昭和の侍従長、入江相政さんの本が面白い

スポンサーリンク
スポンサーリンク

以前Amazonで注文しても中々届かないと記事で書いた

入江相政侍従長の著作『天皇さまの還暦』(以下本書)がやっと手元に届きました。

これが、ブログ主が今まで読んだ「昭和天皇」の本でもピカイチに読みやすく、

面白いエピソードが満載でした。これまで入江さんの本を読んでいなかったのですが

「これはもったいないことをした!!」と思うレベルです。

スポンサーリンク

入江相政さんとは、何者か?

本書は、昭和天皇の還暦前後までの時間に、入江侍従長の印象深い思い出を中心につづられたエッセイです。

入江さんは昭和9年に宮内省の侍従となり、2・26事件や終戦の頃も侍従として内幕を目撃しました。

この入江相政という人物…生前は侍従、侍従長という天皇陛下の日常を支える役回りで、しかも昭和天皇にとっては同世代(4歳年下)、さらに遠い親戚(はとこ)だったりもします。

そのため、これまで読んだ「昭和天皇の思い出」を扱った著作としては

もっとも近い立場、近い世代、親戚関係であるという超レアな立場のお方であるわけです。

この方のスタンスは「天皇陛下がもっと国民とざっくばらんに交流できたらいいなぁ」というもので

『ゴーマニズム宣言』を描いている小林よしのり氏からすると「伝統の破壊をもたらすものだ」とひどくお怒りのようなんですが

昭和天皇が戦後直面した「立憲君主から国民の象徴への変化」について、様々な形でサポートしてきた超重要人物であることは間違いないわけです。

教養人なのに、砕けた文章もお手のもの

そんな入江さんですが、元々が藤原北家の流れをくむ貴族で、歌人でもあり随筆家でもあります

その教養に関しては「古典逍遥」という彼の本を読んだとき…さっすが侍従長になる人は違うな、と舌を巻いたことがあります。

で、本書なのですが

もー、プロとしてヤキモチ焼きたくなるレベルで上手い!

この本は1960年代出版された本なので

作家によってはやや、読みにくくなってくる時代が付いています。

だけど、入江さんの文は平明に書いているからスッとなんの抵抗もなく頭に入って

情景がありありと浮かぶのには驚きました

また、1960年ごろだと

まだ戦後に行われた全国御巡幸のエピソードも

『昭和天皇御巡幸』と被る部分があるものの、読み手からすると入江さんの方が

侍従たちがどんな意図があってこうしたとかという「やむにやまれぬ事情」をキチンと説明してくれるし、

なにより場面描写はものすごく生き生きしているのが素晴らしいです。

面白かったのは、入江さんが結構「いいんじゃない?」タイプであること。

徳島県に行幸された時、阿波踊りが披露されることになったんですが

その「踊る阿呆にみる阿呆」の歌詞が、「天皇陛下に『みる阿呆』は不敬ではなかろうか」という話になった、と入江さんが聞いて、別にいいじゃんと。

東京からはるばるおいでになった陛下、阿波の国のその一夜を、「見る阿呆」にしてあげればいいのに

と感想を漏らすシーンなんかは「あ、いいんだ(´・ω・`)」と思っちゃったりしましたね。

また、天皇は熱々が苦手な「猫舌」だという噂があるけれども

鴨肉や牛肉のすき焼きとかは自分で焼いて熱々を食べるから大丈夫だよ、と書いてあったのがちょっと驚きでしたね。

私は天皇の料理番の本を読んだけど、そういえばすき焼きの話は全然出てこなかったから知らなかったと。

Amazon最後の一冊を何とかゲットして読んでいますが、このまま復刻したらいいのにと思います。

お近くの図書館にあったら、是非読んでみてはいかがでしょうか。

最後まで読んでいただきありがとうございます。この記事が面白かったらTwitterリツイートやシェアボタンでの応援よろしくお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました