今日CNNのニュースサイトでこんなものがありました
古い家を買って、最近リフォームしようとしたところ、壁や床の中から昔のウイスキーが66本も見つかった
というニュースです。
ただのウイスキーで現在ならなんの問題もなく流通するはずのこれらが
何でまた、家の中に隠匿されていたか?
それを知るためには、アメリカ20世紀の悪名高き法律「禁酒法」を理解する必要があります。
「禁酒法」をザックリ説明する
禁酒法は1920年~1933年に実際に存在したアメリカの法律で
要は「飲む」ためのアルコール(度数0.5%以上)流通を全面的に禁止した法律です。
コレがなんで、国会を通っちゃったか、ってことなんですが
要は今の嫌煙運動みたいなものが「反アルコール活動」として盛り上がってしまった
ということなんです。しかも、これらの禁酒を説く勢力は「ドライ」と呼ばれ結構な権力を持っていました。
一方で、「ウエット」と呼ばれた反禁酒法勢力は
票田である酒造業者はお互いの足の引っ張り合いを繰り返すし、
統一的な「禁酒法反対運動」を組織できませんでした。
そして、医学的観点からでなく、宗教的な信条から「堕落の原因」としての禁酒のため
身体に悪いから、量を控えるではなく、
悪いものなんだから、非合法にしてしまえ!
という具合に舵が切られてしまいました。
それで、国内の醸造所でストックされていたりしたものは廃棄され、
国内の販売は禁止になりました。
さて、人を堕落させて、身体に悪いアルコールを追放したら、何が起こったか?
そんなことでこの世に楽園が現出するなら、こんな楽なことはない!!
法律あれども、機能せず!単純に闇酒がはびこっただけだった(´・ω・`)
法律を施行後、何が起こったかと言えば
密造酒や密輸されたアルコールが裏ルートから流通することになりました。
アルコールは、酵母と糖質があれば簡単に作れますし、粗悪な原料を使った密造酒が原因で死ぬ人もいたほどひどいモノも出回りました。
で、他国から裏ルートで密輸されたり、お医者さんに医療用だと処方箋を書いてもらった「上物」を扱う闇酒場が横行します。
驚くなかれ!ニューヨークだけで30000~50000万軒の闇酒場があったというからビックリ。
闇酒業者や、酒場経営者にたいしては、罰金刑程度の軽いもので
逮捕されて、出てきてまた「商売」を再開するような状態。
また、みんな法律なんかクソくらえで「闇酒」を扱っている人を見て見ぬふりして「闇酒」を飲んでいる。
結局、ザル法と化していたんです。
非合法化したことで、マフィアの資金源に!
さらに、これらを扱ったのが、ギャングだったからさあ大変。
彼らは「非合法品」を扱うことでカネの成る木を与えられたかの如く、巨万の富をこしらえます。
その一例がアル・カポネだったりするわけです。
冒頭のニュースにあった、古い家の当時の持ち主は
なにかと黒い噂の絶えない人物だったとのことですから、おそらくマフィアから仕入れた密輸酒を転売目的で隠し持っていたのでしょう。
さて、そんな感じで当初の目的も達成できず、税金も取りはぐれるといいとこなしの
禁酒法は結局1933年に廃止されるのですが、
国内業者は13年間で焼け野原となり、いいお酒が中々手に入らないという状況になりました。
でも、頭のいい人はいるもんで
ルーズベルト大統領の長男と組んで、ジンとスコッチの輸入を一手に手がけ
今度は堂々と「輸入」して大儲けした人物が現れます。
ちなみに、この人の息子さんが、この方。
ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ。第35代アメリカ合衆国大統領であります。
「禁酒法」から学ぶべきことは何か?
今の我々が学ぶべきことは何か、ということなんですが…
要は、これまで合法品だったものを「非合法」としてしまうと余計手がつけられなくなるということです。
ましてや、アルコールなどという紀元前から人類に寄り添ってきたようなモノを
人工的に遮断しようと試みても上手くいかないことの方が多い。
まぁ、そういうとマリファナのようなモノはどうなんだ、って話ですが
私は「日本では非合法のままでいい」と思います。
これまで禁止だったものを「解禁」するのも慎重に慎重を要すると思うからです。
まぁ「道徳的に崇高な目的で制定」された禁酒法が180度違う結果になったというのは、
やっぱり人間が神様ではない、ってことでそのダメさ加減は、私嫌いじゃないんですけどね。
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