今朝はいい天気で、週の初め「今日も思い切って頑張るぞ」と思ったら…
いきなりやってくれました、高崎線!東海道線の人身事故のため、ストップしました。
私が大学生の時には、東京駅へ出るには上野まで出て、そこから京浜東北線に乗り換える、
新宿駅に向かうなら、さらに手前の赤羽駅で埼京線に乗り換える必要があったのですが
それぞれ、上野東京ラインや湘南新宿ラインの開通で、乗り換えなしの直通で出られるようになりました。
しかし、複数の路線乗り入れをしたことで、一つが止まるとその影響が他にも波及することに。
電車が止まったら本を読めばいいじゃないか!
しかし、便利さを追求するなら、この程度でめげていては、代替路線のない高崎線沿線は生きていけないのであります。
会社には電車が遅れる旨を連絡し、あとはこの時間をどう潰すかなのですが、
ちょうど鞄の中に入っていた浅田次郎の『鉄道員(ぽっぽや)』を読み始めたわけです。
『鉄道員』は高倉健さん主演で映画化されているので
長編小説と思っている方も多いと思うのですが、実はこの小説自体は40ページ程の短編小説です。
しかも、お目当ては表題作ではなく、この本の中に入っている
『角筈にて』と『ラブ・レター』なんですね。
そのきっかけはSNSでのやり取りで「オススメの本を教えてください〜!」と発信したら、
浅田次郎さんをオススメされたんです。
その時、なぜか『角筈にて』がめちゃくちゃ読後感が良かったことを書いたら、
「『角筈にて』は土地勘があるからスゴくイメージ湧くんだよ」とのこと。
その方、新宿育ちだったんですね。
そこからさらに短編の『ラブ・レター』に話が飛びました。コレもスゴく心が温まるいい短編なんですよね。タイトルを思い出した瞬間に、二十代で読んだ時の感動が蘇ってしまい、
翌朝に図書館で借りてきたわけです。
なんか昔読んだのを読み直すと、なんか色々と昔と見え方が変わるよなぁ、と思います。
『角筈にて』は、つのはずという地名に惹かれて読んでたけど、ファンタジーかなぁと読んでた。
でもアレは父親との別れの割切れなさを、自分なりにケリをつけて前へ向かっていく、主人公の出直し、生き直しの物語だなぁ、とか。
『ラブ・レター』は偽装結婚した中国人女性の白蘭さんがひたすら健気に見えたのが、それに加えて、主人公の心象風景が胸に迫ってくる。
人って生きてるウチには、知らず知らず、あるいは見て見ぬふりをしながら人を傷つけている…ってことをある日突然気がついて愕然とすることってあるじゃない?
アレを感じましたね。
『鉄道員』にしたって、仕事に没頭しながらも、そのために失ったもの、心の奥底にある後悔の念とかが深く、オリのように溜まってくることって、あるなぁとか。
色々考えながら、読み進めたらようやっと電車が動き出しました。
自分としては「こうやって自分の心を掘り返すことができたなら、この電車の遅れも、まんざらムダではないなぁ」
と改めて感じた次第です。
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