潰してたまるか!生き残りのためなら何でも「売る」銚子電鉄の凄さを実感した一冊

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なんか、YouTubeで銚子電鉄の動画を見ていたらふと興味がわいたので、交通新聞社新書の「廃線寸前!銚子電鉄」を手に取ってしまいました。

kindleは興味を持ったら、すぐ読めるのがいい。この本もkindleで買いました。

で、読んでいくうちに、なんか目から汗が…ということはなく

もう、面白くて、あっという間に読了してしまったんで、この本をご紹介。

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ホントに大変なのに、なんか楽しそうな銚子電鉄

銚子電鉄は1923(大正12)年に開業した「100年企業」。

ただ、営業キロ数はたった6.4キロメートル。9駅だけのローカル鉄道。

乗客数は年々減少傾向…と、古巣の新聞業界に似た「右肩下がり」。

だけど鉄道がダメならと、たい焼き、ぬれ煎餅と食品を売ることで、赤字を生んでいる電鉄業務を支えている。

ホント大変なのに、自分たちの崖っぷち状態を笑いつつ、あの手この手でジタバタやり

それで実際に2021年から、3期連続黒字を達成する。

…すごいなぁ、と。

「まずい棒」誕生秘話が面白い

この本の著者、寺井広樹さんはこれまで銚子電鉄と組んで、様々な企画を立ててきた人なんですが

この本で一つの読みどころは「まずい棒」開発の話。

社長、社員も動員して、YouTubeでCM動画を撮っている…

なんかどっかで聞いたことのある音楽、ぱく…いや、オマージュがちりばめられていて、面白い。

 

某スナック菓子の名前をモジって、経営がまずいから「まずい棒」という同社の自虐精神がいかんなく発揮されています。

本によると、最初は名前だけでなく、ホントにまずいお菓子にしようとしたみたいで

味の第一弾案は「牛のよだれ味(商売は牛のよだれのごとく、とぎれないのがいいという言葉から)」も考えたとか。

でも、まぁすぐ「美味しくなければリピーターがつかない」と正しい路線変更。

著者と竹本勝紀社長があーでもない、こーでもないと試行錯誤する様子も楽しいし、

ホラー漫画家の日野日出志先生にイラストを依頼する話も面白い。もともとがホラーだけど、ギャグマンガや絵本も描きたい、という話を掘っていって

パッケージのイラスト依頼を快諾してもらったりするのは、中々にハートフルですらあります。

そして、最大の問題は元ネタの「う〇い棒」の製造元からの許諾のくだり。

最初はけんもほろろに断られたけど、竹本社長と著者が電話だけでなく訪問し「リスペクト前提のオリジナル商品」であると、粘り強く交渉したことで

黙認という形で許諾を取るのは、同社の銚子駅の別名「絶対にあきらめない駅」の名前通り、すごいもんだと感心しました。

いつなんどき、誰の提案も受けるような執念

映画「カメラを止めるな」にあやかって「電車を止めるな!」も作る、YouTubeチャンネル「銚子電鉄激つらチャンネル」も立ち上げてみる。

動画内では、社長が真っ先に広告塔になって、いろいろやってみる姿勢は、エガちゃんねるとも似ていて、本当に体当たりで好評です。

 

使わなくなった線路を薄切りにして磨き上げて売り、線路の犬釘を「栓抜き」に改造して売り、線路の石も缶詰にして売る。

ネーミングライツで名前も売り…と、とことん売って売って、売りまくる。

笠上黒生駅(かさがみくろはええき)をネーミングライツで「髪毛黒生」駅にしたことも

そうやって、自力で頑張っていると、タイアップも持ち上がるわけで、

他からの提案を受けると、できるだけ何でもやってみる精神もすばらしい。

24時間テレビとタイアップして、駅舎をリニューアルした企画は面白いし

「線路の上を歩きたい」というリクエストで実現したナイトウォークイベントも赤字だったけど、新たな客層に繋がるはず、と前向きにとらえるのは凄いです。

ありとあらゆる作戦を試みて、今や、収益の8割は「ぬれ煎餅」や「まずい棒」など電鉄事業以外の売り上げでカバーし、

帝国データバンクには「米菓製造業」に分類されるほどになっている。

なぜやるか、電鉄事業を何としても残すため。

その執念にグッとくるんです。

絶対にあきらめない、は私にもグサッとくる

実は先だって、長年勤めていた新聞社を離れたんですが、

これは懲戒解雇とか、ヤバい事をしたわけではなくて、会社が事業をやめるという決断をした結果

会社を離れることになりました。

私としては最後まで粘り強く、会社存続のために頑張る気持ちでいたので、最後まで残るしか選択肢を考えていませんでした。

刀折れ、矢尽きる形で戦いをやめて「前の仕事に悔いはない」と真っすぐ前を向いて歩いていたつもりなんですが

この本を読んでいると、銚子電鉄みたいに何億円もの負債ができても、不屈の精神で乗り切るほど自分が頑張ったかな…と思いもするし、

実際に黒字化に持っていった同社の社長、社員の人たちの凄さを強く感じます。

ワイもまだまだ仕事をしないと食っていけないんで、新たな道を模索することになりましたが

そんな時期に、この本を手に取ったのは、ある意味いい出会いだったと思うんです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。この記事が面白かったらTwitterリツイートやシェアボタンでの応援よろしくお願いいたします。

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