実は先週土曜日に、共通の知り合いから女性を紹介されました。
お見合いというヤツです。
そんなわけで、ちょっと離れた街へ車でトコトコ走りまして…時間も遅れないように充分余裕を持たせておいたので
近くにあるBOOK・OFFで古本をチェックしてました。
本当は、別の本を探していたのですが、澤宮優さんの『バッティングピッチャー』という本が目に留まり、早速購入して目を通していました。
澤宮さんは、以前『打撃投手』という似た本を出版していましたが
今回の本は、それの続編にあたっているようで、
この本の中には松井秀喜選手の打撃練習に投げた北野明仁さんや、
三冠王3度獲得してチームを渡り歩いた落合博満さんの歴代のバッティングピッチャー(以下、打撃投手)たち
また、オリックス時代のイチローに投げた奥村幸治さんなど
名打者の「恋人」と呼ばれていた面々のエピソードや
入来祐作さんや杉山賢人さんなど一世を風靡した投手でも、打撃投手になる現状。
この仕事の天敵ともいうべき「イップス」の話など
普段全く光が当たらない世界が綿密な取材のもとに、鮮やかに描き出されています。
ただ投げるだけじゃない、打撃投手の難しさ
打撃投手って、ほとんどの場合が現役を退いたプロのピッチャーがなるものだそうです。
もちろん投げるプロだった人達ですから、ストライクを入れることはできるんです
しかし、しばらくすると「打ちやすい球をストライクに入れる」というところで、苦しむ人が本当に多いようです。
入来祐作さんも、それで打撃投手ができなくなり、用具係に転身します。
ただ、これが面白いんですが、そういったことが全くなく、打撃投手を続けられる人もいる。
そういう人は、割と上手に自分のメンタルを守っていて、多少は外れたっていいじゃねぇかと開き直れたり、バッターの舌打ちとかをスルーしたりしてるのも、面白かったですね。
何より、面白かったのは、優れたバッターほど、打撃投手にバッティングのアドバイスを求めていること。
落合博満さんや、立浪和義さんなんかがそうみたいなんですが、
いつも自分に投げている打撃投手に、普段と違うところはないか?と意見を求めているんです。
それで「よく見ておこう」と観察していると、打撃投手も異変が分かるようになる
気持ちよく、バッターに打たせるだけでなく、普段から打ってもらってるバッターの足の位置や体の開きといった
本人には見えない部分もさりげなく観察し、アドバイスが送れるのも普段からバッティングを見ている打撃投手ならでは、と納得しました。
故障で現場を去る打撃投手の過酷さ
それと、投げる動作は同じですから、肩やひじなどを壊して投げられなくなり、現場を去る人も
多いのは想像できました。が、こういう場合、現役投手なら引退の情報がすぐわかりますが
打撃投手の場合は裏方の退職ですから、まったく出てこないことが多い。
そして、これも凄いんですが、大抵打撃投手はマウンドより前で放っているから
打球が飛んで来る時間も、マウンドより早い。
それで反射神経で大けがしないでよけるのも大事ですし、時には折れたバットが目に刺さって失明なんてこともある。
そういった、普段全く出てこない話なんかも入っています。
私はそれまで、ごく一部の長持ちしたベテラン打撃投手の話は聞いていましたが、
現役投手と同じように、やっぱり早々と仕事を退く人の方が圧倒的に多いんだな、と。
シミジミ感じた次第です。
彼らのプロ意識が本当に共感できる
それまで、バッターを討ち取るために投げていた人が
バッターを打たせ、調子を上げるという真逆の立場で投げることを求められる。
そんな中でも、プロ意識ややりがいを抱き
「プロの打撃投手」としての仕事を続けていく姿って
やりたい仕事でなくても、毎日仕事に取り組む自分たちサラリーマンにも通じるものがあるなと
たしかに、最初の志とは違ったものではあるけれど、プロとして取り組んでいくうちに
苦悩だけでなく、喜びもまたあるというのは、本当に共感できますね。
そして、バッターを討ち取るだけでなく、打撃投手や用具係などの裏方から、今度はコーチとして声がかかるケースもあり
そういう人は、やっぱり与えられた自分の仕事を精一杯、誠実にこなすことに
情熱を注いだ人が注目されて呼ばれる、と聞いて大いに勇気づけられるところであります。
私、昔からコツコツと自分の仕事を大事にして、そこで花開きって人が好きなんです。
「五万回斬られた男」福本清三さんとかですね。
なんか、どこかで誰かが見ていてくれるから、今ここに一生懸命に頑張れるってのが、
私自身、45まで生きていて、強く感じることだったりするんですよね。
野球好きな人にはもちろん、バッティングピッチャーって仕事を知らなかった人にも、
一つの仕事として読んでいくと、ホント味わい深い一冊なんで、お勧めしたいと思います。
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