最近は、通勤で持ち歩くことを考えて電子書籍を買うことが多い私だが
久しぶりに、紙の本を購入しました。
昨年3月に出版された写真集「福本清三 無心−ある斬られ役の生涯」。
私、この福本さんの事を、映画「ラストサムライ」が公開される少し前に知って
彼のインタビュー本をむさぼるように読み、いっぺんに心をつかまれました。
映画産業という全盛期を過ぎた業界で
映画のスターを引き立てる「斬られ役」をプロ意識と誇りを持って演じ
ひとつの道を真っ直ぐに歩む姿勢に
同じく「時代遅れ」である新聞業界が好きで辞められない私が
なんとなく「かぶる」ような気がしたからです。
何年か前に久しぶりに再読したら、その想いが色褪せるどころか
ますます強くなっておりました。
そして今年、新たな会社で記者の仕事を始めたわけですが
この写真集の存在を知り、読むことにしたわけです。
「ラストサムライ」の出演の後は、なんとなく「太秦ライムライト」くらいしか知らなかったのですが
脚光を浴びて、有名になっても謙虚で、誠実な福本さんの人柄は相変わらずだった、と関係者の証言からうかがえます。
初主演作「太秦ライムライト」にしても
本人が「スターじゃないワシが主役?脇役ならいくらでもやるけど」と散々渋った末での出演だったそうです。
もう仕事を選べる存在だと思うけれど、今までと同じように、自分に与えられた仕事をキチンとやる。
亡くなるまでそれは変わらなかった、と知りました。
なんか、それがうれしいし
改めて「仰ぎ見る価値のある、素晴らしい人柄であり、ブログ主も目指すべき生き方」との思いを強くしました。
…自分語りになっちゃうけど、新しい会社で一兵卒から記者をやらせてもらうことになって、生涯斬られ役を誠実にこなした生涯を振りかえって
「おし、自分もこの人生を『生ききってみせよう』」という気持ちを奮い立たせております。
ちなみに、映画「太秦ライムライト」ですがこの本を読んでから改めて拝見したら
ほんと、この時期を逃したら実現できないキャストがある。
松方弘樹さんなんかは、お父さん(近衛十四郎)の代から、何百回も福本さんを斬って来た2代にわたるお付き合い。
この映画ではさすがの存在感を見せていたけど、2年後に脳リンパ腫で倒れることになったのは、後から振り返るとなんか運命みたいなもんを感じます。
また、その松方さんの他に、若手、ベテランを問わずにいいメンバーがそろっているのもいい。
映画では「香美山清一」という役名になってますが、話は間違いなく、福本さんに沿ってます。
生き方にオーバーラップしているんで、福本さんも割と、役作りそのものには違和感を感じてなかったんじゃないでしょうか。
思う存分、福本さんを愛でることができる映画として、これほどうってつけなものも無くって、最高でしたね。
【参考図書】
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