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昭和天皇と新聞の小ネタエピソード集…いち読者としての昭和天皇

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この記事では、昭和天皇(1901~1989)の新聞とのエピソード集を書いていきます。

昭和天皇は生前、記者会見で「世の中をよく知るために、新聞やテレビをよく見ている」と発言されていました。

当時もっとも身近な情報源のひとつが新聞でしたから、昭和天皇も何紙かとって熱心に読んでおられたそうです。

記事にはもちろん、ご自身の話が載ることもありますし、

関心のあるニュースには目をとめて、注意深く記憶もされていたようです。

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食糧難の救世主?人造米に関心

戦後まもなく、日本は食糧難で、とくに主食のコメの増産は喫緊の課題でありました。

何か、いまでも天皇は白米をたらふく食べていた…というデマを信じる人もいるみたいですが

当時の昭和天皇や香淳皇后は、玄米に麦を混ぜたご飯、野菜の粉をまぜた黒いパン、うどんにすいとん、イモ類などの「代用食」を召し上がっていました。

そんなわけで、ご会釈(一般の人へのあいさつ)を行う時も「今はどんなものを食べていますか」という内容が、圧倒的に多かったわけです。

国民がちゃんと食べられているであろうか、

昭和天皇は常に気にかけていました。

そんなある日、陛下は新聞で「人造米」の記事に目をとめました。

人造米はトウモロコシや麦などのデンプンを、米状に加工したもので、

その製造に成功した、との内容でした。

お米は基本、年一回の収穫ですが、この人造米ならば、デンプンさえあれば一年中生産が可能である

これに強い興味を引かれた陛下は

「人造米を取り入れたいから調べるように」と命じます。

…ところが、このニュースは「人造米が開発できた」という記事で

量産化はまだ始まっておらず、色々当てを探したが手に入らなかったのです。

それを聞いて、陛下はご自身の勇み足に苦笑いをしてしまったとか。

なお、後日談ですが人造米は製品化され

日本の食卓の救世主とされ、昭和28年ごろにブームになりましたが、

粗製乱造がたたったのか、粗悪なものが多くて評価は急落。

その後はコメの増産が進んだことも相まって姿を消してしまいました。

じゃない!?」天皇の記事が載ってビックリする

戦後、アメリカ軍の統治下にあった沖縄を除く日本中をくまなく回り

国民を慰め、励まし続けた昭和天皇の「戦後巡幸」

それまで生のお姿を見たことがなかった天皇が、親しく国民に接したことで

国民から強い関心を寄せられました。

そうすると、陛下がおいでになったところには「陛下の動静」と称する記事が掲載されることになります。

ところが、ある朝陛下が新聞を開いたところ

そこに奇妙な記述があり、陛下を戸惑わせました。

いわく…

天皇陛下は宿泊先につくと、浴衣に着替えビールを飲んでくつろがれた。

早速同行した侍従に「これは一体どういうことだ!?」と困惑する陛下。

この記事は昭和天皇のことを知ってる人ならおかしな点が2つあります。

ひとつ目は「昭和天皇は洋服派で、寝る時はパジャマだった」こと。

儀式の時は別ですが、その他は一切を洋服で通していました。

もうひとつは「昭和天皇は下戸」であること。

飲むと体調が悪くなる、というから相当合わない体質でした。

この一件、どうやら記者の創作だったらしい。

「浴衣を着てビールをグビグビ飲む」自分なんて真逆な描写をされたら陛下もきっと、驚いたでしょうね。

皇居ではなぜ、松にワラを巻かないのか?との記事に直々にご回答

別の時の話。皇居で新聞を読んでいた陛下は侍従を呼んで「新聞社に連絡を取ってくれ」とおっしゃった。

この記事についてだ…と陛下に見せられたのは

「皇居の松には藁が巻かれていない。これでは毛虫の害が心配だ」という記事。

これは「こも巻き」と呼ばれるもので

冬に害虫が地上に降りてくる性質を利用し、藁で編んだ「こも」を松の幹に巻き付けて、

虫がこもの中に越冬するように促し、春にこもを外して焼却することで害虫を駆除するという伝統的な方法です。

記事ではこのことを心配口調で書いていたので、

昭和天皇は「正確なニュースを届ける新聞が間違えたら、きっと記者も具合が悪いだろう。

皇居には野鳥が多く飛来して、毛虫を捕食するので、こもは必要がないのだ。

記者に教えるように」とおっしゃる。

侍従がおっしゃる通りにしたところ、その後続報を含めて、一切紙面には出なかった。

陛下は一切気にしなかったようだが「新聞記者、見て来たような嘘をつき」という言葉もあるくらい、知ったかぶりの多い仕事に

「具合が悪いだろう」と教えてあげたんだから、ホント真面目で頭の下がるお話でありました。

広告にも目を通していた陛下

昭和天皇は記事だけでなく、広告にも目を通していました。

とくに注意深く見ていたのが、通称「サンヤツ」と呼ばれる一面広告です。

名前の由来は高さが3段(大体10㎝くらい)に8つのスペースに分けたものから。

日刊紙を読んでいる人だとお馴染みで、通常の広告とは一線を画す「紙面と合わせた活字だけの広告」で、フォーマットも厳しく決められています。

また、この広告欄でアピールされるのは「書籍」です。しかも、ベストセラーというより、かなり渋いタイトルが並ぶ傾向があります。

普段から注意深く、本を探して読んでいた陛下ですが、紙面の書評だけでなく、こういうところからも情報をとっておられたようです。

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