冬も終わりですが、肌寒い日には鍋が美味しいですね。
今年は大分高かったですが、鍋というと白菜が実に美味しい。
最近はカット野菜でも売られているこの白菜。知れば知るほど面白い野菜なんで、記事にしてみました。
昔からいた顔をして、実は割と最近日本に入って来た野菜
この白菜、実は外国から入って来た野菜。
なんか、私のように昭和キッズでは、じーちゃんの家に行けば、どんぶり一杯に「白菜の漬物」があって、近所のじっちゃんばっちゃんがツマミにしながらお茶を飲んでるから
江戸時代からある、いやもっと古いんじゃ…と思っちゃうところですが
移入時期は…なんと、明治時代なんです。さらにいうと、普及したのは昭和。
とはいえ、明治から昭和っていえば、野菜がやってきてから広く食べられるまで…まぁ50年くらいはかかってる。
こんなに美味しくて、人気のある野菜なのに、なんでだろ?
白菜の普及に時間がかかった理由
野菜って、食べ慣れる…ってありますよね。
例えば、トマトなんか日本人、今では当たり前に食べますけどアレは戦後に食べさせられてるうちに「慣れた」もんです。
昔の人は熟する前の青いヤツをソースつけて食べた、なんて人もいたそうで。
ただ、白菜の場合はそうじゃない。
明治初期に中国の山東半島から種が入って来ましたが、ラグビーボールみたいに丸まって、大きく育つ白菜は、日本人の心を鷲づかみにしたらしく、すぐ「作ろう」となったんです。
江戸時代までは年貢のために米を造らなきゃいけなかったけど、明治になると「売れる野菜を作ろう」なんて野心的な農家さんも出て来たので、余計です。
…ところが、この白菜。
もらったタネをまくと、見事に丸まるのですが、タネを取って育てると、世代を重ねるごとにどんどん「丸まらなくなる」という現象が発生しました。
そのうちに「白菜でない、なんかよく分からない菜っ葉」になっちゃう。
売り物は「継続的に供給しなきゃ売れない」のです。馴染んだ頃に無くなっちゃ、話になりません。
この「白菜が変わっちゃう現象」を克服するために、半世紀近くを費やすことになるのです。
実は、戦争がメチャクチャかかわってくる白菜の普及
しかし…それにしても、なんでこんなに白菜が粘り強く栽培研究の対象になったか。
これは、日清戦争(1894~95)や日露戦争(1904~05)が関係してきます。
日清戦争は当然、中国の遼東半島に行って戦争してますから、野菜を現地調達して食べてた人が、タネを分けてもらって持ち帰る。
しかも、見事に結球している白菜を見て、こんな野菜なんだ、とイメージを持ち続けた。
実際、明治天皇にも「中国にはこんなみごとな野菜があります」なんてことで白菜が届けられ、
実に立派だなぁ…と喜んだ、なんて話もあります。
日露戦争は?
ロシアが相手ではありますが、これも中国東北部、当時の満洲が主戦場でしたから、白菜に触れるシーンはあるし、タネも手に入る。
そういうわけで、諦めるのではなく、あの野菜が出来ないかなぁ…(´・ω・`)って、探求するというパターンに入ったわけです。
丸まる白菜のタネを取れたのは、あの場所!
しかし、白菜を作りたいからって、タネがとれないのでは話になりません。
もちろん、原産だった中国からタネを輸入すれば、栽培の研究自体がすすんでいますから、ちゃんと丸まったものが収穫できる。
だけど…育てられるのにタネがとれないのはおかしい。
…なんとか、白菜のまま、育てられるタネがとれないか?と悪戦苦闘が続くわけです。
…で「世代が進むほどに白菜がまるまらない問題」の正体が徐々に明らかになって来ます。
それは「他の植物の花粉を受粉しちゃった」から。
この写真を見て、何の花だと思いますか?菜の花に見えるでしょ?
でも、これ実は白菜の花。見た目で分かるとおり菜の花のグループと「白菜」は同じ種なんです。
だから、こういった同じ種の花粉を受粉して、タネをとっても、白菜の特徴はドンドン失われて別の「なにか」になってた、と分かったわけです。
そこで、賢い人は考えた。
「花粉の飛んでこない場所で白菜を育てれば、白菜のタネとれるんじゃね?」と。
そこで選ばれたのが、宮城県の松島湾。
「松島や ああ松島や 松島や」のあの、松島です。
その南端の馬放島(まはなしじま)という場所は畑が作れるんで、ここでタネを作ってみた。
もちろん、白菜に混じりそうな植物はみんなで島から一掃してです。
そしたら、大成功!日本で極めて質の高い「白菜のタネ」ができたわけです。
これが1916(大正5)年の話で、後には高価なガラス張りの温室でタネを取ることも成功。
美味しい白菜は一気に日本に広がって、
現在は「え?私昔からいますけど?」なんて顔?をして、
漬物に、炒め物、煮物、鍋物…食卓をにぎわせているわけです。
【参考文献】
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