天才の末路は黒歴史!『中華人民共和国史』から見る毛沢東

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先日古本を整理してたら、こんなのが出てきた。

1999年刊。

建国から、江沢民時代までの範囲を丁寧に書いていてある。

この本で半分近くを割いて書かれているのが毛沢東時代である。

この、毛沢東という人物は相当クセの強い奴。

私の見るところ、この男を一言で言うなら「壊し屋」だ。

戦略を立て、はかりごとをめぐらし、敵を殲滅させる事は実に上手い。事実、その力を発揮して国民党軍を中国大陸から駆逐した。

が、そんな天才も平時では、頭でっかちでせっかち、知らない分野にまで介入する様な迷惑な指導者でしかない。

使われる立場だったら項劉時代の韓信みたいに始末されてオシマイだが、指導者であるからそうも行かない。

皇帝である彼が一声発すれば国はその方向に一目散に駆けていく。

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大躍進どころか大失敗

毛沢東は1957年に『大躍進』という経済政策を立てた。

とは言っても、毛沢東は経済のドシロート!

一年で粗鋼生産を倍増とか、農業生産量を倍増とか実現不可能な数字を掲げて、いざスタート!!

神様みたいな指導者様のいうことなんでみんな文句が言えない。もし文句を言うやつは『右派』『修正主義』とレッテルを貼って粛清する。

結果みんな「仰せの通り」で原始的な炉を作り鉄を作った。

そこら辺の鉄クズを集めて溶かしたらくず鉄がたくさん出来ただけ…

結果確かに、鉄生産量は倍増。だが、出来たのはなんの役にも立たないくず鉄

しかも、鉄を溶かすために木を伐採。禿山が続出した。

一方、農業も灌がいや堆肥をガンガンやる。

肥しでも水でもなんでもやりゃ、イイってもんではない。

結局、農業生産高はがた落ち。

さらに足を引っ張ったのが「人民公社」

人民公社のシステムは、頑張っても報われない方向に作用し「やってもやらなくても同じ」になってしまったわけだ。

一生懸命働いても、寝てても同じなら、成果を上げようと一生懸命働く方がどうかしていると言うものだ。

責任者もホントの数字を言うと「目標未達」で自分が処罰されるので都合のいい数字をでっち上げる。指導者様が怖いので、みんなホントのことを言わない。

かくてとっつあんの手元には目標を上回る数字が続々と上がってくる。

ご満悦の毛沢東。…でも上がるのはあくまで「数字」だけ。

現実は作物の収量は激減、工業も停滞した。

そうこうしているうちに食糧不足が深刻になり、大洪水も発生。

禿山だらけの山林、治水なんかシロートの毛沢東が命じた、むちゃくちゃな灌がいが原因なのは言うまでもない。

かくの如く、大躍進政策は1000万の死者を生み出して3年で幕を下ろした。

文化大革命で人民が迷惑

大躍進の後始末をしている時には当然、蚊帳の外だった毛のとっつあん。

自分とは反りの合わない、劉少奇や鄧小平と言った実務家たちが大活躍。

建国の功労者だが、名誉職に。

権力が大好きな毛のとっつあんは当然、面白くない。

夢をもう一度!

…と自分の才能をフルに使って陰謀をめぐらして起こしたのが1966年から10年間続いた文化大革命。

バカなガキを焚きつけて、国民生活そっちのけで権力闘争をやらかした。今度もまた1000万人の犠牲者が出た。

出来る人を片っ端から吊し上げてリンチ。中国の成長を10年止めたと言われる

ちなみに毛沢東に煽られて立ち上がった「紅衛兵」世代は教育も受けず革命ごっこに明け暮れたため、仕事で使えない「お荷物」に落ちたとか…

…戦争では天才かも知れないが、このオッサンのおかげで2000万からの人間(もっと多い可能性が高い)が死んだわけで。

これはもう、一般的な人災のスケールを遥かに超える。

建国の英雄は、国家運営では疫病神でしかなかった、というオチでした。

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