ぜひ読んでほしい一冊『佐々警部補パトロール日記』

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読書について
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昔、よく読んでいた本に元警察官僚の佐々淳行さんの作品があります。

彼のご先祖様は織田信長に仕えた猛将、佐々成政。

お祖父さんは西郷隆盛とともに西南戦争を戦った佐々友房…となんといっても修羅場が似合う血を持っていた方でした。

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担当した事件がまんま「昭和事件史」

実際、彼が指揮を執った事件を並べると、そのまま昭和事件史になるくらいで、大雑把にあげても…

よど号ハイジャック事件

東大安田講堂事件

あさま山荘事件

ひめゆりの塔事件

金大中事件

…とまぁ、凄まじい。

そして彼はそうした事件の現場を後世に残そうと考えたらしく、こういった事件を基に、数多くの著作を残しています。

これがまた、スゴく面白いんです!

事件の現場は修羅場ですから、暗い話になりそうですが、

どんなところでもこの方、ユーモアを欠かさない。ちょっとしたブラックジョークなんかを交えて面白そうに話す。

以前テレビ番組『平成日本のよふけ』にも出演されて上記の事件についても語っていましたが、

随所に面白いエピソードを挟んで笑わせようとして、

笑福亭鶴瓶さんに突っ込まれまくっていました。

佐々淳行さんの新人時代が面白い!

ところで僕がこの人の著作で一番好きなのが、

駆け出し時代の佐々淳行さんを描いた『佐々警部補パトロール日記』です。

戦後の傷がまだ生々しかった昭和29年。

東京大学を卒業した佐々淳行さんが、

日本の治安を守る事こそ我が使命!と燃えに燃えて警察の門を叩いた時のお話です。

今なら、エリート中のエリート官僚ですから、蝶よ花よと甘やかされるところです。

ところが当時はアンチエリートの気風が警察の中に充満していた時代。

「あんたは他人が7年かかる警部補にいきなりなったんだし、他人の7倍仕事して!」

なんて当時赴任した目黒署署長から有難いお言葉を頂戴するほど。

そんな中で、新人エリートながら酔っ払って署内で悪態をつくアメリカ軍人を英語でやり込めたり、

有名女優のストーカーを逮捕したり悪戦苦闘する佐々さんの姿が二十代にはたまらなくカッコ良かったんです。

それで、何回書棚を整理しても、この本は手放せませんでした。

歳の近いキャラに目がいく

この本はおおよそ10年おきに読み直すんですけど、

そうすると、今の自分の歳と近いキャラクターに共感することが多いですね。

今なら、佐々警部補の上司山本正作刑事ですね。

クセ馬だらけの目黒署のデカ達を

発奮させつつ心服させ、一糸乱れぬ統率力を発揮する一方、

新人の動きを見ていない様で見守る。

ドジを踏めばどやしつけるけど、さりげなくフォローもおこたらない。

選挙違反の取り締まりのシーンなんかは、ものすごい具体的で上司の指示の見本になるくらい具体的なんです。

「いいか、重点は候補者本人。それも買収・饗応といった実質犯だ。(中略)対立候補のこと、根掘り葉掘り聞くんだ。選挙日近くなりゃ、かならず実弾が飛ぶ。饗応の宴会がある。管内の料理屋のお内儀、芸者・仲居、バー・クラブの女給、しっかり掴んどけ。戸別訪問は五軒以上・できれば七軒。二、三軒ぐらいでバン(職務質問)かけるんじゃねえぞ。

(中略)それから、選挙違反捜査は組織捜査だってこと、忘れるな。(中略)いいか。かならず俺に報告し、俺の指揮を受けて動け。一人で突っ走るな。

警察は政治的中立を守らにゃいかん。言動に十分気をつけて、いやしくも一党一派に偏したり、特定候補を狙い撃ちしたり、逆に大目に見てるなんて誤解を受けるようなことのないように。形式犯はほどほどにやっとけ」

自信を持って、こういう風に指示を出せる人、中々いないよなぁ、すごいなと舌を巻きました。

また、この方は名前すら出てこない(いやな奴)のですが、

奢るどころか下にたかって

クラブで「女と5分喋ってよし」とか威張る奴もいる。

…やだねぇ(´・ω・`)、こんな人にはなりたくないわぁ(´・ω・`)

『三丁目の夕日』に近い時代のリアルが溢れてる

あと、この本の読みどころは当時の日本の姿が生々しくと描かれているところですね。

埃っぽい警察署内、

ちょっと歩けば郊外に漂う「田舎の香水」の匂い、

すり減らないように鋲を打った靴底が

床板でカツカツと鳴る音まで聞こえてくるような、

昭和30年の雰囲気が今とは全く違って、そこが面白い。

そして、超メモ魔だった佐々さんらしく、

作中に当時のニュースや物価、食べ物や衣服なども織り込み

当時のイメージが詳細に描写されています。

特に食べ物の話はさして美味しそうでもないですが

先述のストーカーがペラッペラの豚肉のカツ丼を

夢中になってがっついている様子や、

出来損ないや売れ残りのパンばかり食わせられて

つい売り上げをくすねて買い食いをしてしまった見習いの少年など

妙におかしくも物悲しい、当時の様子を活写しています。

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