コロナ禍の今でも使えるノウハウ満載!『連合赤軍あさま山荘事件』を読む

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読書メモ
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今回は元警察官僚で「危機管理」という言葉を生み出した、故・佐々淳行さんの名著『連合赤軍あさま山荘事件』を読みます。

非常事態に人間は、とんでもない行動をとります。そして、その小さな綻びが人の生死に関わることにもなりかねません。

警察を「殺す気で」向かってくる過激派を生け捕りにし、人質を生きて救出するというミッション・インポシブルをどう成し遂げたかを通して、不測の事態にどう対処すべきかを見ていきたいと思います。

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そもそも、あさま山荘事件とは?

あさま山荘事件は1972年に発生しました。

当時、ライフルや散弾銃、爆弾で武装した過激派(連合赤軍)が、群馬〜長野県境の山中などに潜伏していました。

警察による山狩りに炙り出され、長野県軽井沢町に出てきた過激派は、長野県警に見つかり別荘地に立つ河合楽器の保有する「あさま山荘」に人質を取って立てこもりました。

あさま山荘を崖側から。崖から登っても上から丸見え…

谷側は見晴らしのいい崖っぷち、山側に接する道路は狭い厄介な立地であり、

解決に10日、民間人1名が死亡し、機動隊員2名が殉職した、戦後日本国内でもっとも激しい戦いです。

この戦いを仕切ったのが、この本の著者佐々淳行さんです。

ミッション・インポシブルな命令

事件発生と同時に、著者は上司である後藤田正晴警視庁長官に呼び出され、この事件の指揮を命じられます。

そこで命じられたことは…

1.人質は必ず救出せよ、コレが第一!

2.犯人は必ず生け捕りに。殺したら殉教者として祭り上げられる。かならず裁判で裁くから生かして連れてこい。

3.身代わり人質交換はダメ、ゼッタイ!

4.銃の使用は警視庁に伺いを立てるように

5.マスコミと揉めるな

6.警察官に犠牲者を出さないように

めちゃくちゃ難しいですよね。

向こうは散弾銃、ライフル、パイプ爆弾なんかをボンボン使って

「殺すつもり」で来るのに、銃を勝手に使うな!ですから。

人質が生きているか?というのもわかりません(まぁ、そんなに簡単に殺しはしないでしょうが…何が起こるか分からない)

この命令を手に、著者は軽井沢に向かいます

長野県警と警視庁とのぶつかり合い

この事件では、長年過激派と戦ってきた警視庁と地元長野県警との合同チームで事件解決を目指すことになりました。

ここでまず、長野県警側が「何でも俺たちがやる!」としゃしゃり出てきます。

しかし、ことこどく不手際に終わります。コレでやっと長野県警側も大人しくなり、協力的になる有様。

現場では手配した弁当もカチカチに凍ったので、日清食品が発売間もないカップヌードルを警察に提供しました。売れ行きがイマイチだった同商品がブレイクしたのは、このシーンがテレビで放送されたから、と言われています。

警察側も零下15度にもなる寒さの中、精神的にも肉体的にも疲労困憊。

そんな中なんとかチームをまとめあげ、体勢を整えつつ、情報収集を行います。

犯人に対する説得を行いつつ、一方でチームの志気を高め、万端の準備を進めます。

でも起こる、アクシデント

説得も虚しく、最後の手段、突入の日を迎えます。

が、この時でも万端整えたはずなのに、あちこちでアクシデントが。

作戦の邪魔になる電線を切り忘れ、山荘突入のために必要な重機が途中で動かなくなり、突入していた機動隊の隊長、副隊長が撃たれて亡くなるという事態に。

そこまできて、やっとの思いで出た拳銃の使用許可も「適時適切な状況を判断し、適時適切に拳銃を使用せよ」という、しくじったら現場の責任にする気満々

しかし、指揮官としては、その条件に合うように「相手の銃の銃身をピストルで狙い撃つ」という使い方をして、なんとか急場を凌ぎます。

そして、なんとかかんとか犯人を全員生け捕り、人質を無事救出します。

しかし解決後、

著者は山荘内に踏み込んでパイプ爆弾がまだ残っていて、作戦の放水で濡れて使い物にならなくなっていたのを確認して、

「もしコレがまだ使えていたら、もっと犠牲者が出てた」と震え上がります。

もし、何かの間違いで放水が続けられなかったら、コレが炸裂したかも知れない、と。

こういう極限状態、どこで何が起こるか分からない、そんな事までトコトン想定しつつ、いざ事が始まったら冷徹に指揮に徹する。

そして、犯人を生け捕りにすることで、犯人たちが仲間をリンチにかけて殺していたことが判明、過激派は急速に国民の支持を失いました

犠牲者が埋められていた山中の現場検証の様子。

今では信じられないことですが、あさま山荘事件当時は「立てこもった過激派に対する共感」が根強くありました。

それが「仲間も手にかける殺人鬼」というイメージが一気に広がって、彼らの運動は一気に下火になっていったのです。

【参考】

山岳ベース事件 – Wikipedia

もし犯人を殺していたら、このリンチ殺人は表に現れなかったかも知れず

彼らの正体が明らかにならないまま、彼らへのシンパシーを抱き続ける人もいたかもしれません。

事件当初、佐々さんに「犯人を殺すなかれ」と命令した後藤田さんは正しかったことが証明されました。

事件解決で責任問題が…

こんなビンボーくじみたいな仕事を、6つの命令のうち、5つをキチンと成し遂げても、残り1つの事をマスコミ(A紙と伏字に)に突かれる。

それに戻って来たら、亡くなった2人の仲間の遺族にお見舞いをしなきゃいけない。

辛いだろうな…

我々も日々、仕事をしてて似たような事がありますが、それとはレベルが違う理不尽さ。

ただ、この作戦をやらせた後藤田長官は彼の仕事を評価してくれた、と著書に書かれていたので、著者もさぞかし救われたでしょうね。

非常事態はみんながおかしな事をする

この本を読んで一番感じたのは

「みんながみんな舞い上がっている中でも指揮官は冷静に対応することを心がけろ!」ということ。

今、コロナ禍でマスコミが頭のネジが飛んだように、好き勝手にいい加減な情報をヒステリックにがなり立てても、

それを国民が真に受けてトンチンカンな反応をしていても、

定例記者会見で、キチンとメッセージを出し

たとえ発表する事がなくても「変化なし、発表することなし」と発表することが重要であるというのは真理をついてるな、と思います。

普段ならある連絡事が中止されると「裏で何かが動いているのでは?」と勘ぐる、というのはどこの社会にもありますよね。

この本には、この手の教訓が山と詰め込まれていています。

著者の文章はどんなキツい状況でもユーモアが挟まれるので面白く、迫真を持って読ませてくれます。

事件から50年近く経とうとしていますが、この一冊は末永く、知的財産として残って欲しいなと思っています。

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