14年前の本を読んで、今から過去を振り返る~古書の面白さを「フクシ伝説」から

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古本を読むってのは、ある意味タイムカプセルを開けるようなもんで

当時は誰も本気にしてなかった内容が、後で読むとバッチリ合ってたとか、そういう発見があって面白い。

今回は、そんな例のひとつとして、この本を下敷きに紹介してみようと思います。

週刊プレイボーイに2008年から2年間にわたって「落合福嗣の腹式呼吸」を連載。

謎のベールに包まれた落合家を面白おかしく書いた一冊…なのですが、これが今読むと内容の答え合わせが非常に面白いのです。

内容は前半の傑作選が4割で、あとはおそらく、書下ろし。

中でも傑作なのが落合一家が、心底くだらない(誉め言葉)悩みに、身もふたもない回答をする「ファミリー人生相談 落合家に聞け」ですな。

マヤ暦の世界滅亡(1999年7月の「ノストラダムスの大予言」が何事もなく終了した後、今度は2012年にマヤ暦が終わる=滅亡するという世界滅亡ネタ)の時、

何が食べたいですかという答えに「木曽路で決定!食べるだけ食べてお金払わずに死にたいね」という信子夫人の締めの言葉がなんともおかしい。

すごく楽観的で、さすが三冠王を支えた嫁さんだと。そりゃ、今でも博満さんが頭が上がらないのも無理もないし、なんなら惚れる!

それと、連載当時フクシ氏がじっくり将来の道を探していた、その答え合わせが今だと分かるのも面白いところ。

当時、フクシ氏はまだ、職業なしの状態で、本書でも「親のすねをかじる」状態。ただ、フツーの親なら「早く職探しを」と焦るところ

オレのすねは全然太い、と言わんばかりに「結婚したい相手ができたらしろ、オレが食わせてやる」と言い切っちゃう「とーちゃん」こと落合博満さんと

フクシアルバムで、徹底的に前向きなコメントをいれちゃう「かーちゃん」こと信子夫人のもとで

目いっぱい準備を積んで、今や立派な声優さんであり、3児のパパになっちゃってらっしゃる。

それってなんでだろ、と思うと、やっぱり「両親が徹底的に息子を信じる」という事に尽きると思うんですよね。

別の言葉で言えば、愛情があふれてる。

もちろん、プレイボーイの編集が入っているから、連載の頃から捧腹絶倒のデフォルメが入っていて、この本もそうなんだけど

やっぱりベースにあるのは、落合家の「親子」の情愛の深さに行きつくと思うんだよね。だから、息子とともに、落合家オールキャストでこの本をとびきり面白い一冊にしているんだよ。

…フツー、ここまでやらないよ。すごいよ。

読み終わったら「こんな一家、そうそうないけど、ひと家族くらいいてもいいじゃないか」って温かい気持ちになっちゃうんですよ。

今、YouTubeで、落合博満のオレ流チャンネルという形で、落合博満さんは素の自分を出して話をしているけど

信子夫人や福嗣君(なぜか顔を出さないけど)、お孫さんも加わって、実に和やかな空気を醸し出している。

そんな現在から振り返ってみると、あの時なんか破天荒な一家とデフォルメされた落合家も、それなりに根拠があって書かれていたものなんだろうなぁ、と思いますよ。

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