この記事では、昭和天皇とテレビ番組の付き合い方を、当時の側近の書き残した証言を中心にご紹介します。
昭和天皇は生前、試聴するテレビ番組を記者会見で尋ねられて
「テレビは色々見てはいますが、放送会社の競争がはなはだしいので、どの番組を見ているのかはお答えできません」とコメントし
臨席した記者たちを爆笑させています。
しかし、生前お仕えした人々が、様々な形でお楽しみになった番組を思い出として書き残しており、大体、こういった番組を好まれた、という証言がチラホラ残っています。
何より大好き!大相撲!!
昭和天皇はとにかく大相撲が大好きで、他の番組なら公務の最中にテレビを付けないけど
気になる取り組みがあると、ついテレビを付けてしまうほどお好きだったそうです。
ちなみに、ひいきの力士として伝えられるのが高見山関と蔵間関。
場所中には、侍従や侍医と取り組みの勝敗を当てっこして楽しんでおられたそうです。
【参考記事】
自分の珍プレー映像に大喜び
昭和天皇がお好きだった番組のひとつに「皇室アルバム」があります。そんな皇室アルバムにまつわる面白エピソードがコチラ。
1961(昭和36)年、秋田県で行われた国体に出席されることになった昭和天皇。
駅にたどり着いたところ、折からの風雨で傘を差していたら
突風で帽子が飛びそうになり、慌てて帽子を抑えた。そしたら今度は雨のため差していた傘が突風に襲われ「おちょこ」になってしまいました。
そこをテレビカメラにバッチリ撮られて「皇室アルバム」が放送しちゃったわけです。
「天皇陛下のみっともない姿を放送するとはけしからん!」
と宮内庁はすぐクレームを付けようと思ったんですが
案に反して「皇室アルバム」の大ファンだった昭和天皇は放送を見て大喜び。
みずから「あれ見た?面白いよね!!!」と側近たちに上機嫌で語る姿に
「喜んでいらっしゃるならいいか」とクレームをつけるのをやめたそうです。
見れない番組は、ビデオ録画して試聴
当然、スケジュールの都合で見られない番組が出てくると
ビデオ録画をして休日に視聴をするようにしていたみたいです。
奥野修司「皇室財産」では、昭和43年度にソニー製のビデオテープレコーダー一式を
313,000円で購入した、との記録があったことを記しています。
実際にこのビデオテープレコーダーを使って、側近にビデオ録画を頼む話が「上着を脱いだ天皇」にもあります。
昭和51年の10月中旬のある朝、
「さかなちゃんをとっておいてくれないか」と依頼され、
勘違いで吹上の森にあるアブラチャンの枝を持って行った、というエピソードが書かれています。
実際は昼のテレビ番組で、朝食後にアブラチャンの枝を渡した時に
侍従の勘違いが分かって事なきを得たそうです。
「さかなちゃん」はお昼時に放送されていたポーラテレビ小説のドラマだったんですが
昭和天皇は律儀で「このドラマを見ると決めたら、最後まで見る」のがスタイルだったとか。
そんなわけで、陛下に「今日、あのドラマはどうなったのか」と質問されることもあるらしく
周りのものは「自然にその番組に親しむようになる」ということ。
出張先でアニメもチェックする昭和天皇
また、2014年11月7日付、週刊朝日の記事によると
ご巡幸で地方にお出かけの時などは、側近に普段見ている番組が地方局で放送されているかをご下問され
「サザエはあるか?」「セーラはあるか?」と質問されたこともあるそうです。
これは、テレビアニメの「サザエさん」と、当時放送されていた「小公女セーラ」のこと。
私事になりますが、この『小公女セーラ』をブログ主一家は全員集合で見て、
子どもであったブログ主と弟はもちろんのこと
マジメ一徹の親父、父親を中学生の時に亡くしたおふくろが、目頭をうるませながら試聴しておりました。
どちらも日曜夜に放送(サザエさんが午後6時半、小公女セーラが午後7時半)されていましたから、この日は日曜日だったことになります。
子どもの時の私も、毎週見ていた番組を、陛下もご覧になっていたか?と思うと驚きが隠せません。
恋愛ドラマは興味なし、お色気番組は不快感丸出し
昭和天皇は基本、お色気は大の苦手で、恋愛ドラマも興味なし。
たまたま見た「プレイガール」のことを嫌そうに話していたエピソードもあります。
この番組は、夜の10時台に当時の東京12チャンネルで放送されていたもので
キレイなお姉さんのヌードや、パンチラが劇中ボンボン出るので、ご本人は「無礼ガールだ」と侍医に漏らしていたとか…
これは以前、単独の記事でまとめたので、ご興味のある方は↓をご覧ください。
【参考記事】
超意外?「とある政治家」が映ると、チャンネルを変えた話
また、テレビをお楽しみになっているときに、思わぬ形で「嫌いな人」が分かることもあります。
私個人として「超意外」だったのは、社会党の委員長を務め、後に凶刃に倒れる浅沼稲次郎さん。
テレビに映ると、昭和天皇はすぐチャンネルを変えたという話です。
浅沼さんって、リベラル政治家としてバリバリ活躍するだけでなく、
「101匹ワンちゃん」の映画に声優としてゲスト出演したり、
記者のネタぎれに同情して「1日5回風呂に入ってくれ」というムチャぶりに快く応じるなど、庶民の人気が絶大だった政治家です。
私のTwitterで交流している方のお父さんは、浅沼さんと記者の中でウイスキーを酌み交わしたことを生涯の思い出話で語っていたそうです。
そして、彼自身は終生皇室への敬意を持ち続けていた、オールドリベラリストでした。
そんな浅沼さんが、なーんで昭和天皇に嫌われたのか?これはホント謎ですね。
【参考図書】
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コメント
何でもそうですが
最初に出た物はメチャクチャ高額。
開発費掛かるので仕方ないけど。
録画してまで見たいと思われた
と思うと時代を感じます。
TV全盛期直前ですからね
アニメ録画!
幻のアニメ「マルコポーロの冒険」が現存している可能性が