中勘助『銀の匙』は、自宅に残された銀のスプーンを見て、幼い頃の思い出を追憶する…という小説です。
「思い出というのは、ささいなキッカケで思い起こさせられるものである」
という何気ない人生の経験から着想を得て、書かれた面白い作品です。
さて、私も齢45を数えました。
で、先日思い出したんです。懐かしいテレビCMを。
松田聖子さんの「Sweet Memories」が流れる、切ない雰囲気が一気によみがえって来ました。
で、私そういう事を思い出すと、「このCMを覚えてる?」とTwitterで投稿しては、
色んな人の当時の思い出を絡めながら、ひとしきりお喋りをするのが常です。
実はこれ、ビールのCMでした。
ちなみに、調べなおしたところ、これは「サントリーCANビール」のCM。放送は1983~84(昭和58~59)年。
私は松田聖子さんのバージョンしか知らなかったんですが、細川たかしさん、アグネス・チャンさん、大竹しのぶさんのバージョンも存在するらしい。
切ないトーンのモノもあるけど、明るいバージョンもあって今見ても中々面白い出来に仕上がっています。
↑ここから、全バージョンのCMが見れます。
で、このCM、ビールなのにかわいいペンギンキャラを使ったということで
「商品の対象年齢より低い子どもたちに人気爆発」という事態になったとか。
そんで、本来ビールを飲まない(飲めない)子どもたちが、キャラクターグッズをもらうためにビールを買うという珍現象が発生したといいます。
今だったら、年齢確認で確実に跳ね返されてしまうんですが
当時、お酒やたばこを「おつかい」で買いに行くというのは誰でも(私も)やっていた事だったんで、
子どもがビールを飲むんじゃないか?まずくない??コレはいかがなもんか?
と問題になっちゃって、大好評にもかかわらず打ち切らざるを得なくなった…なんて笑えない話もあります。
人気だったから映画も制作されていた!
まぁ、それだけのインパクトがあったもんで、このペンギンキャラ(パピプペンギンズというキャラクターらしい)を使った
「ペンギンズ・メモリー 幸福物語」という映画も作られました。
見た人の話だと、「シリアスだけどいい話だった」「LD持ってるけど、今じゃ無用の長物」と
CMから持ち上がった映画企画にしては、えらく評判がいい!
で、今ソフト化はされているかというと、現在はない。
それでも一回見てみたいな、という気持ちになって
ダメもとで YouTube を検索したらコレがばっちりヒットしました。
…で、見ましたわ。全部。
ストーリーは…これが、すごくいい!!!
ストーリーはデルタ戦争(これは恐らくベトナム戦争をイメージしたもの)から負傷して帰還したマイクが
放浪の末にたどり着いた街で図書館員の職を得て
歌手を夢見る医者の娘、ジルと恋に落ちるというものです。
主人公のマイクの声を佐藤浩市さんが、ジルの声をアニメ「ドラゴンボール」長年ブルマ役を務めた鶴ひろみさんが担当しています。
そして劇中の歌は、CMから引き続いて松田聖子さんが担当。
これだけでも、片手間に作ってない感が半端ないんですが、シナリオもまたよく出来ている。
冒頭でマイクの戦闘シーンがあるんですが、心通わせる仲間が撃たれたり、ヘリから落ちてしまうシーンや
逃げ惑う一般人にヘリコプターが容赦のない銃撃を浴びせるシーンなど
かわいいペンギンキャラなのに、メチャクチャハードな光景がいきなり展開されます。
体だけでなく、心まで深く傷ついたマイクを迎えた故郷の人々は
「武勇伝」をねだるばかりでその心を推し量る者はなく、マイクが故郷を去り、各地を放浪するのなんか
なんか、昔見たベトナム戦争関連映画にもあるような見ごたえを感じます。
…だけどね、その後登場する主要人物がすごくいい人ばかりで
なんか、心を癒されるような話が続くんです。
…おっと、これ以上はネタバレになるんで、詳しくは本編↓をご覧くださいませ。
なんとなーく、若者に焦点を当て反戦をモチーフにしたアメリカン・ニューシネマ風であり、
傷ついた心を優しく包み込むようなそんな作品で
これが、1985年という、日航機事故が発生したり、豊田商事事件で騒然とした年に公開されてたってのが、ちょっと信じられないという感じがしますね。
【昔の思い出は掘ると面白い、という話】
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