この記事では、昭和天皇が生前珍しく「痛いっ!」と言ったときの話を書きます。
痛いくらい、言うだろ?というあなた。
それが、そうでもないんです。
異常に我慢強い昭和天皇
フツーの人だったら、痛いときは痛いと訴えるんでしょうが、
昭和天皇のエピソードを見ていると、痛がるという事をあまりなされないご様子。
最晩年に開腹手術を受けた時、麻酔から覚めての第一声は、「良宮(香淳皇后)は何をしているかな?」で、末期の腺がんで臥せっているときも「調子はいいようだよ」と答えるなど
異常に「我慢強い」んです。
そして、そういった話は当然、侍医も書き残しておりまして…
杉村昌雄さんという方が、腫物(アテローム)の治療をした折のエピソードを披露しています。
「痛いとはどういうことか?」
時は昭和40年代の半ば。
静養中の昭和天皇の背中に腫物が出来た、陛下もお苦しみのご様子だとの知らせが届きました。
診察すると、粉瘤(アテローム)と呼ばれるもので、皮膚の下に袋状の空間ができ、皮膚の垢とかがため込まれる症状です。
これは皮膚科のホームページにもよく出てくる症例でそんなに珍しい症状ではない。
ただ、これが腫れると結構痛くて、回復するためにはメスを入れて膿を絞り出さないといけない。
どうも陛下は大事ではないと放っておいたらしく、結構な大きさになって、腫れもひどくなった模様
そうなると、本格的に局所麻酔の注射もしなくてはいけない。
注射そのものも結構痛いし、麻酔で天皇陛下が亡くなられては一大事なんで、侍医たちも「検討に検討を重ねて」手術に踏み切りました。
で、当然ながら無事手術は成功。手術中の昭和天皇、何事もないというように平然としておられ
「お痛みはございませんか?」と杉村さんが質問したら
「痛いとはどういうことだ」と答えたといいます。麻酔そのものも相当痛いですが、腫れてる場所にメスを入れてるわけですから、麻酔が切れたら相当痛いはずなのに…
と杉村さんはその我慢強さにビックリするのです。そして、侍医に気を使わせないようにと自分を戒める天皇はすごい、と感服したとのこと。
やっぱり痛かった…という話
ところが、この手術の後。
術後の患部の治療を行っていた時の話で、別の侍医が患部を覆うガーゼを取り替える際に
ピンセットでまだ腫れの引かない患部をうっかりつまんでしまいました。
予想もしなかった突然の痛みに、思わず「痛い」っと叫んでしまった昭和天皇…。
その時、うっかりやらかした侍医がなんといったか?
「陛下、痛いとはこういう事でございます」としれっと申し上げたとか。
もちろん、これは先だっての「痛いとはどういうことだ?」に引っ掛けた返答でした。
天皇陛下の侍医を務める方って割と、こういう時以外にも図太い方が多いみたいで、内々の酒席で酔っぱらって香淳皇后に「奥さん、さあ一杯!」と言っちゃう人がいたりします。
無礼だと怒ることもなく終わるあたりが、昭和天皇らしくて面白いんですがね。
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