歴史学者が書く、最新の明智光秀研究『考証 明智光秀』を読む

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この記事では有名だけど謎の多い人物、明智光秀を一次資料でどこまで迫れるかに挑んだ

渡邊大門編『考証 明智光秀』を読んで、感じたことを書いていきます。

2020年の大河ドラマ『麒麟がくる』の主人公であり、主君である織田信長を殺した人物。

彼の生涯はとにかく、謎が多い。

歴史学者の方々が当時の一次資料(書簡や日記)を通して、この謎多き人物にどれだけ迫れるかという意欲作です。

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フィクションが入り込みやすい有名人

明智光秀は後半生の知名度とはウラハラに、生年も出身地も確定的なことが言えず、青年時代も何をやっていたかが、よく分からない人物です。

また、歴史の表舞台に登場した後、突然自分を買っていた主君、織田信長を本能寺の変で殺害し、三日天下と言われるほどあっけなく豊臣秀吉に負けて、逃亡中に命を落としてしまった。

その劇的で謎が多い行動は、歴史好きにはたまりません。

創作では、織田信長をなぜ殺したかという理由を考え出すというのが、一つのジャンルになるぐらい説がありますし、いや実は光秀は死んでいないで、天海として家康をサポートしてたとかってモノもあります。

ですから創作の幅が自由自在であり、事実を基にした研究が本分の歴史学者さん泣かせの人物でもあります。

証拠はないものは「あくまで仮説」

読んでて「さすが学者は違うな」と思うのは分からないところは「分からない」とキチンと書き、

たとえ一つの可能性として魅力的なものでも、そのことを裏付ける証拠がない場合はムリヤリ結論を出さないところ。

それは、例えば第2章『明智光秀と足利義昭・細川藤孝』の最後、

光秀が足利義昭と結んで信長を襲ったのでは、という仮説に対し

後に、信長の元部下たちも同じような方法を使ったから、もし光秀ももっと長く生きていれば、義昭と結んだかもしれないとは書くものの

現段階ではそれを示す証拠は出ていないので「今後の楽しみとしておこう」と書くところなんかが、実証主義に基づきつつも、新たな資料発見によってより分かる期待を示しているようで

筆者の誠実さというか、仕事への真摯な姿勢がうかがえます。

「歴史学者としての役割」としての本

本書は学者としての立場から「明智光秀については、ここまで分かりました」ということを一般向けに伝える意味もあるようです。

歴史は、入り口はかなり広いので、自称も含めた研究家もピンキリです。

以前私は新聞の取材で「歴史研究家」の話を聞いたのですが、

話す内容は妄想と論理の飛躍がとにかく多くて、どこまでが事実でどこからが推測なのって感じでした。

また私みたいな「歴史好きの素人」って、いわゆる俗説や創作なんかを史実と取り違えてるケースやトンデモ本を信じることも多いとか。

耳が痛いけど、確かにその通り。

学者の立場からすると、トンデモ説に反論するのは気苦労が多いだろうと推測します。

いちいち反論しようにも、きりがないし。

だからこそ、研究者としての視点からも読むに耐えられ

研究者としての枠ではなく、歴史好きな一般の読者にも正確に分かりやすく研究成果を提供するという目的でこの本を書いたのかな、と思います。

事実をキチンと検証して整理していくのってホントに大変だと思うのですが、背景知識も説明しながら事実を説明するので、かなり読みやすいです。

『麒麟がくる』のファンにも、実際の明智光秀はどこまで分かっているのか、という興味のある方はぜひ一読をオススメします。

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