最近気が付いて、愕然としたことがある。それは「老眼」。ついに来たか!老眼である!!
手元だと、視界がぼやけ、気が付くとスマホでも本でも雑誌でも、距離を取って読むようになっていた。
なんといっても小生すでに齢42であるからして、老眼の一つは忍び寄ろうというものである。
あと、最近気づいたのが、「本を読むのが遅くなった気がする」ということ。
自分で言うのもなんだが、大学時代はとにかく多読速読で通し、4年間毎日1日1冊読了を心掛けていた。
とにかく時間のあるうちに出来るだけ知識をぶっこんでおきたいと、メチャクチャに読みまくっていたのだ。
それから20年。今でも本は好きで手放すことなく読み続けているのだが、一週間に1冊仕上げられたら、まぁいいかな、というレベル。
時間的には、学生時代の半分くらいなんだから、週3冊くらいはいけそうなレベルのはずなのにどうも、最近読むスピードが落ちたのでは、とちょっと気になり始めた。
好きだった池波正太郎『夜明けの星』で実験!
そこで、以前一日で読み終えた経験のある、池波正太郎の中編小説『夜明けの星』をどれくらいのスピードで読めるかで比較してみるか、と考えた。
この小説は、ひょんなことから煙管職人を斬ってしまった浪人、堀辰蔵と
斬られた職人の娘、お道との数奇な運命を描いていく池波正太郎さんの佳作ともいえる作品。
個人的には、大変な目に遭いながらも堅実に生き抜くお道が好きで、
一方の堀辰蔵も、元々はフツーに暮らしていたのに、いつの間にかのっぴきならない裏街道人生を歩まされる。
何度か、この2人がすれ違い、最後に思ってもいない形でお互いが誰であるかを知らずに邂逅しそして二人ともお互いの正体が分からぬままに別れるという、
人生の不思議さや人間の「ひょんな」行動を生き生きを描き出していて、私、好きなんです。
これを多分10年ぶりくらいに、よーい、ドン!で読んでみました。
結果は…え、ええ!!!
今回、読むにあたっては再読だからとゼッタイ飛ばし読みをせず、速く読みながらも、味読することを心掛け、そして様々なことを思い描くことも結構していたのですが、大体3時間くらいで読了。
ビックリするほど、すんなり終わった…あれ?
まぁ、池波さんの小説は読みやすいから、それもあったんでしょうが、前よりもあっという間に終わった感じで、逆に拍子抜けしました。
人にプレゼンする本は読むのに倍エネルギーがいる
よくよく考えてみると、今私が主に読むのって楽しくて読む以上に仕事の資料や、このブログを書くために参考図書として読んでいるものも結構多い。
そうすると、昔みたいに読みっぱなしってこともなく、どこを読者に紹介しようかとか見せ方から考えて情報の取捨選択をやってるわけで、昔みたいに、その本の世界に没入するとか、ついぞやっていなかったのに気が付いたわけです。
楽しみで読んでいる本だと「ああ、面白かった」で済むのですが、
例えば、誰かにこの面白さをどう伝えるか、となるとそれなりに色々考えているのだな、と自分でも意識してなかったことに気が付きました。
その作業は、本の中身を自分なりにかみ砕き、味わったモノを「どういう味なのか」を自分なりに再構成する作業で、頭の負荷がかかっていたということです。
個人的なスピード感覚からすると、特に紹介もしない、アウトプットなしの読書だと
読むスピードは倍速で行けるイメージです。
しかし、例えばこれが書評を書くとか、感想を述べるとかしたりする別の負荷をかけ続けているうちに実は、読むスピードも上がっていたようです。
もちろん、人生の経験値が上がって感じる能力も多少は上がっているとは思うのですが、年齢によって読むスピードが遅くなったと感じたのは、どうやら思い込みか錯覚だったのかなと思います。
参考図書、というか個人的なおススメ。
今回読んだ『夜明けの星』ですが、池波正太郎をまだ一冊も読んだことのない人(なんか鬼平ってなん十巻もあって手を出しにくい)という人にちょっとおススメな一冊です。
この本の登場人物で
お道に惹かれる人は『剣客商売』のような、時間線が流れる作品が合うと思います。
そして、堀辰蔵の人生が面白いという人は、結構シビアな世界がお好きそうなので『仕掛人藤枝梅安』をおススメ出来ます。
また、お道を案じている岡っ引き佐吉が好きという方は『鬼平犯科帳』に進んでいくといいかなぁと思います。
ご興味のある人は、ぜひ読んでみて下さい。
私がなんで3時間で読めたか、それは「面白いからだ」ということが分かるはずです。
【池波正太郎を読むなら、これもおススメ】
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