好きなモノでも、毎日食べる…となれば誰でも流石にウンザリするもの。
まして、自分で食事を選べない人だと、我々一般庶民とはまた別の悩みがあるものです
今回は昭和天皇と国民の双方が「良かれと思って」やったことがキレイに裏目に出た
「ウナギ責め事件」をご紹介します。
陛下、ウナギがお好きなんだって(´・ω・`)!?
1947(昭和22)年11月、昭和天皇が北陸地方をご巡幸になった時、
福井県敦賀の宿舎での夕食時のこと。
好物のウナギのかば焼きが山盛りで出てきました。
当時は天皇陛下をお迎えすることなんて慣れてないから
お膳の脚が折れるくらい、山盛りにして差し上げるのは無理もないことでした。
しかし、陛下はウナギを完食します。
普段は腹八分目を旨とする昭和天皇でしたが
「民の心尽くしを残しては申し訳ない」とキチンと全部食べたそうです。
しかし、騒動はここから始まりました。
新聞に「ウナギ大好き」と書かれる…
翌日地元紙の朝刊で
「天皇陛下、山盛りのウナギをペロリ」
と書かれてしまったから、さあ大変!
周りの人たちも当然記事を読みます。
それで予定のお食事メニューを見直し、ウナギがないなら
「鉄板なのになんで入れない!?」と責められる事態に陥りました。
結果、翌日宿泊した武生でも、
その翌日お泊りになった芦原温泉でも、つぎつぎにウナギが出る事態になりました。
宿泊先の人たちの純粋な「おもてなし精神」の発露でもあるし
こんな事で怒ると誰かが責任を取らされるから、怒るわけにもいかない。
陛下は怒らないけど、侍医からするとシャレにならない
陛下はこういう時、あんまり怒らない。
と、いうのも「怒ったら誰かが責任を取らされる」のは分かりきっているから。
「新聞に出たんだから、毎晩ウナギが出るよ」と苦笑いした、と言います。
とはいえ、一ヶ所で何か出してそれが連鎖する話は侍医にとっては困ることも。
それは、フグ。
陛下がフグの毒に当たるなんて避けたいし、よそも「右へならえ!」されたら
その度に冷や汗をかかされることになりかねない。
だから下関に巡幸した際に「陛下にフグを」と申し出られた時は
侍医は即刻ストップをかけました。
当時の担当侍医は後にあったフグ論争とは違い理屈で攻めず
「天皇たるもの、フグのようなみっともないものは食べないものです!」と
昭和天皇をひと言で制圧。
こういう理屈ではない時は陛下もおとなしくて
「そうか」でおしまいになったそうです。
今更ながら「昭和天皇へのお食事アドバイス」
もう崩御されて30年以上経つ陛下にお食事を差し上げるなんてこと
もうないんですけど、どうしたら喜ばれるか?という話を侍従が聞かれたことがあります。
答えは「その土地で親しまれている食べ物を差し上げれば、喜ばれます」とのこと。
長野では「蜂の子の佃煮」に、九州では朝食の定番「おきゅうと」を喜んで召し上がったそうです。
天皇陛下は、日本各地の人々がどんな暮らしをしているのかに、興味を持っておられるので
その土地で親しまれている食べ物を味わうことも「国見」のうちなんです。
これは、おそらく今の皇室も同じだと思います。
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