古典の大著をダメ人間図鑑として読む…ギボン『ローマ帝国衰亡史』

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高校の時世界史が好きすぎて、英語そっちのけで世界史にのめりこみ

現役時代大学に落っこちました。

そんな目に遭ってても今でも世界史は好きで、

YouTubeでそう言う番組がアップされているとつい見ちゃいます。

そんな私が大学時代に読んだのは、PHPから出てた抄訳の「ローマ帝国衰亡史」。

この前ブックオフに行ったら「普及版」として上下巻に分冊されたものが売ってましたので、自宅の書棚に放り込んで、時折読み直しています。

この『ローマ帝国衰亡史』は、

帝政ローマの最盛期である五賢帝時代から

1453年のコンスタンティノープル陥落で東ローマ帝国が滅びるまでを書いた本で、

時代的には塩野七海の『ローマ人の物語』から、帝政ローマになる前の時代をとっぱずしたような感じになってます。

絶頂期から緩々と弱っていくローマ帝国を描いたものです。

 

古典としては超有名で、イギリス宰相のチャーチルやインドの初代首相ネルーと言った歴史人物も愛読していました。

読み始めて、驚いたこと。

高校時代にあれだけやったのにだいぶ忘れてる!

大雑把なことは覚えているけど、

誰が何をやったのかとかはスポーンと記憶から抜け落ちています。

 

ただ、それが一概に悪いことかと言えばそうでもなく、

昔は世界史の知識で読み飛ばしていた部分で、社会経験積んだら、結構身につまされる部分を見つけたりして面白いんですよね。

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あれ?なんかローマ帝国ってグラグラじゃん!?

昔は、ローマびいきだったせいか、カッコイイ人物伝ばっかり読んでたからか…

 

ローマ=「強い」だったのですが、

スゴイ人物の代表例、「哲人皇帝」ことマルクス・アウレリウス・アントニヌス

久しぶりに読んだら個人的な野心から小細工を弄する『火サス』みたいなドロドロの人間ドラマもありますし

ローマ帝国内部でも色々問題が起こりますし、対外的にもローマ帝国ってよく負けてます

当時辺境に住んでたゲルマン人やゴート人なんかに領内を暴れ回られ、掠奪を受けたり、ペルシアと戦争になった時には、なんと皇帝が捕虜になったり…

その他もやたら存亡のピンチがあり、

そこにたどり着くまでには民主党政権のルーピーやすっから菅も真っ青なカラバカ皇帝がいる。

兵士たちのノリで皇帝にされたのはいいが、またノリで降ろされる(のみならず殺されるから可哀想)なんちゃって皇帝もいたりする。

で、「たまに」ユスティニアヌス帝みたいなスゴい人が皇帝になって、墜落寸前みたいな国が一時的に立ち直る!

これで安泰、盤石だ…とはならず、

また…あっちへフラフラ、こっちへヨロヨロって感じの展開が1300年続くんですよ。

このダメダメぶりがクセになる

まぁ、なんとなくそこがリアルだな〜と思いますね。

現代もそうですよね。

会社って問題をいくつか抱えながら、なんとなく続いちゃってるケースって良くあるんですよね。

中にいる人間は右向いてたり左見てたりととにかくまとまりを欠いていたり、社長は社長でいつ辞めようかと退職金の勘定なんぞをしてたりする(僕の会社じゃないですよ)。

要は順風満帆、右肩上がり一直線なんて楽しい展開は少なくて、それでも何となく続いちゃっているうちに長年の矛盾が極まってトラブルの形で吹き上がる。

場合によってはそこでご臨終になる会社もある。

 

これって時代関係ないですよね。人っていつの時代も近視眼的な見方をして「いつか来る」ピンチを見過ごしているうちにホンモノが来る

なんだか「しくじり先生」みたいな話が満載で

上手くいかないことも結構ある。

できることなら真似したくない超ダメダメな展開…でもクセになるなぁ。

ダメ人間図鑑みたいに楽しむ『古典の名著』

でも、これを読んだらミョーに明るくなってる自分がいます。

しがない稼業で糊口をしのぎ、晩酌が1日の楽しみなダメ人間の私ですが、

人間って立派な人生ばかり送る人ばかりじゃないんだよね〜と。

 

歴史的名著なんで、立派な人ばかりかと思うと、この本は「バカなやつ、ダメなやつ」もキッチリ書いています。

古今東西、バカもダメ人間も掃いて捨てるほどいたのかと思うと、ちょっとホッとします。

そもそも立派な人物、立派な人生がなぜ讃えられるか?それは、みんな抜けてるからだ!

…まぁ、だらしない人間の自己弁護です、これは。

偉人たちは、どんな風に読んでたんだろう?という想像が楽しい!

あと、想像したのはこれをチャーチルはどう読んだんだろう、と。

彼が宰相の座にあった時って、

大英帝国が世界大戦で没落して、アメリカにとって代わられた時代です。

19世紀まで、ブイブイ言わせてた大英帝国が二度の世界大戦で持ち玉を使いつくし

遠からず植民地も続々と独立して覇者の座から滑り落ち、代わってアメリカ合衆国が超大国に躍り出た、そんな時代。

ローマ帝国と同じように、世界帝国から一国家に落ちていく祖国の現実を目の当たりにして

どんなことを考えたのでしょう。

 

そして、チャーチルとは逆に…大英帝国から独立したインドの宰相ネルーは、

この本をどんな思いで読んでいたんでしょうか。

もしかしたら、ローマのワチャワチャを読みながら、

「イギリスにこんな時が来たらチャンスが来るぞ!」とインド独立への布石を打ってたのかなぁ、とか。

「もし独立したとしても全インドを丸っと抱えるのは難しいから、ある程度まとまれる所でまとまった方が得策かも」なんて考えていたんでしょうか。

 

大昔でも、人間の根っこの部分は全然変わってない面白さ

 

古典というと、身構えちゃう人もいると思うんですが、

要は、古典ってものも、

人間の性根というか、性格って我々が思っているほど進歩も発達もしていない

そのことがあるからこそ、価値があるわけで。

ダメ人間図鑑的に楽しんでみたらいいんじゃないかなぁと。

 

まぁ、紹介した本はたった2冊にまとまっているので、

ちくま文庫版の全10巻よりかは読みやすいと思います。

ご興味のある方はご一読を。

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