私事になりますが、先だって新聞社を退社してFA(不要エージェント)となりました。
オオタニサンくらいの大物ならば、どこからも引手あまたと言ったところでしょうが、ワイはというとそうもまいりません。
とりあえず、ブログを執筆して「息するように文を書く」毎日を維持していきたいと思っています。
ところで…フツー記者といえば取材が付きものです。
人と会い、話を聞いて、ノートにサラサラとメモをとるのが、私も基本スタイルでした。
そんな中で、皆さまが紙面でご覧になる記事が作られるわけです。
現役時代(っつーても2週間くらい前)には「分かりやすく、イキイキしている記事を書く」と読者に好評を得ていた、その当人のメモはどうやっていたのかを説明しようと思います。
「名前」と「数字」は確実に抑える
新聞の記事は、読者の読みやすさを勘案して、概要を集めていくスタイルになります。
概要を語るのに必要なのが「5W1H」と呼ばれるものです。
すなわち「誰が(who)」「いつ(when)」「どこで(where)」「なにを(what)」「なぜ(why)」の5Wと
「どのように(how)」のHを総称して5W1Hです。
したがって、この5W1Hを適切に集めなければ、要領を得ない内容になってしまうわけです。
この中で特に間違えてはいけないのは「名前」と「数字」。
名前は人名、地名など。数字は日付、数値、人数、価格、電話番号などがそれにあたるでしょう。人は名前を間違えられるとガッカリするものですから「崎」と「﨑」なんか見たいなのは要注意。
これは確実にメモを取ります。団体の代表者や、重要人物などは正確にメモを取り、電話番号も控えます。
これは当日取材では把握できない事(イベントの主催者発表)などを確認するために必要だからです。
講演は流れを読んで「まとめ」をメモする
5W1Hの how と why に関して。
これは割とひと単語では語れない内容が多いです。
たとえば講演の内容をどう、まとめるかという例を出して説明します。
メモを取るポイントは「今、何について語っているのか」を常に把握することです。
把握するのには…テーマを事前に叩き込み、できればレジュメを入手し、無ければノートに書いていきます。
この時は、メモを取るのは出来るだけ短く、話を聞くのが7、メモが3くらいのイメージでやってました。書くのも単語が多かった。
漢字ではなく、カナ書きに殴り書きすることも多かったです。
じゃ、その概要は頭に入ってないかというとそうではない。
ここで走り書きをするのは、その時の様子を頭の中で再生するための「タグ」を付けているんです。
これが意外に記憶を思い出すのに有効で、メモの走り書きの単語ひとつで割と前後の内容を映像付きで思い出します。
そして、講演というからには途中で結論が出ることはありません。
最後の最後に必ず、その論者の言いたいことが出る。この「まとめ」は一言一句を聞き漏らさずにメモに取ります。
それまでの流れがあるから、「まとめ」を聞き落とすことはまずありません。
(滅多にないけど)もし、ここで聞き落としたら…講演者に直接「最後の締めくくりですが、こんなことをおっしゃいましたか?」と内容を確認します。
インタビューは「まとまった答えが期待できない」と心得る
さて、これで講演の内容は把握しました。
今度は聞いている側、つまり観客の感想を集めることです。
ここでの注意点は講演とは異なり、一般の人は「理路整然と話すことは少ない」ことを理解すること。
それなんで、自分で講演を聞いて、ここがどうも話のツボだなと思った場面を2,3抑えて投げかけます。
そこから、相手の反応を引き出す。この時の声は大体、あいまいです。
ここからはコメントを「精製する作業」。どうして、そういう感想を持ったのか、とかを相手の話を聞きながらまとめていきます。
ここでのコメントも大体断片なんで、こちらの記者の編集を効かせることが99%です。
人の話はおおよそ、冗長だからです。だけれど、頭の中でまとめているわけではないけど、なんとなーく、こんな感じというモノはある。
話を聞きながら、キーフレーズを書き取り、→をつけたり、その間に理由や背景をササッと走り書きしたりします。
そこで、まとまった内容になった時に「ありがとうございます。先ほどおっしゃったことをまとめるとこんな内容で間違いないでしょうか?」とインタビューを取った相手に聞き返して
「そうだ」となればOK。
お名前は匿名希望ならば、匿名で。名前出しがOKならば、名前を間違えないように、一字一句教えてもらいます。
最近の子どもは割と個性的な名前が多いから、メモに本人に書いてもらう事も多いです。
ボイスメモは割と役に立たない
最近はニュースで、記者が政治家にぶら下がってなんか向けている様子を見たことがあると思います。
あれは音声メモで、一語一句を後で聞き返すために用いるものです。
しかし、私は一度も使ったことがありません。
ボイスメモで一番有効なのは「ものすごく短い話」をまるッと取るケースです。例えば、お医者さんの診察を受けて、お薬の飲み方を教えてもらう、とか言うときはボイスメモが便利です。
しかし、これを1時間録音したところで、聞き返すのに1時間使う位なら、それってあんまり意味ないわけです。
結局なんですが、出来事すべてを記事に収めるためには、記事一本(700字弱)では足りません。本一冊の分量になるでしょう。
しかしながら、我々はその中のまぁ…8割の内容を伝えれば事足ります。
デジタルは収録しながら編集はできないので、その辺はまだまだ、人間の頭の方が上、なのです。
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