当ブログでも最近頻度を増している X(Twitter)関連の話。
それと言うのも、フォロワーさんたちが実に頼りになる存在で、いつもコチラが勉強させてもらっているからです。
先日は、昭和天皇のフランス訪問の際、エスカルゴの個数を「サンク」(5)とフランス語で答えた話をしてたら
「いやとーちゃんね、アレはお土産に殻を貰ったんだよ」と訂正を入れて頂きました。
その方から原典を教えてもらい、さっそくAmazonで探したら、なんと電子書籍版がある。
こりゃいいや、と電子書籍版を購入しました。
私が持っていた「陛下、お尋ね申し上げます」と違い、こちらは編者が様々な記録から
面白い発言や、興味深いお言葉などを一つ一つ採録しています。
1986年の出版なんで、お体を崩した最晩年の言葉は収録されていないものの、現役バリバリで働いておられた昭和天皇の発言はバッチリカバーできるので、これはこれで非常にありがたい。
引用元をキチンと出してあるので、信頼性が大きい
しかも、これまでちょっと小耳にはさんだ内容も
その時のシチュエーション込みで収録されていてありがたいんです。
先ほどのエスカルゴの件も、これだけ詳しく書いてある。
天皇は、昼食にフランス料理 の ひとつ、エスカルゴ(かたつむり)を召し上がった。
生物学者の天皇は、食べたあとのエスカルゴの殻を持ち帰りたいと希望、
いくつと問われて、フランス語でしゃれてみせた。
カラを記念に、と注文された。
同席の人の「おいくつにしますか」との問いに、 陛下は「サンコ」と返事された。
「 3つですね」と確かめると「いやフランス語の5つ( サンク) だよ」と答えられた。 (「 共同通信」 46・10・4)
天皇語録 (講談社文庫) (p.291). 講談社. Kindle 版
と、小話として知りたいところまで、簡潔だけど入念に書いてあります。
横井庄一さんと、小野田寛郎さんのコメントの違いが興味深い
昭和40年代には、それまで潜伏していた元日本軍兵士や将校の発見がありました。
最も有名なのがグアム島に潜伏していた横井庄一さんと、ルバング島で活動していた小野田寛郎さんです。
横井さんは、徴兵された兵士としてであり、戦闘というより潜伏だった事もあって
「長い間にかどんなにか苦労したことだろう。これから十分休養してくれればいいが……」
(同著p.298)
と、一国民をいたわる気持ちが感じられます。
一方で、ルバング島の小野田さんは、陸軍中野学校で残置諜者(現地に残って戦争に有利なようにかく乱工作を行うゲリラ戦要員)でもあり、
発見時の彼は、「軍事作戦は依然継続中」の状態でした。
その任務を解除する命令が出るまでは「いつまでも」ジャングルから出ないように訓練を受けていましたから
上官に当たる谷口義美さんが現地で投降命令を下し、やっと投降したほどです。
したがって小野田さんのケースは、改めて両国間の折衝が必要なケースでありました。
ルバング島には(任務継続中の)小野田さんに家族を殺された人もいましたから。ほっておくと、復讐のために小野田さんを殺しかねない部分があったんですが
マルコス大統領(当時)がトップの判断で「お構いなし」として帰国させた経緯があります。
「フィリピン大統領はじめ同国の官民の理解、日本から救出に出向いた人たちの努力で、小野田元少尉が無事発見されたことをありがたく思う。
帰国できると聞いて非常にうれしい。故郷の両親も喜んでいることだろう。
どうか、からだに気をつけて、今後に処してもらいたい」と話されたという。
(同著p.305)
そのため、体をいたわる言葉はあるものの、現役の兵士に対する言葉に近いニュアンスであり
「フィリピン政府に対する寛大な処置」を感謝する言葉が真っ先に見られるのが、大きな違いです。
このように、昭和天皇の小ネタをTwitterで発信する私にとっては、お宝なエピソードがぎっしり詰まってる(しかも、原典付き)のは非常にありがたい一冊です。
これからも、昭和天皇エピソードはガンガン発掘したいですが、その強力な資料になってくれると
ページをめくるたびに感じる次第です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。この記事が面白かったらTwitterリツイートやシェアボタンでの応援よろしくお願いいたします。
コメント