なんばパークスへの里帰りでも注目!故野村克也さんの現役時代

スポンサーリンク
スポンサーリンク

この記事では、2020年に急逝した野村克也さんの現役時代の評伝『球界に咲いた月見草』を紹介します。

監督になってからの野村さんの自著は多いのですが、

現役時代の、それも第三者の評伝というのはあまり見なかったとおもいます。

しかし、先だって大阪球場のあったなんばパークスの『南海ホークスメモリアルギャラリー』に野村克也の展示スペースを増設する『おかえり!ノムさん』プロジェクトも大成功に終わりました。

現役時代のノムさんといえば、南海時代は絶対に外せません。

ぜひ、この本を通して、南海時代に触れてみてはいかがでしょうか。

スポンサーリンク

第三者が描く「野村克也物語」

野村克也さんの自著は同じ話がものすごく多いし、

場合によっては話が少しずつ変わってきています。

特に、南海ホークス(現ソフトバンク)の兼任監督時代、

江夏豊をストッパーに転向させた話は、細かな部分が少しずつ変わってきています。

先発完投が当たり前だった時代に、投手分業制を確立し、

ストッパーに江夏豊を据えるという時代の転換点ですから、もっと客観的な話を読みたいと考えました。

最近はAmazonという便利なものがありますから、検索してみると、この本が見つかりました。

初版が1981年なので、野村さんが現役引退した翌年に出版されています。

また、著者は野村さん本人ではなく、ルポライターの長沼石根さん。

読んでみると、かなり客観的な文章の書き方をされる人だと思いました。

現役時代の野村克也さんを知るための中々の良書

この本は野村克也さんの現役時代までのエピソードが詰まってて、

しかも「他人から見た野村克也」の証言が豊富に盛り込まれています。

幼いころに父を戦争で亡くし、貧乏に喘いだ青春時代。

テスト入団で南海に入団し、並外れた努力でレギュラーをつかんだ時代。

稲尾和久さんなどのライバルを相手に腕を磨き、日本で2人目の三冠王に輝いたこと。

名捕手として、さらに兼任監督として南海復活に取り組んだこと…

その南海を去って最後の最後まで、ボロボロになりながらも精いっぱいの努力を重ねていった現役最後の姿を

球界のレジェンドはもちろん、無名の市井の人にまで詳細に聞き取りを重ねて描き出しています。

特に、この人を取り上げるにあたっては、

1973年に王貞治さんと抜きつ抜かれつつ争った

通算本塁打記録のデッドヒートや

1977年の南海ホークス監督解任騒動にもかなり客観的に、詳細に経緯が書かれています。

「江夏ストッパー転向部分」を読む

本書の101ページから、

江夏ストッパー転向を取り上げた文章が紹介されています。

 

1976(昭和51)年にトレードで阪神タイガースから南海ホークスにやってきた江夏豊ですが、

肩とひじがボロボロで、移籍後6勝に終わります。

シーズンオフにウエイトトレーニングで鍛えなおす一方、リリーフへの説得が始まります。

野村本人の証言で「半年かかった」と紹介された後…江夏さんの証言が始まります。

江夏の最後の完投は、移籍二年目、つまり77年5月8日の対日本ハム戦だった。3対2。勝利投手にこそなったがー「終わったら体中がガタガタ。マウンドに立っているのがやっとだった。その直後ですわ。日生球場の外野の芝生に座って監督から、もう先発はしんどいやろ、これからはピッチャーの分業時代になる、リリーフエースになって革命を起こせといわれた。なにくそと思ったが、自分の体が答えを出していた」(102ページ)

太字で書いたのは、複数の本に当たったときに、違う表現をしているところです。

まぁ、人と話していると「事実のとらえ方」は人によって違うことも多く、

前後の記憶とも混線してくるから、100%正確とは言い切れない部分がありますけどね。

説得に半年かかったなら、なおさらです。

さらに、おそらく著者も分かりやすくするために、証言の全てを文字に起こしていないこともあるかと思います。

この本では、実兄との決別は書かれていないです

この本では肉親で存命しているにもかかわらず途中から証言者として登場していない人物もいます。

野村さんの実兄、嘉明さんです。

コレは『爆報theフライデー』で明らかになったのですが、

お兄さんは、サッチーとの関係に激怒し、ノムさんと断絶したとのこと…

後書きにも、そういった出来事を匂わせる記述があったのに、

気がつかなかったのは不覚でした。

ちなみに、ノムさんとお兄さんのお二人は、サッチーの死後に再会。

初めは2人を快く思っていなかったお兄さんも、

ノムさんの活躍やサッチーとの仲睦まじい様子を「自分が間違っていたのかもしれない」と思い出した、と話していました。

和解まで40年かかったわけですが、それでも亡くなる前に関係が修復したのは、他人ながら「良かった」と心から思います。

この本は当然、絶版なのですが、

後に朝日文庫で文庫化もされているので、ご興味のある方は文庫版をお探しになるといいかもしれません。

また、ブログではノムさんの生前のエピソード集もまとめてみたので、ぜひご覧ください。

最後まで読んでいただきありがとうございます。この記事が面白かったらTwitterリツイートやシェアボタンでの応援よろしくお願いいたします。

コメント

  1. dalichoko より:

    有名なエピソードですね。
    野球そのものが大きく変わりました。
    (=^ェ^=)

    • とーちゃん m_alternative より:

      >dalichokoさん
      こんにちは。コメント嬉しいです。

      そうですね、私自身別の本で何度となく読んだ出来事ですね。劇的なシーンだから実際のところどうなんだろうなと…

タイトルとURLをコピーしました