図書館ってありがたいのは、買うには気が引けるものを気軽に読める「お試し」がしやすいことです。
先週、夏休みに気軽に読めたらと、北尾トロさんとえのきどいちろうさんの『愛の山田うどん』を借りてきました。
これが、文字通り、関東のローカルチェーン『山田うどん』に対する愛にあふれてて
一方で、その前のめりさが妙にかわいくて、笑える一冊でした。
『くにまるジャパン』で毎回聞いてた山田うどんの話
この本の共著者のえのきどいちろうさん、私がよく聞いていた文化放送『くにまるジャパン』では
金曜日のコメンテーターを務めていて、私もこの本に書かれていた
「山田うどん再評価運動」はリアルタイムで聞いておりました。
で、文化放送のラジオ放送では、当時この番組のパーソナリティ、野村邦丸さんがアナウンスしたCMも流れてて、
しかも、埼玉県内を外回りという商売柄、「山田うどん」で手っ取り早く飯を食うという毎日を送っていたりします。
【参考記事】
で、ここで「山田うどんはまずいんじゃなく、安定して安心できる味」と言ってて、そういうところ、あるんだよねと。
本を読んでたら、今は終了した番組で、山田うどんの話をしていた、えのきどさんが懐かしく思い出された次第です。
うどんはコシじゃねー!に爆笑
本は2012年出版と、ちょうど10年前で
その頃って、「はなまるうどん」とかの讃岐うどんがチェーンでウチの周りにドカドカと進出してきた時代に重なります。
山田うどんって、それとは真逆で、柔らかくプリッとした食感で
ウチの親父も「あんなもん美味くねぇ」とは昔話しておりましたな。
しかし、私としては…「給食のソフト麺」(山田うどんも学校にソフト麺を納入してたそうで)に馴染んでいたもので、
ああいうウドンも結構好き。特に肉汁うどんなんて、プリっぷりのうどんにお肉のうま味がタップリ出てるしょっぱめなつけ汁で食うと美味いんだよね…
で、えのきどさんは、ウドンは日本中にある…
ツルツルした稲庭うどん、
ぐわっしぐわっしとした山梨の吉田うどん
デロッデロに柔らかく、たれに和える「伊勢のうどん」と
おなじうどんにしても、その特徴は千差万別。
それが、讃岐うどんという、ローカルなうどんの特徴ばかりが礼賛される現状に
「うどんはコシがあればいいってもんじゃねぇ!!」と吠える。
読んでて大爆笑でしたね。
山田うどんが予想外に驚いた対応なのがおかしい
で、このお二人が電波を通じて、草の根「山田うどんPR」を続けて行ったら
2人の熱がリスナーに伝わって、山田うどんに通う人が増えたそうだ。
また、山田うどんでも「2人が熱心にアピールしている」と聞き、広報室の担当から「ぜひ本社に来ませんか?」とお誘いがかかる話が面白い。
北尾さんもえのきどさんも、なんか初めてのデートのように舞い上がり、完全に前のめり。
一方で、山田うどん側は、令和の御代でも昭和のような味を提供するように、いたって態度もマイペース。
2人が「山田うどんの本(この本)を作りましょう!」を熱く訴えると…
「それはかまわないけど、うちのことを書いて本になるのかなあ」と社長が答えるという
実にのーんびりしたところが、また山田うどんらしくって、いい。
ハイカーボ1000キロカロリー越えを強調しているところがおかしい!
世はロカボがメインストリームになっておりますが、
山田うどん食堂は今でも売りは「かき揚げ丼やカレーライスにウドン、ソバ」という
カーボ×カーボが主力商品。
ローカーボの教祖である江部先生なんかが見たら、白目を剥いて泡を吹くのではないかという
満腹セットがバリバリ現役だったりします。
愛にあふれたお二人は、ここにも慈愛の筆を振るって
堂々と「ハイカーボ・ハイカロリー」に擁護を行うところがまた、素晴らしい。
なんか、いくら食っても腹が減った青春の日々を鮮やかに思い起こす、素晴らしい書きっぷりに腹が減って
私なんか、今朝山田うどんでかき揚げ丼食っちゃいましたよ(笑)
かき揚げ丼は丼飯にツユで煮たかき揚げを卵でとじたものがドーンとのってる
これまたハイカーボ&ハイカロリーモンスター。でも美味いんだよねぇ。
さすがにあさイチなんで、ウドン付けなかったけど。
山田うどんにまつわるもの、片っ端から集めた一冊!
本書は山田うどんヒストリーや工場見学、お店の食べ歩きだけじゃなく、お店に貼ってある武蔵御嶽神社のお札の秘密といった
埼玉県人でも「そこまで知らねーよ」と思わずツッコミを入れたくなる情報が満載で
しかも、面白いという一冊に仕上がっております。
ご興味のある方はぜひ、ご一読を!
【追記】この度、続編も含めて再編集し、アップデートした文庫本も出版されました。
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