先日、図書館に行った時に、ふと目に入ったのが、野村克也さんの『ありがとうを言えなくて』でした。
この本、なんとなく存在は知ってたんですがなかなか読む機会がなかったんですよね。
そうこうしているうちにサッチーを追うようにノムさんも…となってしまいました。
読んでみて驚いたこと
ノムさんとサッチー、2人の出会いに関しては、「ダブル不倫」がきっかけと聞いてそうなんだ、とは思っていましたが、
しかし、この本に書かれていた内容を読むと、ノムさんが少し気の毒になりましたね。
昔から田舎者コンプレックスが強く、女に奥手である、というのはノムさんの本を読んでいると分かるんですが、最初の結婚が破綻したキッカケが、奥さんの不倫とは…
世間では「ホームラン王」としてガンガン活躍する一方で、留守宅で嫁さんを寝取られたという私生活の言うに言えない悩みを抱えていたとのこと。
我慢できなくなり家を出て、離婚を申し立てても、前妻はクビを縦に振ってくれない。
そんな時に出会ったのが、自分も離婚調停中だったサッチーというわけです。
離婚成立も済んでない2人が、息子の克則さん誕生をきっかけに同棲を始めます。
コレは『球界に咲いた月見草』という本に書かれていたのですが、この同棲自体は当時ノムさんがいた南海ホークスの川勝オーナーも知っていました。
ノムさん本人が、同棲をオーナーに報告していたからです。オーナーは「ヘソから下の人格は問わない」と黙認。
従って、同棲そのものは問題にはされなかった。
当時から凄かったサッチーの『暴投』
サッチーはワガママで夫を顧みなかった前妻とは違い、どんなに夜遅くなっても寝ないで待っていた、とノムさんは振り返っています。
ただ、南海の兼任監督である旦那の知らぬところで
南海の選手に(サッチーが)電凸をかけ「何やってんのよ、アンタ!」と怒鳴り散らしていたらしい。
そりゃ、やりすぎだよ。
サッチー、あんた監督の愛人(まだ結婚してないし)じゃん。
あと、このエピソードで連想したのが、中々離婚に応じないノムさんの前妻に
「あんたの旦那は私の隣で寝てるわよ」みたいなエグい電話をかけてた、と。
これ、私がツイッターで知り合った、前妻さんのご近所に住んでた人から聞いた話。
ただ、コレもさっきの選手への電凸を考えると、大いにあり得る。
サッチーはとにかくやる事がど直球で、自分の目的に対してものすごく忠実な神経をしている。
周りからどうみられるか、結果旦那がどんな立場に置かれるかはあまり気にしない。
結果、コレらが祟って旦那は「公私混同」を理由に監督を解任されるわけです。
ただ、南海ホークスのフロントももし、ノムさんがサッチーと別れたら解任はせず、監督をさせてたと思う。
球団にとって予想外だったのは「野球を取るか、女を取るか」と迫ったら、女を取ったノムさんの決断じゃなかったのかな。
人から見れば悪妻だけど「最高のパートナー」
まぁ、そんなわけで二人は大阪にはいづらくなって東京に出てくるわけです。
内向的で不安しい、ネガティブなノムさんに取って、奥さんの「何とかなるわよ」という一言は何よりも救われたと言います。
さらに野球選手としての活躍の場は奪われても、サッチーはノムさんの元を去らなかったのも大きかったかなと。
その後、ロッテや西武で3年ほど一選手として現役を続けますが、兼任監督やってた頃に比べたら経済的にもかなり、厳しかったはず。ここでもちゃんとサッチーは付いて来てるんです。
自分にない強さを持ち、よく言えばポジティブ、悪く言えば敵を作りまくる困った存在。
それは後に阪神の監督退任の原因にもなります。
それでも別れない。
私はサッチーのことを「面白いおばちゃん」くらいにテレビで見てましたが、まぁ今見ると悪妻の部類には入る、と思います。
でも、ノムさんからすれば心密かに前の奥さんに裏切られて失意を感じた時に出会い、中年で巻き起こった嵐の季節(元凶は半分サッチーだけど)を共に乗り越えた、頼もしいカミさんの面もある。
恋愛というフェーズからはとっくの昔に賞味期限切れであったと思うけど、それだけ歩み続けた長い道のりがあったから、
急に奥さんが亡くなって茫然自失になり、最晩年は抜け殻みたいになっちゃったノムさんを思い出すにつけ、
結婚の不思議さを示す好例ではないかと思うのです。
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