『世界史のミカタ』を読む

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この記事では、井上章一・佐藤賢一『世界史のミカタ』がどんな本なのかをご紹介します。

世界史は様々な国が登場し、最初は掴みどころが見つかりにくいものです。

しかし現在がなぜ、こんな世界であるのかを知るのに世界史は重要なツールと言えます。そのきっかけを持ちたい人にとって、この本はいいのではと思います。

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世界史のジレンマ-どこまでやりゃいいの?

私は高校の時、世界史の全国一位を取ったことがあります。あまりに世界史が好きすぎてその他の勉強を怠って現役全滅!になってしまいました。

歴史を人間ドラマとして捉えているうちに、もっともっと…と深入り。

英語をやらないで世界史ばっかりやることに。元々覚える項目が膨大で、上にいくほど重箱問題と呼ばれる「こんなの誰が答えられる!!」という内容になるからです。

元々自国と比べて馴染みのないこともあり、日本史よりはとっつきにくい、という事もあります。

ただ、社会人になると、世の中の動きを知るためには日々のニュースという横糸に加えて歴史的経緯という縦糸が必要になってきます。

しかし、時間的に制約のある社会人。世界史の膨大さに二の足を踏む人も多いはず。

そんな人に手に取ってほしいのが本書『世界史のミカタ』です。

二人の達人が語る世界史

最初に申し上げますが、この本は世界史の膨大な項目を漏れなく収めたものではありません。

受験生は今ある教科書や問題集を解いて、基礎的な内容を覚えないと試験に落ちます。

ただ、教科書で学んだ知識が結びつく面白さはあると思うので、「遊び」で読むならアリです。

この本は11のテーマに沿って2人の対談を収録しています。

碩学として知られる2人の話は、「脱線エピソード」も交えながら、話が重層的につながっていきます。

そして、その話を転がしていく上で最低限の知識量で学校的な世界史知識を使う程度なのでドンドン読める読みやすさが魅力です。

読者がこの本を読んでいくと、「どのように世界が動き、今につながるのか」がザックリ分かります。

個人的にすごく面白かったところ

私の好きなのはやはり現代史。第一次世界大戦前夜から、第二次世界大戦後の流れがすごく面白かったです。

一番私が驚いたのは「ヨーロッパにとって第一次世界大戦のダメージは、第二次世界大戦のそれよりはるかに深刻であったこと」です。

本書内にフランスの第一次世界大戦と第二次世界大戦の犠牲者数が挙げられているのですが…

第二次世界大戦の55万人に比べて

第一次世界大戦は140万人!!!

また、第一次大戦の影響で第二次世界大戦も引き起こされていることも考え合わせれば、いかに第一次大戦がいかにヨーロッパに痛撃を与えたことが分かります。

また、コレは交戦国だったドイツも同じで…

第一次大戦でドイツ皇帝が退位、当時としても先進的なヴァイマル憲法の元、民主主義を目指しますが、

それがヒトラーを台頭させる一因につながったことです。

これまで皇帝たちが勝手に決めたことに従っていれば済んだ国民は突如天から降ってきた民主主義に戸惑いを感じ、

難しいことを考えるより、わかりやすいカリスマのスローガンにフラフラとなびいていった過程が非常に興味深いです。

そして、ここまでに留まらず、この影響は現代の我々にも影響を与えているという指摘はその通りだと思います。

日本にもありましたよね…「自民党をぶっ壊す!」「構造改革なくして、景気回復なし」…当時熱狂的に流れたフレーズは、今考えたらよく分からない。

やはり世界史と我々はつながっているのだ!としみじみ感じます。

過去から未来を考える面白さ

そして、歴史的な文法を交えながら未来を考える最終章も非常に興味深い。

そしてその話が、日々流れるニュースへの考察に役に立ちそうだ…という手ごたえを感じることができます。

読んで損のない一冊なんで、興味のある方はぜひ目を通してみてはいかがでしょうか?

最後まで読んでいただきありがとうございます。この記事が面白かったらTwitterリツイートやシェアボタンでの応援よろしくお願いいたします。

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