昭和天皇大好きな私は、日々Amazonで古本を漁り、面白いエピソードを探しては
ブログやTwitter(今はXか)に投稿しています。
結構掘ったと思ったのに、まだまだザクザク出てくるのが面白いところで、先日買った河出書房新社の『天皇裕仁』にも、色んなエピソードが盛り込まれていて、楽しく拝読しています。
本日は、この中に収録されていた侍従長、入江相政さんとっておきの面白エピソードから紹介します。
失敗が許されない儀式で信じられないハプニング
それは昭和50年ごろ、と本人が記憶しているのでそのあたりの詳細は不明ですが
勲章の授与が行われた日の話。
一番格式のある勲一等の場合、総理大臣から勲章が天皇に手渡され、手渡された天皇が受章者に手づから勲章を授けられる、という非常に大事な行事があります。
これを親授式というのですが、その親授式の時のお話。
最初は勲一等を授けるときに言葉をかけることはなかったそうですが、勲二等とかでお言葉が出るのに一等だと無言で授与されるだけというのは、どうも…となり
みんなが貰った勲章を佩用して、授章者はパートナーと一緒にお言葉を貰うという形になった、とのこと。
このお言葉をかける準備ができた、ということで
前に侍従の先導、後ろに入江侍従長を連れて、お部屋を出られた昭和天皇は儀式を執り行う様子でしずしずと進んでいった。
そして式が行われる正殿の「松の間」に入った侍従、入ってびっくり。
松の間にはだーれも、いなかった。
侍従は回れ右をして昭和天皇に一言「いません」と報告した。
愉快そうに「いないよぉ!」と笑う
すると、昭和天皇驚きも、怒りもしないで
「いないか」とひと言。一行は来た道を戻って部屋に引き返した。
大真面目にやってる時に、誰かがおならしちゃうと、ミョーにおかしくなってしまうように
大真面目に式に臨んだら、とんだフライングをかましてしまったのが、昭和天皇のツボにハマったらしい。
お部屋では、お出かけになった昭和天皇がサッサと帰って来たので、一同鳩が豆鉄砲を食ったような表情をしてる。
それがまた、おかしかったのか「いないよ、いないよぉ」と陛下はニコニコして話したという。
そこでもう一度、確認が取られ、今度こそ「準備OK!」となったとき
また、侍従を先頭に、後ろに入江侍従長を従えて、昭和天皇はしずしずと「松の間」に歩いて行った、とのこと。
原因は伝言ゲームの食い違い
陛下はニッコニコであったが、やっぱり段取りを取った側としては冷汗モンのミスだったわけで
すぐに関係者の話をすり合わせると、なんともお間抜けな原因。
松の間に受章者を案内する係が「全員整列が終わりました!」の電話を入れるのが通常のオペレーションなのに
松の間の側が「松の間に皆さまを整列させてよろしいか?」と余計な電話をしてそれが二人の間で認識の食い違いになり
「皆さま整列しました」と聞き間違えた結果、昭和天皇が松の間にフライングをしてしまった、という事態になった、とのこと。
ただ、この事件、経緯を説明する途中でも書いたけど、昭和天皇のツボにめちゃくちゃハマったらしく
入江侍従長いわく「大変なよろこびよう」だったとのこと。
そんなわけで、誰も罰せられることなく、笑い話で終了したとのこと。
めでたし、めでたし…。
【昭和天皇のエピソード集あります】
最後まで読んでいただきありがとうございます。この記事が面白かったらTwitterリツイートやシェアボタンでの応援よろしくお願いいたします。
コメント