最近、中高年になって体はオジサン体型になり妙に好きになったのが綾小路きみまろさんの漫談ですね。
ところで、このきみまろさん、売れた経緯がものすごく興味深いのはご存じでしょうか?
キャバレーで腕を磨いても、テレビのオーディションに落ちる
綾小路きみまろさんは、キャバレーや司会などで腕を磨いてプロの中では注目される存在として知られていました。
ビートたけしさんいわく「キャバレーの客は酒を飲みながら女と話すために来てるから、ここの客はそもそもステージなんか見に来てない。
そんな中で相手をつかんで離さない話術は、きみまろ自身が編み出したモノ
商標登録があるなら、全部きみまろのモノだったんだ」と絶賛していたそうです。
しかし、他の芸人が次々と売れてテレビに飛び出していく一方で
きみまろさんは中々チャンスをつかめないでいました。一方でキャバレー文化も衰退し、新たなターゲットを「中高年」に絞ります。
自身が中高年となり、テレビを見ていても面白いと感じられなくなっていることに気が付き
「もしかして、この需要を誰も捉えていないのでは?」と考えたそうです。
しかし、漫談の仕事はあるものの、テレビのオーディションには中々受からないのは相変わらずで、どうやったら聞いてほしい中高年に自分を売り込めるか、きみまろさんは知恵を絞ります。
テープ3千本を高速道路のSA・PAで配る
さいわい、ライブを録音したテープは会場で売るために自主制作で作っていたので、広告宣伝費だと思って配ろうと考えました。
問題はどこで配ろうか。
老人ホーム、美容室…中高年が集まるところを次々と考えましたが、テープを黙って聞いてなきゃいけない場所って案外ない、と。
そこでふと閃いたのが「ツアーバス」。
高速道路で渋滞になったらどうする?と。カラオケも歌いつくし、ガイドさんも話のネタが尽きて、うーんざりした雰囲気に包まれるだろ?
そんな時にこのテープが受けるはずだ!?と考えたわけです。
そこで、中央道の談合坂S・Aや関越道の高坂S・Aなどにテープを100本くらいクルマに積んで
バスガイドさんや運転手さんに「バスの中でどうにも話が持たなくなったらコレをかけて!少しはもつから」と殺し文句を添えて配ったんだそうです。
その数、配りに配って3千本!
ツアーバスはそれこそ、日本の津々浦々からやってくるわけで、また渋滞も年中行事。貰ったテープをかける機会もあったんでしょう。
きみまろさん曰く「最初は1日3本くらい」だったのが、バスに配ってるうちに
「あのテープ売って欲しい、という人がいるの。10本ちょうだい」とその場で1本2千円のテープを買う人が出てきて、
連絡先にしていたきみまろさんの携帯にも、5本、10本、20本…と注文が増えていったとのこと。
ちなみにこのテープ、後にCD化されてます。聞いてみましたがさすがの内容で、よくタダで配ったもんだと思いました。
テイチクレコードからCD化
そうこうしているうちに、一日100本を超える注文が舞い込んで、家族親戚総動員でテープをダビング生産をしても追いつかないほどに。
同じくらいにレコード会社が「すごいテープがある」と話を聞きつけ、きみまろさんにアプローチ。
きみまろさん流に説明すると
中高年はカセットのカシャッカシャッというのがないとダメだと思っていたんですけど、テイチクの人に言われたんですよね。
「きみまろね、世の中にはカシャッカシャッ、だけじゃなくて、ボタンをポンと押すと、とくるくる回るCDってのがあるんだ」と。
「これはテープとは次元の違う広いすそ野をもっているんだ。CDを聞く人みんなにお前の漫談を聞かせてあげようよ」と。
…それがなんか、いいなあと思っちゃって。
CDの発売でさらに人気が加速したきみまろさん。各地のライブはどこもかしこも超満員。
現在はコロナで昔ほど大規模な会場はやってないみたいだけど、相変わらず元気に活躍中です。
コロナをきっかけに自身のYouTubeチャンネルを開設して、畑仕事などを発信したり、自宅のある河口湖周辺の四季折々を紹介したりしてますます元気です。
ぜひ皆さんも一度、YouTubeチャンネルをご覧になってはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございます。この記事が面白かったらTwitterリツイートやシェアボタンでの応援よろしくお願いいたします。
コメント