横川の「峠の釜めし」と私

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この記事では、群馬県安中市(旧松井田町)の名物駅弁「峠の釜めし」の思い出を書いていこうかなと思います。

両親の両親がどちらもこの町出身だったので、個人的に色んなつながりがあります。

間接的に「峠の釜めし」を作ってる会社、おぎのやさんには大変お世話になったんですよね…

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楽しい駅弁をコンセプトに誕生

昔の駅弁って、おにぎりに香の物といった簡便なものが多かったんだそうです。

食べ物が貴重な時期だとそれでも跳ぶように売れたのですが、

戦後食料問題も解決されてくると、お客様もそれ以上の「美味しい」「一風変わった」お弁当を求めるようになったそうです。

そこに気づいたおぎのやの社長さんが、

電車の中でお客さんに「どんなお弁当が欲しいか?」を聞いて回ったところ、

「温かい感じの楽しいお弁当がいいな!」という声があったそうです。

鉄道で売られてたお茶が、当時陶器の茶瓶に入っていることにヒントを得て

一人前の益子焼の釜に、

炊き込みご飯と具材を盛り込んだ「峠の釜めし」を考案。

私自身は子どもの頃から親しんでいたので特別に感じなかったですが、

普通お弁当はオリに詰めますもんね。

そこを重くて割れやすい釜に詰めるというのは思い切ったアイデアですな。

これが雑誌で取り上げられ

ドラマにもされて人気爆発!!

その後鉄道から、自動車に移動手段が移ったことにもいち早く対応し、

JR信越本線に並走する国道18号に大駐車場を持つドライブインを作り、ドライバーに釜めしを売る、

というアイデアも当たります。

 

駅弁だけど、横川駅で売られるのは1%!

鉄道から車、さらに新幹線や高速道路と交通手段が変わっても、

そっちに販路を広げたり、さらには駅弁フェスの常連となるなど、おぎのやの快進撃は続きます。

あのあたりのほぼ唯一の成長企業ですから、地元の学生もアルバイトに雇い、釜めしを作ってました。

私を可愛がってくれた従姉のお姉ちゃんも例外ではなく、アルバイトでおぎのやに行き、

お弁当作りにせっせと励んでいました。

最初は、横川軽井沢間の機関車連結中に売ってた「峠の釜めし」ですが、

今では聞いたところ、

駅売りの割合は1%を切っているそうです。

売る形を変えても生き残り、今も愛される「楽しい駅弁」峠の釜めし。

私にとっては、今は亡き祖父母や、なかなか会えなくなった親戚との思い出がこもった、懐かしい一品になっております。

おぎのやドライブイン=おばあちゃんの職場

ここからは思い出話。

おぎのやのドライブインが出来てから

私の母方の祖母が地元の人の紹介で働くことになったそうです。

夫である祖父は早くに亡くなり、

片親で三姉妹をきっちり高校を卒業させた頑張り者で、

母が結婚し、私が生まれてからもしばらくはココで働いていました。

上信越道はまだ開通してなかったので、

国道17号を下って高崎で18号に入り3時間くらいかけて帰省したものです。

で、さらに先にある父親の実家に行く前にこのドライブインに寄りました。

そうするとおばあちゃんがひと仕事を終えてお店の外に出てきて、

初孫の私の顔を見にくる。

汗を拭き拭き歩いてくるあの時のおばあちゃんの顔は、楽しそうな、優しい顔でした。

その後、小学校の林間学校でもトイレ休憩でここに立ち寄ることになるのですが、

その時はドライブインよりずっと奥に住んでる父方の祖父母が会いに来てくれた思い出の場所でもあります。

釜めしでやった、私唯一の「完全犯罪」

父方の祖父は

戦後に食べ物に不自由してたこともあり、孫が集まると色々ご馳走を振る舞ってくれました。

そんな中の一つが「峠の釜めし」。

一回行くと3泊くらいはするのですが、そこで一回は「釜めし」を下の店で買ってきて、祖父宅に集まって、みんなでぱくつくことになります。

ただ、釜めしそのものは好きでしたが、釜めしには栗とアンズが入ってます。

私は「ご飯に甘いものが付くのが苦手」でした。

しかしながら、ウチの祖父は

食べ物の乏しい時代を生き抜いた人ですから

嫌いなものを残す、などという理屈は通じません。

そこで…

隣に座ってる弟の釜めしにヒョイとそれらを移し替えて知らんぷり…

周りの大人たちは私の「完全犯罪」には全く気づかず、「すごい!栗とアンズが2つ入ってる」「当たりだね!」と大騒ぎ。

当時、幼少の弟は大喜びで食べてました。

覚えているかは知りませんが、弟よ…アレはそういうことだったんだ…orz

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