先日、たまたま手に取った雑誌にパイナップルARMYの広告があった。
「懐かしいなぁ」と思って、お試しで久しぶりに読んでみたらコレが面白いんで、もうすぐに「完全増補デジタル版」を購入したわけです。
パイナップルARMYとは、なんじゃらほい(´・ω・`)?
この作品は今では押しも押されぬ人気作家のひとり、浦沢直樹さんが最初に手掛けた連載作品で、
1985(昭和60)年~1988(同63)年まで連載された作品です。
主人公は元、アメリカ海兵隊員で、ベトナム戦争を経験して除隊後、傭兵で各地を転戦したのち、現在はそのスキルを活かしてインストラクターをしている日系アメリカ人、ジェド・豪士。
この時代でお分かりの通り、冷戦終結(1989年)やソ連崩壊(1991年)の前が舞台。
ですから、作中にはソ連のゴルバチョフ書記長(当時)やシュワルナゼ外相(当時)も登場します。
そして、冷戦が最終盤に差し掛かって、ソ連が譲歩を始める直前…それまで、ソ連が莫大な予算をかけて対西側諸国の手ごまとして利用してきた
各国のテロリスト達が、ソ連の手を離れ、思想信条をかなぐり捨てて結託。
世界各地でテロ活動を展開していきます。
インストラクターとして彼らの活動を阻止しているうちに、
主人公である豪士や、その仲間たちと様々な局面で対立し、戦うという物語です。
戦いを嫌いながら、自分のアイデンティティに結び付く悲哀
…とは、いうものの主人公を含め、登場人物のほとんどは、一般人としての暮らしをしながら、自分のスキルで暮らしを立てていたり、そもそも引退しているものがほとんどです。
ただ、彼らは何かあると、はせ参じて戦いに身を投じることになる。
これを主人公は、増補デジタル版2巻第1話「白の追跡者」で次のように述べています。
戦場で自分を見つけた奴は、どうしてもベッドでは死ねんのだ…
戦場から戦場へ、戦いから戦いへ…
戦いの中にこそ自分があると確信するようになってしまう。
この独白がそのまま、登場人物にオーバーラップします。
この「白の追跡者」はもちろんのこと、リビアのカダフィ大佐の首を狙うオペレーションに手を染めた、トーマス・フェルドマン大佐(「1979年の栄光」)もそう。
主人公は、国家のエゴに嫌悪して、傭兵を引退することになるのですが、最後までやっぱり「戦いの現場」に引っ張り出される。
それも、また味わい深い。
かっこいいジジイが読みたかったら、本作は最高!
あと、もう一つ言えるのは、本作ほどかっこいいおじいちゃんが活躍する作品はない!ということ。
豪士の元上官で、ベトナム戦争で活躍した闘将ハリデー准将は、「5人の軍隊」ほかで勇躍して参戦したり、
KGBのハニトラに引っかかった婿どののピンチを救うべく、老体を鍛えなおして問題を解決させるべく奔走したり、と隠居とは思えないくらいパワフル。
また、本作ファンだと1,2を争う位の名エピソード「キング・オブ・ザ・ロード」(増補デジタル版5巻収録)では
明日定年を迎える老刑事と、かつて彼らに命を救われたチャイナタウンの暗黒街の元締めたちの
「男気」と「友情」(この2者は、あえて友情だといいたい)に、胸を熱くする思いです(今回読み直して、またウルウルきた)
この作品のジジイはみんな、かっこいい!いいジジイが読みたかったら、これを読めといいたい。
連載当時のカラーページが復活!これだけで買う価値があった
魅力はまだまだあるんだけど、とりあえず読んでもらえばわかります。
面白いから、お試しからぜひ読んで欲しい。ドはまりします。
そして…この「完全増補デジタル版」とこれまでの文庫版の最大の違いは、連載当時カラーだった部分をちゃんとカラーで再現してくれるところ。
これが意外に嬉しくて、本作の主要人物の紅一点、ジャネットの美しさを見事なまでに堪能できるんですよ。
モノクロで読んでも、すごくいいページなんですが、カラーで見るとさらに印象が変わりまして…。
ホントこれだけで、この6冊を買ってよかったなぁと。
はじめての人も、もう読んだオールドファンも「増補デジタル版」は絶対おススメです。
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