幸手市郷土資料館の令和5年度企画展「あれから100年~関東大震災と幸手」を見学してきた

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真夏の酷暑が一段落した、今週末。

いやぁ、今年はホントに暑かったね…と今朝、ボーっとしていたら「そうだ、あそこの企画展見に行かなきゃ…」と唐突に思い出し

愛車の初代ミラジーノ「ジー子」をすっ飛ばして向かった先は

埼玉県幸手市にある、幸手市郷土資料館でした。

…実は先日仕事で訪問していて「関東大震災から100年」を記念して「関東大震災と幸手」という企画展を行う、と聞いていたんです。

そりゃ、面白いしぜひ見学したい…そう思っていたのですが

仕事の方がしっちゃかめっちゃかな忙しさで、足を運ぶ時間が捻出できず…結局今日まで延び延びになってました。

だが、今日なら行ける!!そう思った瞬間に車に飛び乗った…とそういうわけ。

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関東大震災とは何?を今さらですがおさらい

関東大震災による惨状(現在の横浜市中区)

関東大震災は1923(大正12)年9月1日午前11時58分に発生した

マグニチュード7.9の大型地震です。

2011年の東日本大震災(マグニチュード9.0)と比べると地震の規模は小さいですが、死者行方不明者は

東京、神奈川を中心に190万人が被災し、10万5千人が死亡ないし行方不明という大災害でした。

また、沿岸地域では駅が地滑りで海中に没したり、津波が押し寄せるなどの被害も報告されています。

詳しくは吉村昭さんの「吉村昭が伝えたかったこと」に詳しいので是非ご一読ください。

【参考記事】

今年で100年!関東大震災『吉村昭が伝えたかったこと』から、震災の教訓を読んでみよう
もうすぐ9月1日。1923年の同日に発生した『関東大震災』を吉村昭さんの著作から考えました。地震による二次災害、とりわけ火災についての考察は現在もカギになりそうです。

そういえば、埼玉の被災状況を今まで知らなかった件

と、一応の知識を読んで知ってはいたのですが

「埼玉は地盤が固いから、割と被害が軽微だったのでは?」と勝手に推察していたのですが

東京府に接した北足立郡の南部、南埼玉郡の南部より、千葉県に接した北葛飾郡の中部が激甚で(中略)

地域では、川口町(北足立郡、現在の川口市)、粕壁町(南埼玉郡、現在の春日部市)及幸手町(北葛飾郡)の三市街地が各其(その)軍に於ける被害の中心地であるかの如き観を呈し、

(埼玉)県では之を喧嘩の三大被害地と称している。

という引用が掲示されていて、あ、そうなんだ。と初めて知った次第です。

現在の幸手市だけに被害状況をまとめた表もあり、当時の1町7村で3884世帯のうち、全壊戸数は17%にあたる662戸、半壊355戸も合わせると4分の1以上の家が被害を受けています。

死者は11人、負傷者25人、行方不明者4人は、東京や横浜に比べれば地味ですが、

決して小さいと言えない数字だと分かります。

そして、死者のうちの10人、負傷者のうちの15人は市街区域の旧幸手町で出ているということも示唆に富んでいるのではないかと思います。

経験者の声が生々しい

関東大震災を語る上で経験者の声は大事です。

幸手市教育委員会でも幸手町時代に証言集を1983(昭和58)年に発行しています。

ここでの証言には

大地震のときは竹やぶに逃げ込むのが安全と思い向かったが、地面が左右に揺れているので直進が難しかった

東京の空が自身の後の火災のため真赤に燃えているさまが当地からも見られた

悪い人が井戸の中に毒をいれて人を殺すというデマが流れ、怖くて水を飲むことが出来なかった

などの証言もありました。

井戸に毒…って、東京などの大被災地では割とあったみたいですが、埼玉でも流れていたのかと驚きました。

今はSNSが発達しているので、その手の話が全国的に流れることも少なくありませんが

当時は通信手段がほとんどないため、同時多発的に発生し、口伝えで流れたと考えるべきでしょうか。

詳細な記録を残した「先人たち」

そして、この企画展のすごいところって

地元で写真を撮影したり、記録を残した人たちの紹介で幸手における自身の詳細をかなり解き明かしていることです。

特に驚いたのが、旧幸手町の被害の詳細を描いたと思われる「関東大震災ニ於ケル幸手町ノ震害圖(図)」です。

地図では赤く塗られた場所が被災した建物を表していると解説していました。

 

同館では、さらに展示室に掲示した写真を地図のどこで起こったのかを対照させています。

これだけに限らず、地元の写真店やアマチュア写真家が残した当時の写真、小学校の校長、村長などの詳細な記録が色々とあったことがうかがえました。

なんらかの金銭的な目的ではなく、災害の実態を後世に残したくて記録したものだと考えられていているそうです。

地元の資料館は、歴史好きにはおすすめポイント

今回の企画展に限らず、同館は常設展示が非常にコンパクトかつ、

分かりやすくまとまっていて、内容も実に濃かったです。

遺跡や発掘物などに頼る前史の時代から現代までの幸手市の歩みを見て回りながら学べる手軽さは、市内を取材して回る身にとって、非常に勉強になる内容でした。

こういった資料館は日本各地に存在している割に、地元の人でも行ったことがないというところが珍しくありません。

しかし、えてして人間は「灯台下暗し」で地元のことはあまり知らないものです。

地元自治体のこのような資料館があったらぜひ足を運んでみませんか?

歴史好きはきっと、面白く見学することが出来ると思います。

幸手郷土資料館データ

埼玉県幸手市大字下宇和田58-4

☎0480-47-2521

開館時間:午前9時~午後5時

入館料:無料

休館日:月曜日(祝日の場合はその翌日)、年末年始。

圏央道幸手ICより約10分

東武スカイツリーライン 東武動物公園駅下車後 朝日バス 境車庫行き「吉田橋」バス停下車徒歩5分

 

 

 

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