どこまで分かった?「切り裂きジャック」の真実

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本の整理をしていたら、大昔に買った「切り裂きジャック〜闇に消えた殺人鬼の新事実」が出てきました。

初版1997年。

つまり23年前の本です。

しかし内容は極めて実証的で大真面目。今でもこの事件の本としては決定版といってもいい内容です。

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今更ながら「切り裂きジャック事件」とは?

当時の絵入り新聞に描かれた「切り裂きジャック」

切り裂きジャックは、1888年、今から130年以上前に突如現れ、

8月末から11月9日の2ヶ月に確定しているだけで5人の娼婦を惨殺、そのまま忽然と姿を消した連続殺人犯です。

当時、マスコミでも大々的に取り上げられ、様々な憶測を呼びながらも犯人は捕まらず、事件は迷宮入りを迎えました。

その猟奇性や迷宮入りの結末を迎えた結果から今でも犯人探しが行われ、

研究家は「リッパロロジスト」と呼ばれています。

また、マンガやゲームなどでもそのキョーレツかつ大幅にパワーアップして登場します。

荒木飛呂彦「ジョジョの奇妙な冒険」より。第1部のラスボスDIOの2の子分になります

とまぁ、謎が多いだけに様々なキャラ設定で登場するので、想像を膨らませやすいのでしょう。

じゃ、実際のところの情報は…

これだけの有名人?ながら、

どうしてこうも謎が多いのか?

これは「残されたエピソードや証拠が根拠のないガセネタばかりだから」

この一言に尽きます。

これは当時のメディアが、今以上に「売らんかな主義」ということもあります。

当時この事件を取り上げたのは一部1ペニーの絵入り新聞でした。

当時の絵入り新聞の1つ、イラストレイティッド・ロンドンニュース

今出版されているもので近いモノといえば…

「東スポ」ですかね。コレがまぁセンセーショナルに事件を取り上げて、

読む方も話半分で面白がり、あることないことを暇つぶしに楽しむ、という有様でした。

当時はジンをあおって酔っ払い、絵入り新聞で日々報道されるニュースを見てアレコレ話すというのがビンボー人の憂さ晴らしだったようです。

ホッピー飲んで酔っ払い、ワイドショーネタでオダを上げるサラリーマンとおんなじですな笑。

ただ、インテリ層もこの事件を面白がった人もいるようで…

中には犯人を名乗った犯行予告を出したりした人もいました。

そもそも切り裂きジャックは本人が名乗ったものでなく、本人が書いたか断定できない「犯行予告」の1つに書かれていたのが初出です。

ジャックというのも日本でいうところの「名無しの権兵衛」みたいなもんでした。

だから、こうなるともう、しっちゃかめっちゃか!!

さらに、コレだけのインパクトを残しながら事件そのものは2ヶ月ちょっとの間しかない。

大騒ぎになったものの、被害者は5人ほど。(ただ、当時は似たような殺人事件が数多くあったので本によっては10人近くまで膨れ上がっているものもありますが)。

被害者はみな娼婦、というのもセンセーショナルに取り上げられている原因かと思われます。

娼婦っていうと、なんか色っぽいと思われますけど、当時の最下層で、食い詰めた女性がサイドビジネスで客を取っていた、というのが実際のところ。

江戸時代の夜鷹と同じで、いつでもどこでも誰とでもなキケンなお仕事だったわけです。

従事者は40代という、今なら若いけど当時からすると「おばあちゃん」ばっかり!

…こんなわけで、事実はかなりショボい。

迷宮入り後も、容疑者が続々と増える謎展開

と、まぁ被害者が惨殺された話に、当時のマスコミの与太話が組み合わさって、話がドンドン膨らんでいきました。

とっくの昔に迷宮入りしたのに、時を経るごとに容疑者の数をドンドン増やし、しまいにはヴィクトリア女王の皇孫殿下まで容疑者になっちゃう有様でした。

まぁ、元々「犯人コイツじゃねー?」とアタリをつけてからテキトーに証拠をかき集め(るだけでは足らず、でっち上げ)て、「コレが犯人だ!」って言うのが今も続いているわけです!!

今でも時折「真犯人はコイツだ!!」という番組が作られていますが、大抵は過去に否定された説の焼き直しだったりします。

「切り裂きジャック」を真面目に検証したら、身もふたもない結論に…

そんなわけで、この事件はとにかくデタラメな話が満載!!

この本は、そういった与太話、フェイク情報をふるい落として、一冊使って丁寧に一つ一つ検証していきます。

そうすると…

どの犯人も犯行を裏付ける決定的な証拠がない!!

ということになってしまいます。まぁ、迷宮入り事件ですし、130年前の話ですから、当時の人間はみんな死んでますし…

新たな証拠が出ることも(捏造だったらコレまでも山と出ましたが)ないでしょう。タイムマシンが発明されて、当時の事件現場にも行かない限り。

最後に犯人のプロファイリングが行われていますが、コレは特定の人物を指摘することはなく、「こういう人じゃないかなぁ」位です。

コレは資料の乏しい歴史を掘ってみると、割とよく起こる現象です。

19世紀のキリスト教神学で「イエス・キリストの実在を証明できるか?」というテーマがありました。

数十年すったもんだして、出た結論は

「イエス・キリストという人物がいた、という証明もいなかった、という証明もできない」という

事実上の「解なし」であったそうです。

史実は平凡!!

最近、とある歴史学者の話を聞いたのですが「史実は結構平凡で、劇的な展開や陰謀論は後付けだったことが多い」との話をしていました。

…今でも陰謀論は盛んで、やれ総理大臣が地震兵器を使ったとか、色々ありますよね。

また、本能寺の変では、明智光秀が徳川家康と共謀したとか、ミステリーとしては面白いけど、史実ではそのような証拠は何もない。

「切り裂きジャック事件」も同じで、犯人が衝撃的だと面白い!となりますが、実際はそこら辺にいた名前も残ってない人が犯人だった方が自然ですよね。

ちなみに、この事件をセンセーショナルに取り上げた「絵入り新聞」は、こちらでも取り上げています。

 

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