この前、ふと電車を乗り過ごした時のことを思い出しました。
今くらいの季節にゼミのOB会でしこたま飲み、なんとか上野発の高崎線、高崎行きの電車に乗り込んだものの、車内の暖房で脚の後ろを猛烈に温められ、ついウトウト…
ハッと気がついたら埼玉県最後の駅、神保原駅でした。焦ったものの、この駅は何もないから降りたところでどうしようもない。
諦めてホテルのある高崎まで行くことにしました。
災い転じてなんとやら、寝過ごして、好きな作品に出会う
交番で駅前のアパホテルを教えてもらい、シングルの部屋に入り、ひとっ風呂浴びたら大分落ち着いて、テレビなんぞを付けてみると…深夜映画をやってました。
それが、石原さとみのデビュー作、『わたしのグランパ』でした。
最初は「なんだこれ?」みたいな感じで見てたんですが、どんどん引き込まれて、最後まで見てしまい…「不思議な話だな…」と妙に印象に残った次第。
石原さとみさんの「グランパ」が妙に耳に残り、グランパと呼ばれる菅原文太さんが素敵だったな…
それでネット検索したら作品名にビンゴ!
早速、この本を買いました。
筒井康隆さんらしからぬ、一冊
わたしも人並みに本好きですから、筒井康隆さんの作品を何冊かは読んでいます。ちょっとブラックな味わいの効いた作品が多いなぁ…と感じていました。
読んでみると、これが実に心地いい。
ストーリーは、中学生の五代珠子が刑務所帰りの祖父、謙三と一緒に暮らしているうちに様々な事件や出来事が起こる、というもの。
謙三は刑務所帰りだけど『ゴダケンさん』と呼ばれ誰からも慕われ頼りにされる人で、どこか掴みどころがない。彼をグランパと呼び共に暮らすことで、孫の珠子の周辺にあったトラブルはドンドン解決していきます。
ところが、ゴダケンさんの過去の色々が原因で、今度は珠子がトラブルに巻き込まれ…
それをグランパが見事解決!やれやれ…と思ったら彼は川で溺れている子供を救おうとして、あっけなく亡くなってしまいます。
なんか白昼夢を見ているような、「現代を舞台にしたおとぎ話」は映画版以上に余韻が残りました。
大事な人は遠くにいってしまう
私事ですが最近、母方の大叔父が亡くなりました。
大叔父と言っても、母の祖父とは奥様の違う後妻の子で、それでも歳の近い私の母をそれはよく面倒をみてくれたと母はよく私に話していました。
わたし本人の思い出は、ガラガラ声の豪快なおじさん。理屈っぽくい父と全く違う大人で最初は怖かったです。
そんなおじさん(大叔父だとは知ってたけど)にミョーに親しみを感じたのは浪人生だった時。
父方の祖父の葬儀に参列してくれた時「現役合格で喜ばせたかった」と何気なく吐いた私に大叔父は
「お前のじーちゃんはまだ仏様にはなってない。仏様になるのは49日後だ!試験まで1ヶ月弱だろ?仏様になる前に堂々と合格を報告できるように頑張れ」
と励ましてくれました。
おかげさまで、葬儀のゴタゴタで折れかかってた心を立て直す事ができました。
…その大叔父が亡くなった。急に具合が悪くなって、あっけない最期でしたね。
人って簡単に離れ離れになってしまうんだな…そう痛感しました。
ただ、理屈でふっきろうと思っても、心はなかなか吹っ切れない。
そういう本を読もう、と。その時思い出したのは『わたしのグランパ』と、あの乗り過ごした日のことだった…そんな感じです。
表紙が変わってて驚いた!
長いマクラでしたが、本屋に行きまして、文庫本を手にしてみたら…
表紙がこんなんになっていました(苦笑)
いとうのいぢさんのイラストって、涼宮ハルヒか!!!
私は泣きたいんですよ!なのにこの表紙の本を読んで泣いてたらただのみっともない中年じゃないですか!?
まぁ読みたいから買いましたよ、はい。
孫の珠子ちゃんみたいにグランパが亡くなってダダ泣きするほど子供じゃないけど、相変わらずの読後感で、読み終わってため息が出ましたわ。
ホント、落ち着いた。
【久しぶりに読んでビックリした本がこちら!】
川口松太郎『一休さんの門』を各時代の自分がどう読んだか? …もはや、忘れ去られた感のある川口松太郎さんの作品を10年ごとに読み返し、感じたことをまとめてみました。
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