5歳でお屠蘇を飲まされ寝正月…下戸だけど味わい深い「昭和天皇とお酒」のエピソード

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この記事では、昭和天皇とお酒のエピソードをご紹介します。

と、いってもご本人が過ごしてご乱行…というお話は全くありません。

なぜなら、昭和天皇はお酒が全く飲めなかったから。

じゃ、なぜこんな記事を?と思われる人もいるでしょうが、それは読んでのお楽しみです。

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5歳の正月に寝正月

昭和天皇が初めてお酒を口にしたのは、なんと5歳のとき。

と言っても自分から口にしたわけではありません。その辺はご本人のお話から起こしていきましょう。

昭和51年8月23日、那須御用邸での記者会見でのやり取りです。

記者:陛下はお酒を召し上がりませんが、それは小さい頃女官さんから雛祭りの時、白酒を勧められ酔われてしまったから、と伺ってますが、真相は。

天皇:その女官のことは間違い、ウソです。お正月、お酒に酔って困って寝正月をしたというのは小児科の医者から(お酒を)勧められたんです。どうもあの頃、乱暴と言っちゃなんだけど、お酒の好きな人が周りに多かったから。

記者:何歳ごろのことでございますか。

天皇:それはねえ、五つかそこいら(大笑い)

今だと、未成年にお酒を飲ませるなんぞ、

論外というか色々社会的制裁も入るほど厳しくなりましたが、

当時は明治時代ですから、まぁご容赦ください。

ちなみに、私が調べたところ、明治天皇は大酒飲みで、大正天皇もワインなどを好んで飲まれていました。

なもんで、「迪宮(昭和天皇)さまもご酒はいけるはず」と勝手に推測されて、そうなっちゃった…のかなぁ、と思います。

自分は飲めないからと、お付きの人に「代打」を頼む

戦後、昭和天皇は日本各地を巡幸し、国民を激励しました。

人に会うだけでなく、日本各地の農業や産業はどうだろう、と視察も行っています。

そんな昭和22年6月12日。兵庫県灘五郷にある嘉納酒造会社にも立ち寄りました。

灘の生一本の本場です。

説明役の嘉納治郎右衛門からコップを渡されました。

しかし「酒の臭いを嗅いだだけでも具合が悪くなる」と陛下は隣の侍従へ、さらに

松平慶民宮内府長官に「君はいけるだろう、飲んでごらん」とコップを渡しました。

松平長官は陛下の「名代」で灘の新酒と明治43年製の大古酒の利き酒とを飲み比べにチャレンジ。

ただ、みんなの前で「酒好き」と言われて、ちょっと照れた長官に、昭和天皇は「はっはっは」と楽しそうに笑われたとか。

レーガン大統領との「酒飲み話」

そんなわけで、晩餐会や宮中での祭事などでは、ひと口だけ口をつけて、飲まなかった昭和天皇。

侍医たちは「一杯くらいならお体にいいから」とお酒を水で割ったものを勧めたこともあるそうですが、お身体の具合が良くないというので、やめてしまったとのこと。

しかし、宮中晩さん会で、ロナルド・レーガン大統領と「酒飲み」について話が盛り上がったことがあります。

それは、大統領が「陛下はお酒を召し上がらないんですね」と声を掛けたところから。

天皇「私はダメだけど、祖父(明治天皇)は大変な大酒飲みでした」

レーガン大統領「なるほど、それで…実は、日本で明治天皇と飲んだグラント将軍(元北軍の司令官で元アメリカ大統領)はバーボンを飲み過ぎた人なんですよ」

天皇「(グラント大統領は)祖父とは随分、飲んだそうですよ」

後で、側近が調べたら、確かにグラント大統領は大統領を辞めた後、日本に来ていて、元大統領だから明治天皇の接遇を受けている。

しかも「美味しくお酒が飲めるから」って理由で滞在中もう2回、会って飲んでると分かりました。

酒飲みだから分かるんですが、「なるほど」と感じるブログ主です。

で、そんな日米の「酒飲み」をネタに盛り上がる昭和天皇とレーガン大統領。これぞまさに「酒飲み(の)話」

香淳皇后はたしなむ程度

とまぁ、お酒に関してはまったく口にしない昭和天皇ですが、后の香淳皇后は多少飲める体質で、晩のお食事に小さな徳利がつけられていたそうです。

とはいえ、お代わりなんかしませんし、ましてブログ主のように酔って乱れることはなく…

ひと口か、ふた口飲んだらおしまいで、残りは全て「おすべり」となり、料理用に使われたりしたそうです。

また、香淳皇后のご好物は、酒粕で野菜を漬けた奈良漬け。

昭和天皇は、あまり手をつけなかったそうですが、

奈良漬をたくあんとかと一緒に細かく刻んで、ダシで和えたりされたものは、少々口にした、と谷部金次郎さんの『昭和天皇と鰻茶漬』で書かれています。

内々の飲み会では座持ちよく…

宮内庁の中で陪食をされるときには、お酒は飲まないけど宴席の雰囲気はお好みだったらしい昭和天皇。

侍従や侍医たちがお酒を飲んで盛り上がっているのをニコニコながめつつ、酒飲み独特の盛り上がる雰囲気にも乗って、一緒に会話を楽しんでおられた様子。

でも流石に何かないと格好がつかないので、煮冷水(湯冷まし)を盃に入れていて召し上がっていたそうです。

そしてお酒を飲む人のペースに合わせてご飯を召し上がり、大好きな相撲の話に花を咲かせていました。

奥さん、どうぞ一杯!

侍医の杉村昌雄さんの『天皇さまお脈拝見』では、両陛下はざっくばらんな雰囲気を醸し出していたそうで、大いに盛り上がったとのこと。

ある時、村山浩一侍医長(当時)が、香淳皇后にお酒を勧めたとき

「さ、奥さん、どうぞ一杯!」

「奥さん、遠慮なさらず」

「あ、奥さん。お酒がこぼれますよ」

と畏れ多くも、香淳皇后に「奥さん」を連発。

この村山浩一さん、中々の豪傑で様々なエピソードをお持ちの方。

それだけに周りの「不敬だろう(笑)」に全然悪びれず「だって奥さんなんだから問題ないだろう」

と言い放ってみんなで大笑い、なんてこともあったそうです。

【関連記事】

昭和天皇「フグ論争」の真相…某掲示板サイトで有名なコピペを調べてみたら出てきたお話。昭和天皇が侍医に「なんでフグを食べたらいけないのか?」と小一時間問い詰めたお話です。

昭和天皇のお食事エピソード…谷部金次郎さん、渡辺誠さんという二人の「天皇の料理番」が残した著作から、面白いお食事エピソードをまとめたものです。

【参考文献】

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