古本を読むってのは、ある意味タイムカプセルを開けるようなもんで
当時は誰も本気にしてなかった内容が、後で読むとバッチリ合ってたとか、そういう発見があって面白い。
今回は、そんな例のひとつとして、この本を下敷きに紹介してみようと思います。
週刊プレイボーイに2008年から2年間にわたって「落合福嗣の腹式呼吸」を連載。
謎のベールに包まれた落合家を面白おかしく書いた一冊…なのですが、これが今読むと内容の答え合わせが非常に面白いのです。
内容は前半の傑作選が4割で、あとはおそらく、書下ろし。
中でも傑作なのが落合一家が、心底くだらない(誉め言葉)悩みに、身もふたもない回答をする「ファミリー人生相談 落合家に聞け」ですな。
マヤ暦の世界滅亡(1999年7月の「ノストラダムスの大予言」が何事もなく終了した後、今度は2012年にマヤ暦が終わる=滅亡するという世界滅亡ネタ)の時、
何が食べたいですかという答えに「木曽路で決定!食べるだけ食べてお金払わずに死にたいね」という信子夫人の締めの言葉がなんともおかしい。
すごく楽観的で、さすが三冠王を支えた嫁さんだと。そりゃ、今でも博満さんが頭が上がらないのも無理もないし、なんなら惚れる!
それと、連載当時フクシ氏がじっくり将来の道を探していた、その答え合わせが今だと分かるのも面白いところ。
当時、フクシ氏はまだ、職業なしの状態で、本書でも「親のすねをかじる」状態。ただ、フツーの親なら「早く職探しを」と焦るところ
オレのすねは全然太い、と言わんばかりに「結婚したい相手ができたらしろ、オレが食わせてやる」と言い切っちゃう「とーちゃん」こと落合博満さんと
フクシアルバムで、徹底的に前向きなコメントをいれちゃう「かーちゃん」こと信子夫人のもとで
目いっぱい準備を積んで、今や立派な声優さんであり、3児のパパになっちゃってらっしゃる。
それってなんでだろ、と思うと、やっぱり「両親が徹底的に息子を信じる」という事に尽きると思うんですよね。
別の言葉で言えば、愛情があふれてる。
もちろん、プレイボーイの編集が入っているから、連載の頃から捧腹絶倒のデフォルメが入っていて、この本もそうなんだけど
やっぱりベースにあるのは、落合家の「親子」の情愛の深さに行きつくと思うんだよね。だから、息子とともに、落合家オールキャストでこの本をとびきり面白い一冊にしているんだよ。
…フツー、ここまでやらないよ。すごいよ。
読み終わったら「こんな一家、そうそうないけど、ひと家族くらいいてもいいじゃないか」って温かい気持ちになっちゃうんですよ。
今、YouTubeで、落合博満のオレ流チャンネルという形で、落合博満さんは素の自分を出して話をしているけど
信子夫人や福嗣君(なぜか顔を出さないけど)、お孫さんも加わって、実に和やかな空気を醸し出している。
そんな現在から振り返ってみると、あの時なんか破天荒な一家とデフォルメされた落合家も、それなりに根拠があって書かれていたものなんだろうなぁ、と思いますよ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。この記事が面白かったらTwitterリツイートやシェアボタンでの応援よろしくお願いいたします。
コメント