貰った本で鮮明に思い出した『Wizardry』の苦い思い出

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最寄りの駅のそばに、もとクリーニング屋があって

その店先に「ご自由にお持ちください」との札と共に、古書なんかが置かれている場所がある。

BOOKOFFに持ち込んでも、傷みが激しすぎてタダで引き取られるような本ばかりなんだけど、

「読めればいい」と考える私にとって、そこは「宝の山」も同然。

そんなある日、ちょっと覗いてみると、懐かしいゲームの本が置かれていました。

あー、ウィザードリィ…

3DコンピューターRPGの元祖にして、散々遊び倒したあのゲームだ…

思い出がバーッとよみがえって、この本を手に取って帰ることにしました。

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ファミコン版ウィザードリィの思い出

私が、このゲームに出会ったのが、昭和が平成に変わるころの小学校高学年。

当時、もうすでにドラゴンクエスト、ファイナルファンタジーというRPGの2大タイトルも登場し

俯瞰するようなマップで、世界を探索する2DのRPGが全盛になったころ

友人を介してこのゲームを知りました。

何より好きだったのがグラフィックで、末弥純さんの重厚なモンスターは

ドラクエの「かわいい」、FFの「幻想的」なタッチに比べて

段違いにカッコよかったんですよ。

また、グラフィックも迷宮の中を探索する以外の街中は全部、文字だけで表現されている超ストイックな画面で

羽田健太郎さんが作曲したBGMも、いかにもっていう重厚な雰囲気を演出するのにピッタリで

それがまた、想像をかきたてたものです。

元々、私は「ひたすらやりこむ」のが好きで、いざ始めると延々と単純作業をするのもいとわなくなる変人だったんで

個人的には、ファミコン版のⅢ『ダイヤモンドの騎士』がお気に入りで、モンスターをひたすらにぶん殴って

レベル6000とかいう化け物キャラを量産していました。結局中学校くらいまで、このゲームをやり過ぎて

親から「ゲーム禁止令」を出される位の重症ぶりでした。

PC版なら、もっとすごいんじゃね??

そんな私が、父親から大枚27万円で買ってもらったのが

PC-98DXU2というパソコンでした。

16ビットパソコンの普及版で、オヤジ曰く「これからはパソコンの一つもできなきゃダメだ」ということだったんですが

私からしたら、ファミコン以上にスペックのある「新しいオモチャ」で、

従兄からゲームをいっぱいコピーしてもらってました。

(当時は著作権への意識がメチャクチャで、ゲームは「持ってる人からコピーする」が半ば常識

で、知恵の浅い中2(リアル)は、ふと思ったわけです。

「ファミコンに比べ物にならないくらい高性能なマシンなら、ゲームも素晴らしいに違いない!」と。

その日から、PC-98版のウィザードリィ探しが始まったわけですが…

何しろ当時は、パソコン持ってる人を探すだけでも大変で、ましてやそんな古典的なゲームを持っている人は、さらに少ない、といった有様。

ゲーム雑誌をめくってみても、ウィザードリィのウィの字もあんまりなく、当然懐ゲー特集なんかはないわけで

そうすると、実物をろくすっぽ吟味などできるわけはなく、雑誌の広告で「ウィザードリィ、5000円」だけを頼りに、

通信販売で取り寄せることになりました。

PC-98版Ⅰのショボさに(´・ω・`)。

パソコン版って、Ⅱの「ダイヤモンドの騎士」とⅢ「リルガミンの遺産」は

Ⅰをクリアした人が、そのキャラデータを使ってプレイする追加シナリオでした。

ですから、大好きなⅡをやりたいなら、必然的にⅠをやらなきゃいけません。

そんなわけで固いボール紙の重厚な箱に入った、PC-98版のウィザードリィが届いた時は、ほくほく顔をして、起動させたわけです。

いざ!ファミコンより高スペックなウィザードリィライフ!

DXーU2のフロッピーディスクドライブがガチャンコガチャンコと読みだして…出てきた画面が、こちら。

…なんだよ、これ(´・ω・`)。

重厚なBGMも、大好きなグラフィックも、見る影もない、しょぼさに、ぽっかーん。

さらに、重厚な幻想世界を演出していたFCの説明書と違って

AC(防御力)最大になると、シャーマン戦車並みに固い!という解説書の説明に…なんで、シャーマンなんだよ!?と

わけのわからんツッコミを入れたりして…

…それでも「買ったゲームがクソでも、とにかくやり倒してしまう」という昭和キッズの悲しさ

とりあえず、PC版もやってみたんですが…

味気ない、ひたすら、味気ない…

魔法も、宝箱のトラップ解除も、罠の種類をキーボード入力するということで

マニュアルのスペルを一字も間違えず入力するという

ゲームというより、実用性ゼロの英単語ボキャビルか、タイピングソフトみたいなことをやっていました。

オトナになってから知った、ウィザードリィの真実!

そして、はるか長い月日を経てから、ふと思い出して

ウィザードリィ(もちろんFC版)をやり直していたら、当時よりかは英語力が付いていたんで

細かな変なことに気が付いたりしてきました。

このゲームの良アイテムの一つ「カシナートの剣」が、なぜか英語版だとBLADE CUISINART

つまり、「カシナートの『刃』」だったりして…

で、調べてみたらウィザードリィって元々、バカゲー要素が多数盛り込まれたパロディが多かったらしく、

元々、ハンドミキサーの「キュイジナート」の刃ということだったりした、そうで(´・ω・`)。

それが、私のようなファミコンユーザーに受け入れられるように日本では

公式ガイドブックに「刀匠カシナートの鍛えし業物」と設定変更をされ、ハンドミキサーという設定はポイされてしまった、らしい。

*この、パロディ要素を排した、本格RPG路線への設定変更は、

そのまんまで進んでた「本場WIZ」の第4作目が、

日本語版がやたらに分かりづらくなる原因の一つになっている…とか。

そう考えると、「シャーマン戦車並みの装甲」とか説明がやけにデタラメだったのも納得だったりしまして…

私がドはまりしていたのは、

いわゆるファミコン版以降に作られた「和製WIZ」と呼ばれる世界観だったのか!?と今さらながら気がついた…という次第です。

そういう目でこの本をパラパラとめくってみると、モンスターの解説は他の作品からイメージを拝借しているものがほとんど(マーフィーズゴーストのように、原作者の知り合いがモデルのモンスターは別)で、

編集者の無理矢理一冊仕上げる感が満載。

一方で「和製WIZ」が固まる前

つまり厨二の私を心底ガッカリさせた「元祖WIZ」のパロディの残り香がプンプン漂っていましたわ。

ゲーム買う前に、この本を当時の私に渡してあげたかったなぁと。

45歳の私は思ったのでありました。

…もう、遅いけど(´・ω・`)。

あと、この本、良品↓だとビックリするほどプレミアムが付いていたこと(´・ω・`)。

メルカリとかで1000円で出したら、ボロボロでも売れるかも…

 

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