2022年9月8日に、イギリスのエリザベス2世女王陛下がなくなられました。
個人的にはイギリス王室ってあまり関心がなかったので、これまで本らしい本を読んだことなかったなぁと思っていたのですが、
たまたま書店で開いた週刊現代のコラムに、エリザベス2世のエピソードが紹介されていて、この本を見つけることができました。
これが読み始めたらスゴク面白くて、三連休なのに天気もあいにくな状態ですから「この機会に読み進めよう」と着々と読み進めています。
よくよく考えると、ピンチだらけの英国王室
私、1978年生まれですから、イギリスの国王はずーーっとエリザベス2世でした。
その間、今の国王チャールズ3世がダイアナさんと結婚したり、離婚したり
孫が王様継ぎたくない、と言い出したりと
日本の皇室見慣れていると、家族がずいぶん奔放で大変だな、くらいに思っていました。
でも、世界史やってた頃の知識を思い出してみると、1952年の即位以来、
イギリスってずーーーっと景気が悪くって、
英国本国と、エリザベス2世が海外で国王を務めるコモンウェルスとの板挟みにあったりと
プライベート以上に、国王としては試練続きの在位期間だったんだよなぁ、と
改めて感じました。
トップしか分からない、代わりがいないという責任感
そして、自分の祖父であるジョージ5世から立憲君主の何たるかを学んだ昭和天皇とも
戦後交流し、救われたというコメントを見ると、やっぱりトップって誰かに代わりをやってもらうわけにはいかないんだよな…とも感じたりしましたね。
以下は、1975年に来日したエリザベス2世のコメントです。
引用の引用になりますが、女王の気持ちがよく分かるのでそのまま転載します。
女王は孤独なものです。重大な決定を下すのは自分しかいないのです。
そしてそれから起こる全責任は自分自身が負うのです。
法律的には色々な免責その他の方途はあるかもしれませんが、女王として道義的に負う責任に変わりありません。
私には数多くの助言者がおります。私の夫はその最たるものです。
そして王室関係者、政府関係者が献身的に、責任を持って事にあたってくれます。
心から感謝しています。
しかし歴史に裁かれるのは私であると覚悟しております。
この立場が分かっていただけるのは、ご在位50年の天皇陛下しかおられません。
私も在位23年でかなり長いのですが、陛下は私の倍以上です。
戦争と平和を国民とともに歩まれた方ですので、この陛下のお言葉から、私は私自身にも分からない将来のことについて教えられることが多いでしょうし、
自分が教えを受けられるのはこの方しかいないと信じて、地球を半周して来たのです。
十分報われました。陛下のひと言一言に、私は多くの、そして深いものを感じました。
感謝で一杯です。
(『皇室』第47号、扶桑社、2010年、34~35頁)
家族のトラブルも乗り越えて、王室を次の王に引き渡す
このように、イギリス王としてイギリスの国力が衰退する中での立憲君主の務めだけでなく
コモンウェルスの王としての仕事との板挟み、長年懸案となっているアイルランド問題…
さらには、身内の度重なるスキャンダルなど、エリザベス2世の在位は決して平穏なモノではなく
山あり谷あり、といった大変な歳月だったんだなと思います。
本来味方であるはずの歴代首相たちとも時には摩擦が起こっても、王本来の責務という大所高所から務めを果たしていく姿は
読みごたえがあって、中々進みません。
でも、面白いんです。もし「エリザベス2世の本でおススメは?」と聞かれたら、この本がイの一番に紹介できると思います。
また、エリザベス2世本人のみならず、
イギリスの現代史としても大変読みやすいので、そちらの方で読む方にもお勧めできると思います。
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