!」と指示。

「ブリ大根は甘辛く煮付けた『おふくろの味』。旦那が食いたくても家で作ってくれないから喜んで食べるぞ!」

「握り寿司は見た目はキレイだが、何日も経ったらカピカピになって食えたもんじゃない!

いなり寿司は日にちが経ってもシットリしてて食べやすい。みんな手を伸ばすんだ!」

とは、角さんの言。

そして、新年。

角さんの予言通り、多めに仕込んだこの2つがあっという間に売り切れてしまった。

なお、読者の方が心配しているであろう?味付けは一般向けに調整していたそうだ。

【参考図書】

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