この記事は、國弘正雄さんの名著『國弘流 英語の話しかた』をご紹介します。
英語学習法について、これまで何百冊も出版されてきましたし、これからも出版され続けるでしょうが、ハッキリ言ってこの本に書いてある学習法だけで英語学習はだいたい足りちゃいます。
絶版で、現在入手できるのは古本で…となりますが
英語を勉強している人で、今必要な勉強法が分からない人は全員買っておけ!と言いたいほど、この本の内容は『英語学習者のバイブル』になりうる内容だと思います。
この本の著者、國弘正雄さんとはどんな人か?
この本の著者は、日本における同時通訳の草分け的存在の國弘正雄さん(1930~2014)です。
アポロ11号の月からの通信を同時通訳したり、世界のインテリに英語で対談する『トークショー』という番組の司会を務めていました。
そこから生まれたあだ名が「同時通訳の神様」。
現在でも英語指導者の中には、この國弘門下の人が結構いて、予備校講師として活躍している安河内哲也さんなんかもその一人です。
この本をなぜ勧めるか?
さて、この『國弘流英語の話しかた』は1999年発行の本で、現在絶版です。
しかし、この本を相変わらず激推しするのには理由があります。
それは…
⓵あらゆるレベルで使える学習法が収録
②一番基本となる「只管朗読」で誤解しやすい内容も丁寧に解説してくれる
そして、人間の技術がどんなに発達しても、英語を学ぶってことは、超ローテクなやり方を地道に行っていくしかない、という当たり前のことを教えてくれるからです。
順番に説明していきます。
あらゆるレベルで使える学習法が収録
この本で取り上げられる英語学習の基本、それは
「中学校の教科書を徹底的に音読する」こと。國弘さんは、禅の言葉、只管打座をもじって「只管朗読」と名付けています。
この勉強法は、今日勉強を始めた学生でも即実践可能で効果が絶大。極端な話、教科書一冊を買えば誰でも実践できる学習法です。
そして、この只管朗読、大体大学入試位までならこれで事足りるほど超強力な学習法。
さらに、力の伸ばすための「プロ志望者」の学習法に対しても、ご自身のやり方を余さず開陳しています。私は社会人になってからこの本を手に取ったのですが、「もっと早く、この本が世に出ていてくれたら!」と悔しい思いをした覚えがあります。
で、30過ぎてこの本に書いてある方法を実際試してみたら、劇的に英語力が伸びてビックリ。
400そこそこだったTOEICスコアが、700を軽く超えるまで跳ね上がりました。
それ以来、私は「英語を声に出して、何度も読む」という学習法を実践していますし、教える子どもたちにこのやり方を仕込んでいますが、今のところ成功率は100%です。
誤解しやすい部分も丁寧に解説してくれる
ただ、この只管朗読。主張がシンプルなため、様々な亜種が登場しています。
「英文の意味が分からなくても音読してれば分かるようになる」「英文解釈不要論」「丸暗記できたらOK」などです。
國弘先生もこういった、只管朗読が間違って理解されることが気になっていたらしいのです。
したがって、本書では紙幅を割いて、誤解しやすいポイントを丁寧に解説しています。
私自身、様々な英語学習法を試していた時
特に悩まされていたのはメソッドの画期性を強調するために「他の勉強法が不要である」とことさらに主張されたり、
実際にその勉強法を実践するときに「こういう時はどうすればいいの?」という事態にぶち当たるときがあったことです。
この本で一番ありがたいのは、そういった疑問にぶち当たった時に、著者が徹底的にかみ砕いて解説してくれるところです。
そして、一番オーソドックスで間違いがない方法が学べるんです。
私も時間の無駄になるような勉強法を色々試し、10年以上試行錯誤をしてこの本に行きついたのですが、読めば読むほどこの本のメソッドが「鉄板」であると確信しています。
旧版『英語の話しかた』は別の本なんで注意!
上の写真にある左2冊の『英語の話しかた』は、目を通したことがあるのですが、こちらはどちらかというと只管朗読のバイブルというよりは國弘先生の専門である文化論の領域に踏み込んでいるので英語学習者が只管朗読をノウハウを実践するには、やや説明不足で不適ではあります。
國弘先生のお弟子さんの中には「旧版こそ國弘英語論の神髄である。『國弘流~』は只管朗読の解説書に過ぎない」という声もあるようです。
しかし、英語を英語として勉強するための学習法の解説書として、『國弘流~』の価値はいささかも損なわれることはない、と私は思いますよ。
古本屋で見つけたら、即買いの一冊
この世には、様々な学習法があふれているわけですが、実際にやってみてこれほど「効いた」一冊は他にありません。
20年以上前の本なので、現状に合わない部分もあるかもしれませんが、ここまで徹底解説してあれば、現状に合うようにどう応用するかは比較的容易ではないかと思います。
そんなわけで、今でもこの本は「買い」であることに変わりはありません。
英語の学習に迷った人には、どんなレベルの人にもお勧めできる、「間違いない一冊」です。
まだの人は、ぜひご一読をお勧めします。
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