Wikipediaを暇つぶしに読んでたら、第二次世界大戦時のアメリカ陸軍第442連隊を思い出しました。
久しぶりにものすごい興味が湧いたので、新書を求め、一気読みしました。
日系二世の部隊、陸軍第442連隊
442連隊は日系アメリカ人二世で構成される部隊。当時のアメリカ陸軍において飛びぬけて士気が高く、厳しい戦線で突出した戦果を挙げつづけた伝説の部隊でもあります。
彼らの強さの理由は…読むほどに切なくなるのだが、
『祖国であるアメリカに忠誠の証明をしたい。俺たちはアメリカ人だ』という気持ちと、
それを国家に許してもらえない
日系二世の当時の境遇に対する相反した状態が生み出したものかもしれない。
「私は何人であるか?」なんて、
祖父も曾祖父も、あるいはずーーーーっと前の代でも日本人である私であればさほど気にもならないだろう。
しかし、アメリカで生を受け育った『日系二世』にとっては、
外見が日本人でも、自分はアメリカ人であるという気持ちを持っていました。
しかし、アメリカと日本という、母国とルーツに当たる二国が戦端を開き、
かつ黄色人種にたいする偏見と差別から、彼らは『敵性国の人間』とレッテルを貼られていました。(ちなみに、同じ枢軸国のドイツ系、イタリア系はこういったお咎めはありませんでした)
のみならず、自由をはく奪されて、収容所に入れられる…この気持ちはいかばかりか、とおもいます。
でも、彼らはそれぞれの置かれた立場の中で必死に生きたわけです。
この442連隊に志願した方もいたし、太平洋戦争の日本語担当として、諜報や通訳に従事した方もいました。
442連隊ヨーロッパ戦線に投入され、
おもに苦戦が予想される戦場を中心に投入され、枢軸国相手に勇戦敢闘しました。
その激闘ぶりは数字にもハッキリ表れていて
連隊に従軍した約14000人のうち、死傷率はブッチギリの314%
つまり「1人平均3回以上死ぬような大けがをした」ということです。
そして9486人がパープルハート章(日本語では名誉負傷章、名誉戦傷章、名誉戦死傷章などとも訳される)を獲得するほどの活躍でした。
彼らの名を著しく高めたのは敵に包囲された部隊を救出に向かったときで
800人余りの死傷者を出し、200名の仲間を救出
作戦後第442連隊戦闘団を閲兵した師団長であるダールキスト少将が
あまりに少ない所属兵士達の姿を見て、
「全員を整列させろといったはずだ」というが、
指揮官代理の言葉は「目の前に並ぶ兵士が全員です。残りは戦死か入院です」と答えたというほど、その勇敢な戦いぶりは際立っていたそうです。
アイデンティティクライシスを乗り越えた「三つの価値」
自分のルーツと祖国が真っ二つになり、それでも祖国のために戦う。
彼らの心を支え続けた心の強さは、どこから生まれるものなんだろうか?
僕の中で結びついたのが『夜と霧』の著者、V・フランクルでした。
442部隊がヨーロッパ戦線で、苦しい戦いを続けていたころ、
同じ大陸のアウシュビッツ強制収容所で生き残ろうともがき苦しんでいたフランクルは、後に人の生きる価値について「3つの価値」を提唱しています。
自分の仕事をまっとうする、創造価値
美を味わい、大いなる自然とふれあい、誰かと愛しあい、人と深くつながりあう、体験価値
変えることのできない運命に対して、自分のとる態度によって実現される、態度価値
二世達は時代の荒波に翻弄されながら、
この3つの価値を心にしっかり持つことで差別、偏見に挫けることなく逆境をはねかえした。
そして、このときの活躍がアメリカ合衆国で日系人の地位を格段に高めることになります。
恵まれすぎるほど恵まれている私たちは、どんな思いで生きるべきなんだろうか?
もうね、この本を読んでると、涙が止まらないし、
胸が締め付けられるような思いを感じます。
日本人である私は祖国とルーツが一致していて、彼らとは比べ物にならないくらい
楽な立場にいることは確かです。
しかし、靖国神社に出かける機会が昨年から一気に増えるたびに、
平和な時代に「自分の幸せを追求して」生きることができる私たちと、
「国を守るために」命を捧げなければならなかった当時の人たちと
置かれた立場の理不尽さを心に強く感じるようになりました。
現代の日本は先人達の血と汗と、涙の上に築かれたものです。
僕ら今の日本人は、彼らのような先人のおかげでいい思いが出来るんですよ。
私としては、フランクルの提唱する3つの価値すなわち、
自分の仕事をキチンと全うし
自分の周りにいる人たちを大事にし、この社会を守り
自分が変えることのできない状況に対しても、諦めずに立ち向かう態度を取り続ける
他はないんだろうな、と思います。
現在の状況は終わりが見えないコロナ禍で、状況によってはどう未来が変わるのか
我々もサッパリ分からない状況ですけれど、
自分の持ち場をキチンと守り、出来る限りで全力を尽くす
そうした心構えで生きていたいものです。
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