「楽して語学を身に付けたい」これは人間のホンネでしょうね。
しかし、語学ってそれなりに脳に負荷をかけないといけないと思います。
私たちは日本語を身に付けたことを容易に考えすぎですが、一応使えるようになるまでに、家庭や学校などでどっぷり日本語環境に浸かり、さらに読み書きを日常的にこなすことで日々進歩をしてきたわけです。
いわんや、それより質量少ないインプットである外国語をや…ということです。
今回は、とりあえず「いくら何でも凄すぎる!!」という勉強法を挙げていってみようと思います。
知識ゼロから原書にぶつかる!関口存男さんのドイツ語勉強法
まずは手始めに多少は現実味のある勉強法を紹介したいと思います。
日本のドイツ語達人として有名な関口存男さんは、
ドイツ語のドの字もしらないレベルで
いきなり、ドイツ語版の『カラマーゾフの兄弟』を買って来て、ドイツ語の辞書を片手に読み始めました。
もちろん、いきなり文法も何も分からないで、無理くりに何度も何度も読むのですから、
むちゃくちゃ苦しいでしょうね。
とにかく「わかろう、わかろう」と思つて、片つぱしから辭書を引いて、辭書に書いてあつた意味を何でもかでもその語の妙な響きに結びつけて、そうして一行か二行を穴の開くほど睨みつけて、十ぺんも二十ぺんも三十ぺんも讀みなおして、そして、ああじやないか、こうじやないかと、とにかく十四歳の少年の知慧が及ぶ最後の限界まで考えつめたのです。— 関口存男「わたしはどういう風にして獨逸語をやってきたか」
関口存男さん、この時14歳!
ただ達人というのはそれをやり遂げてしまうところがすごい!!
半分くらい読んだあたりで、分かるようになったそうです。
しかし、真似した私が断言します。
こんな勉強法、たとえ私が基礎知識を持ってる英語でやったとしてもできません。
20冊ほど外書を買い込んでやってみましたが、どの本も5ページも読めずに挫折しました。
命がかかれば語学は身につく!結拉致被害者と工作員の学習法
日本人としては忸怩たる思いですが、北朝鮮による日本人拉致被害者は
未だに解決を見ていません。
戸籍を乗っ取る「背乗り」のための拉致もありましたが、将来の教育係として連れて行かれる人もいました。
被害者は工作船に詰め込まれて、朝鮮半島に拉致されると
命を助けてやるからまず「朝鮮語を勉強しろ!」と強要されたそうです。
誰だって命が惜しいから、そりゃ真剣に勉強します。そうして北朝鮮工作員の教育に関わることになります。
大韓航空機爆破事件の実行犯、金賢姫さんはそんな拉致被害者、田口八重子さんに日本語を学んだそうです。
日本の教科書や新聞を読み上げたり、カバーに合ったバックグラウンドを学んだそうです。
例えばカレーライスの作り方や、『瀬戸の花嫁』のような当時の流行歌、ちょっと濃いめの日本風メイクも実際の化粧品を使って学んだそうです。
マンツーマンで言葉だけでなく、
徹底的に日本人になり切る訓練をうけるのです。
メチャクチャコストがかかっていますよね。
非合法活動に従事するため
「日本人になり切る」ために必要なことのすべてを学ぶのですから当然と言えば当然ですね。
そして訓練を受けた金賢姫さんは
日本人「蜂谷真由美」になりすまし大韓航空機爆破事件を起こします。
しかし、やはりカバーはひょんなところから綻ぶとも言えます。
逮捕後、韓国に連行された金賢姫さんは、
「日本人はノリを食べない」と思いこんでいたため、食事で出されたノリを
紙か?ととぼけたところ、
日本人なのにノリを知らないとはおかしい!というところから見抜かれ、正体がばれてしまいました。
秘密警察監修『3ヶ月で語学を劇的に上達させる方法』
極めつけは、ロシアの秘密警察監修の「外国語学習法」
最近、ラジオCMを聞かなくなった「聞き流すだけの英会話教材」ですが、
これは本当に効果があるのか…やり方によっては効果があるようです。ただし、レベルが全然ちがいます。
『国家と人生「寛容と多元主義が世界を変える」』という竹村健一さんと佐藤優さんの共著にこの学習法が紹介されています。
開発したのはロシアの秘密警察。
洗脳を応用した方法で、外界から完全に遮断し、文法も教えずに言葉の洪水を浴びせるというものです。
洗脳は、頭の中でガッチリ作られた概念をものすごいストレスを与えて完全崩壊させて、
後から新しい概念を植え付ける手法ですが、コレを言語学習に応用しようというわけです。
やり方は朝から晩まで外国語漬けして他の言語は一切使わせない。
一日5分どころじゃなく、脳みそに語学のシャワー…どころではない高圧放水を徹底的に浴びせるというものです。
母語のスキームを徹底的に押さえつけて、母語を学んだ手順を無理くりに押し付ける。
まさに洗脳です。
そうすると…あら不思議!3ヶ月位で外国語が上達するそうです。
スゴイですよね。
「こりゃいいや、早速自分も」と思った方、ちょっと待って下さい。
実はこの話には続きがあるんです。
実際にこのやり方を受けた20人のうち、確かに17人はモノになったということですが…
3 人 が 廃 人 に な っ て し ま っ たそうです。
母語は単なる意思伝達の手段ではなく、
あらゆる思考を司るプラットフォームであると私は思うのですが、
どーもこのやり方はプラットフォームを根こそぎ破壊するかなり無茶苦茶なやり方らしい。
語学を仕込むのってウン千万の費用と、語学に適応できる人材をスカウトする手間、そして相応の時間がかかります。
素質を見込んでスカウトし、大枚をはたいて育成した有能な語学要員を
かなりの高確率(単純計算で15%)で潰してしまう方法だったため
「非人道的」ということでこの方法はやめてしまったそうです。
佐藤さん曰く
『(ロシア秘密警察の長官が非人道的だからやめたと言っているのを聞いて)私はそれを聞いて唖然としました。「秘密警察もずいぶん変わってしまったもんだ……人道的になった」と(笑)』(p.87)
佐藤さん、そこ笑うところか(´・ω・`)?
結局、語学は語彙と文法
前にも書いたのですが二十年ほど色々回り道をしてみて、
オーソドックスな勉強法が一番の近道でした。
シンプルな英語教科書を徹底的に消化する。消化には徹底的に音読し、体得していくしかない。
そして、極限まで突き詰めると、語学は語彙と文法であり、
面倒くさいと思った文法を学ぶのが、一番の近道だったということです。
なので、現役の学生さんで、英語が好きだという方は教科書をどうか、
徹底的に学んでほしいです。
参考図書
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