みなさんは「昔は良かった」と言ってるお年寄りの話にウンザリした経験はないでしょうか。
私も齢47を控えて、これだけは言わないどこ…と思っているのが「昔は良かった」。
だって、私の子どもの頃だって、イジメだカツアゲだのありましたし、少年犯罪があって「十代が壊れた」と週刊誌が書き立てて、
当時リアル十代のワイ、壊れちゃいねーよ、と人知れず毒づいていたひとりなんです。
中でも、戦前の時代だと、なんかミョーに軍国主義っぽい時代とかいったり、また当時の少年たちは純粋無垢で…などと賞揚する人がいるけど、なんか胡散臭い。
だって、証拠がない、印象論に過ぎないからね。
そういうへそ曲がりが、実は2007年に本を出してて、これが結構話題になっていたんです。
本のタイトルは「戦前の少年犯罪」。著者の管賀江留郎(かんが・えるろう)さんは少年犯罪データベースというサイトの管理人で
国立国会図書館の新聞記事や雑誌などからこの手の犯罪を調べ漁ってきた人。
彼のデータはものすごく網羅的で、彼がテレビに出ると、印象論でしか語っていなかったジャーナリストも、学者も、初手目が点になり、続いて何も言えなくなり…という状態になった、と言います。
そして、そんな人がかき集めてきた犯罪は、それこそ現代の少年犯罪も真っ青な凄まじいものがてんこ盛りだった、というのがこの本の眼目。
著者は、きっと「今の少年は~」でくくられることが多いであろうレッテルで章を構成していて…
1 戦前は小学生が人を殺す時代
2 戦前は脳の壊れた以上犯罪の時代
3 戦前は親殺しの時代
4 戦前は老人殺しの時代…というように
今にあるものは当時にほぼ、全部あるといったあんばい。
面白いので例を挙げると
働かない32歳の兄貴と折り合いの悪かった18歳の弟が「働いている人と遊んでいるものの区別くらいつけろ」と不満を持って
カミソリで切り合いになり、双方重症を負った事件は「1933(昭和8)年5月2日」の出来事。
あるいは、1932(昭和7)年には、14歳の女子生徒に子どもを産ませ(死産だったが)、関係が露呈した25歳の担任というロリコン教師の話もありーの、
1935(昭和10)年には、山口高等学校の80人が街へ繰り出し、バスを停めてみんなでぶっ叩いて、乗客を脅すわ、お店の看板をぶっ壊すわという「ストーム」におよび
警察も手を焼いて5人が逮捕、厳重説諭という事件もありーの。
さらに、ガンコントロールが行き届いてないから1929(昭和4)年には
数え年9歳の男の子が近所の6歳の子どもに餅を食われたことに腹を立て、父親の猟銃を持ち出して頭に発砲…という
なんという、末法感がただよう事件もある。
私は決して、昔がこんな事件ばかりだった、と言いたいわけではなく、昔だってこういう犯罪があったのは事実なのに、今どきの若いもんは…なんぞと教育論で説教たれたら
そもそも前提が違い過ぎておかしいのではという著者の意見に賛成。
ちなみに、内容が暗いせいか、著者はわざと軽~く解説で突っ込んでくれるので、そんなに読みにくいわけではないです。
こういう本がお好きな人はぜひ、手に取ってみてはいかがでしょうか。
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