寒川一之『あの月に向かって打て!』が異色すぎて面白い

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この記事では、ビッグコミックスピリッツで連載中の寒川一之『あの月に向かって打て!』を紹介します。

これまで、様々な野球マンガを読んできたブログ主ですが、

これまでにない、面白さがあるのでぜひ読んでみて欲しいです。

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主人公が野球初心者!

まぁ、野球を主題としたマンガって基本、

野球を知っていることを前提とした筋立てをしています。だから、ルールや基本(キャッチボールやバッティングなど)は、できる事が当たり前で、そんなシーンは大体ちょっとした描写で終わってしまうところ。

ただ、この作品の主人公、文月弾輝くんは

まったくの野球初心者

なんです。だから、バットの構えもボールの握り方も分からないとこからスタートします。それが、まず面白いなと。

42歳の私ですと、子どものころから親父が野球のナイターを見ているし、友達も割とグローブとかボールとか持ってる人多かったから、キャッチボールとかした経験もあります。

だから、知識ゼロってのはあんまりなかった。

だけど、主人公は(設定が現代ならば)2000年代生まれで、

おそらく家族みんなでテレビを囲むってことも少ないだろうし、野球中継なんかも少なめになっていますから「当然今は、こういう子もいるんだろうな」って思いましたね。

効率的な指導でメキメキ力を付ける

で、その文月君がキャッチボールなどの技術を「教わる」ことでドンドンものにしていく。

その教わる過程で出る「アドバイス」がまた、良くできているんですよね。

これって、文月君の生まれたころ、つまり2000年代から実際の世界でも、野球の技術を研究考察する番組ってのがドンドン出始めて来たんですよ。

それ以前だと、根性論とか、あいまいな表現(場合によっちゃ、迷信)で語られてた野球の技術が

深夜番組とかでプロの選手に「実際はどうなんだろう」と技術を語らせたりするようになったんです。

現在だと、YouTubeチャンネルでプロが自分の技術を教えたりしていますね。

そういった、基本のき、から作品が進められていて、読者も一緒になって野球を学んでる感じになれる、ってのがまた新鮮なんです。

キャッチボールなんかこの作品で語られる理論にしても、元ネタは元巨人の桑田真澄さんじゃないかな…。腕を意識するのではなく、足のステップを使って体重移動してって言い出したの、結構最近なんですよね。

で、昔だったら小学校から野球を始めて、時間をかけて体得する過程を

一切経ていない文月君が高校から野球を始めて「効率的に」上手くなっていく、というのが面白いんです。

素直だけど「自分のこだわり」に忠実な主人公が今っぽくて面白い

今の若い子、っていうと年取ったな、って思うけど…

私らのころと比べるとホント素直なんですよね。

だけど、自分の中に引かれている「こだわり」はものすごく強い。

例えば、昔だったら体育会系の「まずは飲め!」みたいな先輩の酒を平気で断れたりする。

昔がいい、って意味じゃないですよ。

それだけ自分の中にきちっとした線引きを持っていて、あんまり流されないってことです。

こういうタイプって自分から「やる」となるとものすごいエネルギーを出すんですよね。

実際、文月君も生まれて初めてやったフリーバッティングで、最初はボールを全然打てない。

だけど、ゼッタイに止めないんです。

もっと簡単に打てるようにしてみようか、って助け船を出されても「これでやる」と決めたら絶対に譲らない。単なる入部のためのサービスだった練習が、本人から特訓みたいにしちゃう。

で、最後はものすごい打球を飛ばすんですよ。

文月君は普段は敬語で話す、真面目な男の子なんですが、いざという時にはビックリするほどの芯の強さを見せる。

42歳のオジサンからすると、応援したくなるタイプなんですよね。

そんな文月君の目標は、甲子園!これからどんな展開になるのか、ちょっと楽しみ。

どう育つのかな、と成長を一つ一つ、見守っていたくなる…そんな作品です。

野球を知らなくても、作品中で教えてくれるし、野球そのものよりも、登場人物の成長が面白いので、これは色んな人に読んで欲しいなと思いますね。

最後まで読んでいただきありがとうございます。この記事が面白かったらTwitterリツイートやシェアボタンでの応援よろしくお願いいたします。

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