この記事では、森絵都さんの小説『みかづき』を読んで、あれこれ振り返ります。
以前ドラマ版に出た壇蜜さんが
「学習塾の話で、すったもんだがあります」というまとめ方をしていて、
人間ドラマとしてそういう言い方も出来るなぁ…とミョーに納得してしまいました。
僕は昨年原作の方の「みかづき」を読んだのですが、私は人間ドラマもさる事ながら、
「塾業界から見た教育」に懐かしさと、今の教育への危機感を感じた次第です。
今回は、「みかづき」を読んで、本作の筋とは少し違う、塾と学習支援について書こうと思っています。
僕もその昔、塾の先生をしてまして…
僕は大学生の時に、以前生徒として通っていた学習塾に講師としてアルバイトをしていました。
20年ほど前のお話です。大学卒業後もお付き合いが続きました。
少子化が進んだ現在でも塾は、人材を得て教室を増やし、数多くの生徒を高校に送り出しています。
ひょんなことから英語を見ることになった地元の子を、総合的に進学指導が必要なため、お世話をお願いしたりしたこともあります。
「みかづき」を読んでいると僕が生徒の頃から、今の状況まで、実にリアルで、考えることが多いのです。
もちろん昭和53年生まれの僕が知らない昭和30年代も描かれていますが、
比較的違和感を感じることなく読めました。
塾業界は長年、日陰者的存在だった。
僕が中学生の頃から、いやそれ以前から塾業界ってそれなりの存在感と、影響力を持っていたのに、学校とは協力関係を結ぶことなく「無視」されてたような気がします。
それ以前にも曰く「受験戦争に巣食うハイエナ」「詰め込み学習のA級戦犯」…とにかく、悪し様に評価されていたように思います。
ですから、学校が昼に光り輝く太陽なら、表に出て来れない学習塾は夜にひっそりと輝く月の様なもの。
先程書いたように、私の頃は学校は塾をガン無視してたと思います。
ところが皮肉なことに、そういった批判が高まるのに、塾に通う子は減ることなくむしろ増えていたわけです。
というのも、文科省の方針がたびたびブレまくったから。
「ゆとり教育」へ舵を切り、20年ほどかけたこの実験が失敗だったと最近になって再び学習量を増やすなど、
教育の理念ばかりが先走って、生徒のケアが置いてけぼりにされてきた部分があったからです。
公立学校ってどうしても監督省庁である文科省の方針に振り回される。
一方で、親御さんからすると我が子がかわいいに決まっているから、口コミで近所の子が通っていたり実績のある学習塾に我が子を通わせて、なんとかしようとするわけです。
学習塾ってその経営者のパーソナリティがかなり色濃く出てきます。
個人経営ならなおのこと。
また独立採算で常に結果を問われる学習塾って、
余計なモノに振り回されないで指導方針が決められるから、かえって現実に即した指導ができるんですよね。
実は学習塾にも変化があって
最近では学習指導のみならず私立に資料を持っていくのは学校ではなく塾の先生になっているみたいです…
私の頃よりも塾のやることは増えているみたいですね。
一方で真剣にこの仕事に向き合っている人ほど、必ず今いるところとの指導方針や経営方針で相違点が出てきて独立をしたり、寝首をかかれて塾のトップが失脚させられたりという「謀叛」が日常茶飯事になります。
かつて一世を風靡した山●●塾なんかはそうですよね。
その辺も結構リアルだなぁ…と「みかづき」を読んでいると思います。
善意あれども技術なし…学習支援ボランティアの弱点
先に書いたように僕は以前地元で授業について行けない子向けのボランティアを休みの日にやってました。
時代のせいか、子どもに学を付けて将来何とか頑張って…って考えがあっても両親では中々出来なかったり、そもそもそんな考えがなかったりっていう親もいるんですよね。
そういう子どもたちを見ていると漢字が読めない、計算ができない…「付いていけない層」は結構いるんですよね。
そういう子たちに寄り添う形で手伝うのがこの学習支援ボランティアな訳です。
読み書き計算などのドリルといった、昔なら補習塾がになってた部分をやらせて、少しでもこういう子どもたちをこぼさないように支えようという活動です。
塾とは違って教材は教科書やガイドがいいところ。
また、ボランティアの方は指導法に問題も多かったですね。
「みかづき」のように、学習塾の指導ノウハウをボランティアに持ってこれたら大分変わると思うのですが。
…人のために何かしようとする人は自身の理想が大変高いゆえに、
柔軟に物事を判断することが苦手な人が多い気がします。(コレは僕も含めてだと思います)
現在は大目的のためにあえて、ボランティアを主宰されている方の方針に従っていましたが、
ある時、不平というか、「コレは役に立つのかな(´・ω・`)」
と意見を言ったら呼ばれなくなりました。
自分としては、道半ばで途中下車をする形になりました。
その後どうなったか、ようとして知れませんが、教えてた子の未来に多少でも「いいこと」があったらいいなと思っています。
当時の学習支援ボランティアの英語指導法があまりにひどいので、「この真似はしちゃダメだよ」と書いた記事が『ダメだこりゃ!な英語の勉強法』です。
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