この記事では猫組長『ダークサイド投資術』を紹介し、今の我々がどーやって生き残るかを考察したいと思います。
今のところ、生活の激変で対応するのに手いっぱい、というのが本音なんですが、
こんな時こそ、読書人としては一歩前の未来を思い描くようにしないと、と考えています。
この本は、現在の世界を新型コロナウイルス流行から読み解き、
どのように、それに個人が対応すべきかについて示唆されています。
さすが、元経済ヤ●ザ!視点が冷徹!!
著者の猫組長(菅原潮)氏は、元山口組の三次団体の組長としてお金を稼ぎまくった「経済ヤ●ザ」の前歴をお持ちです。
一時期、数百億もの資金を動かしていた経験から元日産会長のカルロス・ゴーンの事件の本質を「マネーロンダリング」であると見抜いた人物です。
猫組長の分析は、現状の把握にファンタジーを一切介在させない。
時系列順にコロナのニュースを一つ一つ分析し、ありのままを出してくる。
私、新型コロナウイルスの流行が始まってから、ちょっと100年前のスペイン風邪のことについても調べ始めてみたわけなんですが、
このスペイン風邪のパンデミックが世界大恐慌時におけるブロック経済、ひいては第二次世界大戦の遠因にもなったということで「今回もコレ、ありうるな」と思っていました。
今回、猫組長のこの本を読んで、自分の認識がむしろ甘いと思いましたね。
私の見立てでは5~10年くらいの動きでなる、と見ていた動きが
著者の見立てだと、向こう半年で急激に動く可能性もあるということが分かったからです。
民間経済から国民経済へ
経済に関しても考察が面白かった。
私、今回のパンデミックはグローバリズムの仕組みが完全に裏目に出たケースだと思っていて、世界を股にかけて活動し、一番税金が安いところに本社を置いて利益を最大化させる多国籍企業みたいなのが、一番目の敵にされるんだろうな、と思っていました。
著者も一部、そのように考えているみたいで自由な経済活動ではこぼれ落ちる人間を政治的な力で支える、「国民経済の復活」を見据えています。
でも、そうすると結果としては、国家の求心力が働くので、ブロック経済が21世紀に出現することになるでしょうな。「付き合う相手と、付き合わない相手とに分けて、垣根を囲む」といった具合に。
TPPなんかが、重要な枠組みとして活用されるんでしょうね。
ただ、著者の見立てはもっと冷徹で、その先には戦争の可能性も否定できないような、厳しい判断が迫られると述べています。
冷静に現状を分析し、感性で未来を思い描き投資する
この本には、当然猫組長の投資家としての記述も出てきます。
何しろ『ダークサイド投資術』ですからね。
巻頭から繰り返し「今は投資しないことが有効」と書かれてて、
でも、ご自身はテスラモーターズの株主なのになぜ?といぶかりました。
しかし、本を読んでいくうちに分かったのは
「今の段階で投資を検討しているようでは、もう遅い」という意味だと伺えました。
というのも、知人にテスラ株を勧めた時に自分で判断できないために一時株価が急落した時に著者を罵ったり、まだ伸びしろがある株を売り抜けてしまったエピソードを紹介していたから。
投資家とは、もっとタイムレンジを長く持たないと大きな利益を掴むことが出来ない。
まして、昔はやったデイトレみたいな超短期売買などは、AIの人間に不可能なレベルでの売買で、即座に血祭りにあげられる時代。
しかし、現状の無数の要素を総合して取引できるAIも、未来を思い描く能力は持ち合わせていない。
だからこそ、生身の人間がアルゴリズムに勝つには、時間のレンジを広く取り
未来のイメージを思い描く「感性」こそがカギになる。
というのは、読んでて腑に落ちました。
…私は、というとiDeCoやってますけど、
購入タイミングや銘柄などを一切自己判断にしないでインデックスファンドの積み立てをやっています。
自分の相場観、企業評価なんぞ、まったく当てにしていない、これもまぁ一つのやり方ですね。
でも、猫組長のように自分で「未来の絵を思い描ける」投資家って面白いだろうな、とも思います。彼の著作を読んでいると、現状認識は冷徹だけど、投資の話になると結構ロマンがある。
そういうところがたまらなく魅力的なんですよね。
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